第8話 僕の友達の様子が…(4)

そして時間は過ぎ放課後へとなり朱希、己丞は打ち合わせした通りに動き始めた。


「桜花〜‼一緒に帰ろ〜~~」朱希は桜花を呼び出し「うん、帰ろ〜」と普段通りの会話が進む。


「悠雨、久しぶりに一緒に帰らない?」と己丞も悠雨を誘い出し「あ、まぁたまにはな。」とこちらも成功。


そして二人とも校門前まで二人を連れて行きそこでバッタリと会う。


もちろんこれも計画通りである。

「あれ、バッタリ会ったね。」ここで己丞が切り出す。


「うん、そうね。」と朱希も合わせるが朱希はそこまで演技が上手くはない。


「ほんとだね〜、四人揃うの久しぶりじゃない?」なので己丞が何とか繋ぐ。


「あぁ、たしかに…」

「まぁ、たしかに…」とここで桜花と悠雨が言葉を発したがいい感じにハモってしまい、またお互い顔を逸らしてしまう。


これはまずいと思い、「なら、一緒に帰らない?」と朱希が咄嗟に言い放った。


「お、いいじゃん‼二人ともどうする?」と己丞がすかさず合わせる。

「う、うん帰ろう、一緒に」と桜花が言い


「わかった、帰ろう、一緒にな」と悠雨も答えた。


「よし!じゃあ、行こうか‼」とこのチャンスを逃がさぬまいとばかりに朱希が切り出した。


そして、皆歩き出し少しなにか喋りながら数分歩いてここで朱希が「あ、そうだ!久しぶりにみんなで“MAEMO”行かない?」


MAEMOと言うのはこの近くにあるデカいショッピングモールのことである。ここの近辺では1番の規模を誇っているのでここの住民は訪れることが多い。


するとここでも己丞が入り「うん、自分はいいと思うよ!自分も買うものがあるし。」

と繋ぐ。


そしてスルッと桜花の耳元に朱希が近づき「お店に行ったら二人でコスメでもゆっくり探そう♡」と小声で言う


これは桜花も少しニコッとしながら「うん!」と答える。


これによって4人中3人が行くと決めた為、「わかった、なら早く行こう。」そう言いながら悠雨も行くことを決めた。


「よし、なら近くだし早めに行こう!」と張り切った様子で朱希が言う。


それから皆十数分歩くと、だんだん目的地へと近づいてきた。


「よし、ちょっと走るよ〜!みんなも付いてきて!」朱希はそう言いながら走って行き、みんなもそれに伴ってついてくる。


「おい、ちょっと待てよ!」

「待って、置いていかないで~」

「はいはい、ついて行くよ。」

それぞれ言葉を発しながら。。。


そして、目的地に到着!!


