第10話 僕の秘密と嘘…(2)

 そしてさすがに周り人が多くなってしまったので僕達はその場から離れ目的地であるお店が立ち並んでいるショッピング街に向かって歩き出した。


 その道中で、「そういえば最近、あまり前につるんでた子達と一緒にいないけどどうしたの?」と最近気になったことを聞いてみた。


 すると朱希は「あー…あれね、正直に言うとあまり好きじゃなかったから、それに一緒に居たって全然楽しくないし!妙にマウント取ってくるウザイのもいたし、だからいいの!」となにか吐き出してスッキリしたかのように喋りきった。


「そうだったんだ…なかなか朱希の周りって朱希と合いそうな人っていないよね…」

 僕自身、朱希が僕らに会う時のような表情を見せていた友人は指で数えるぐらいしかいなかったことを知っていた。


「そうなんだよね…それに高校に入ってから己丞と関わっていることによってまた色々増えたんだけどね…」

 ︎そうため息を漏らしながら朱希はそう言った。


「あぁ~~~!!もう嫉妬ってめんどくさい‼そんなに色々言ってくるんなら自分から話しかけに行けっての‼あ…もう、ダメダメ!あんな話しかける自信もないやつに対して何を悩んでるのか。」と最後は自分に言い聞かせるように強く朱希は言った。


 それに対して僕は

「そうだよ‼その意気だよ‼そんな人のこと忘れて今日は思いっきり羽伸ばそう!」と声をかけた。


「だね‼よーーし!今日は二人で楽しむぞ〜!」と朱希が声を出した後、二人同時に

「おお〜〜!!」と掛け声を出しながら腕を空に掲げた。


 そうこうしているうちに、目的地であるショッピング街に到着した。


「うわぁ〜、やっぱ久しぶりに来たから少し変わってるね〜」見渡しながら朱希がそう言った。


「うん、辺りの飾り付けや物も増えてる…あ!あのお店変わってる‼」

 およそ3ヶ月ぶり程に訪れてみたため色々な物が変わっていたり、移っていたり、無くなったりしていた。


「あ、もしかしてあのお店もう無いのかな…」 そう不安げに僕がしていると


「その心配はないよ〜‼ほら、インフォメーションマップを見てみな!ちゃんとあるでしょ‼」と朱希はマップ上の場所に指を指した。


 それを見て僕はホットして

「あ、本当だ。良かった〜無くなってなくて、あのお店お気に入りだったから」そう口にした。


「桜花もいい加減、地図を見る癖つけなよ〜」そういつものようなノリで笑いながらからかってくるように僕の頬を突っついてくる。


「う、うん…わかった。もう、なんだか毎回朱希に妹のような扱いをされる……」そう小声で言うと


「だって、本当に妹みたいなんだも〜ん‼あ!もし気が向いたら私のこと『お姉ちゃん』って呼んでもいいよ‼♡」そう言いながら本当に妹にするように後ろからハグをしてきた。


「恥ずかしいから呼ばないよ!」

 当然、こう返した。だが…


「ふふん、それはどうかな〜」と何やら笑みを浮かべながら言った。


 それを聞いて「どういう意味?」と不信な表情を浮かべながら聞いたが


「さぁね〜それは知らな〜い」と返されてしまった。


 それから僕達は、話をしながら色々な所を回った。洋服やコスメを見たり、試着をしたり食べ歩いたりと普通に楽しい時間を過ごした。


 元々、十時頃に待ち合わせをしてここに来ていたので今はお昼を過ぎた午後一時になっていた。


 少し遅めのお昼を取ろうかと二人で話したけど二人とも途中で食べ歩いていた為、あまりお腹が空いておらず普通のお昼ではなく軽めの甘いものでも食べようという話になりお店に入っていった。


「ねえねえ、このシフォンケーキ美味しそうじゃない?」嬉しそうな表情の朱希がメニューを指さしながらそう言ってくる。


 ただ、それは僕も同じで「本当だ〜美味しそう〜」と完全に目を奪われていた。


「色々種類があるけど、桜花はいつも通りいちごでしょ、私は紅茶風味で行こうかな〜あ、後でそっちのもちょっとちょうだい‼」


「いいよ〜!じゃあそっちのも少し食べさせて‼」


「もちろん‼」そう笑顔で返ってきた


 それから注文をするために呼び鈴を鳴らし店員さんを呼んだ。


 そして「お待たせいたしました、ご注文をお伺いいたします。」そう笑顔で聞いてきた。


 それを聞いて朱希が注文するものを答える。「え……と、シフォンケーキのいちごソースを一つと、紅茶風味を一つと、あとアイスティーを二つでお願いします。あ、それと家族割でお願いします」


この注文を聞いて僕はそこに耳がいった。


僕は疑問を抱いたが店員さんは少し僕たちを観察するような感じで見てから普通にかしこまりました。とだけ言ってさがって行った


気になったので朱希に聞いてみると

「あ〜、ここね家族割って言うのが使えて家族で来るとドリンクがサービスになるのまぁ、今回はずるい手を使っちゃったけど主婦の知恵みたいなことで」

と少し小声で言った。


ここからも少し小声で


「でも、どうして言っただけで僕らを家族だと思ったんだろう……?」

こう疑問に思い朱希に聞いてみたところ


「多分、この双子コーデのせいだと思うよ。これ着てたから姉妹だと思われたんじゃない?」

それを聞いて確かに納得した。


そしてそれに続いて朱希は

「ねえ、せっかく姉妹に見られたんだから、一回お姉ちゃんって呼んでよ〜‼」

とさっきと同じように僕に言ってくる。


「だから、恥ずかしいから呼ばないよ。」

だが当然、断った。


それから少し経ってから注文したものがテーブルに並んだ。まず、来てから写真を撮ってお互いにシェアしながら食べた。


そして食べ終わって少し話をしてから会計を終わらせ外へ出た。


それからお店を出た直後、朱希がスマホを忘れたことに気がつき

「あ、ごめん、お店にスマホ忘れちゃったから取りに行ってくるね、すぐ戻るから〜‼」


そう言っていたのでお店の近くで待っていた。その間に、髪留めを付け直そうと思い外したが手が滑って落としてしまった。


急いで拾おうと思い髪留めのところに近づいたが通りががった人が拾ってくれた。

「あ、ありがとうございま……」いつものようにお礼を言おうとしたが途中でつっかえてしまった。


「はい、大丈夫ですか?」そう言いながら髪留めを渡してきたのは悠雨だった……





〜続く〜

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る