「着いたはいいけど、一体何をするんだ?」悠雨がそう聞くと、


「まずは無難に…プリクラ!」朱希がそう答える。


「それ、無難なのか…?」と疑いをかける様に悠雨が言葉を返すが、


「まあまあ、久しぶりだし思い出作りだと思ってさ!それに、今朱希と盛り上がっている桜花ちゃん楽しそうだよ。」己丞にそう言われてしまい


「まぁ…楽しそうならいいか…写真苦手なんだけど(ボソッ)…」と不満を少し出しつつも上手く丸め込まれた悠雨であった。


〜プリクラ機の中にて〜

「あ、早く早く!みんな写って~」と朱希がみんなに声をかける。

そうすると…


「うん!えっと、ポーズポーズ…」 普段、家で撮る時のようなポーズはしないようにと気おつけて写るように心がけたり


「どんな格好して写れば…」写真が苦手なので少し顔が引きつっていたり


「難しく考えずに適当でいいんだよ。」なにか少し慣れた様子だったりとみんなの人間性等が現れたりするので朱希は少し心の中で「やっぱりみんなだ…」と安心感を抱いた。


〜プリクラを撮り終わって〜

「悠雨、あんた顔引きつり過ぎ(笑)」そう笑いながら話しかけると


「しょうがねえだろ…写真苦手だし、意識して笑顔とか無理だし…」と少し小っ恥ずかしい様子で返す。


「でもあんた、顔はまあまあ良いんだからもうちょっと自信持ちなよ!」とまあまあなマジトーンで返された。


一方、桜花はとう言うと…

「みんなで久しぶりに撮った‼後で写真入れに保存〜‼(小声)」いかにも鼻歌が聞こえて来そうなぐらい浮かれていた。


その様子を見ていた己丞は「随分嬉しそうだね。桜花ちゃん」と声をかけると…


「えっ…あ、あぁ…うん…(照)」明らかに目線を逸らした。


そうこうしながら歩いていると桜花があるお店をジーッと眺めていた。


それに朱希が気づいて「何見てるの?」と聞いてみた。


「え…あ、あれ…」そう言って指を指したのはあるスイーツのお店だった。


「あのクレープが気になって…」そのクレープと言うのはいちごがふんだんにのせられていてクリームの上にはいちごソース、生地もイチゴ風味の生地といういちごづくし、その上すごく綺麗で可愛らしいものだった。


「朱希!あれ買いたいんだけどついてきてくれない?」と両手を合わせて朱希に頼む。


それには笑顔で「うん‼私もあれ食べてみたいし!桜花ナイス!」そう言うとすぐに


「二人とも、ちょっと待ってて~!」と二人にそう伝えた。


それを聞いた二人は

「はいよ〜!」そう二人同時に答えた。


「二人は何しに行ったんだ?」詳しい説明をされなかったので己丞に聞いてみた。


「多分、あそこのクレープ屋じゃないかな?朱希も飛び付いて言ったし。」とそれだけの情報で正解を言い当てた。


「たしかに桜花、昔からああいうの好きなんだもんだったもんな(ボソッ)」とつい口に出してしまった。


「やっぱり、桜花ちゃんのことよく見てるね〜」そうニヤニヤしながら言ってきた。


「別に…そういうのじゃねえって!てかそんなこと言うなら、お前の方が大概だろ!」

少し焦ってしまい早口になってしまった。


「そうかな?朱希のことはなんでか分かっちゃうんだよね〜、なんでかな?」と優しい笑顔で伝えてくる。


「そんなの知らねえーよ!」とぼけた様に答えた。


〜悠雨脳内〜

お前のそういう所だよ〜!

なんだよそれ!なにかの恋愛漫画の主人公か!?「なんでかな?」じゃないだろ!


〜現実〜

そんなことを頭の中で考えていた。

そうしていると、


「二人ともおまたせ~!」と朱希の声が聞こえてきた。


近くに来ると桜花も

「ごめん、待たせて…」と両手にクレープを持ちながら少し小声で言う。


「全然、気にしなくていいよ。自分ら待つの苦手じゃないし。」と普段と変わらず己丞は返す。


それに続いて

「じゃあ、何処かに座るか?あの横に長い椅子とか。」と悠雨が聞いてみる。


「お、悠雨にしてはまあまあいい場所選ぶじゃん。じゃあ、そこに座ろう!」そう朱希が言い皆そこに腰掛けた。


順番的には、左から悠雨、桜花、朱希、己丞という座りになった。

「じゃあ、せーのっ!いただきま〜す‼」そう桜花と朱希は揃えて食べ始めた。(もちろん、ちゃんと写真も撮ってから)


「美味しねこれ!」

「うん‼バランスも良いし!いちご好きにはたまらないよ〜!」


そう二人で会話をしながら食べているのを悠雨と己丞は眺めていた。


すると、桜花は反対側の隣にいた悠雨と目があったでも、二人とも少し目線を逸らしてしまう…


〜桜花脳内〜

「どうしよう…でもこのままじゃ、ずっと話せないしなにかなにかないかな…あ、このクレープ!」


〜現実〜

「はい、これ味見に…」そう言いながらクレープを悠雨の目の前に差し出す。


「えっ…あ、うん!ありがとう。」そう言って上の方をかじる。

「どう…?美味しい?」と身長差もあってやや上目遣いの様な状態で聞いてみる。


「あ、ああ!うん、美味しよ…」と少し赤面したような感じで目線を下にそらすと…


咄嗟に、「ダメ!ちゃんと目を見て話して!」と下から覗くようにして目を合わせる。


「え…うん、ごめん、美味しかった。」だが今度は少し顔を離して…

「また、逃げようとしてる!」

「べ、別にしてないし!」

「してる!!」

「してない!!」

ガヤガヤガヤガヤと朝のことがなかったかの様に話せるようになっていた。


〜朱希脳内〜

「やった!上手く行ったね‼大成功!それにしても二人のやりとりただのカップルのやりとりにしか見えないんだよな~(笑)」


〜現実〜

そうやって二人のやりとりを見てるた己丞は

「朱希は味見させてくれないの?」と聞いてみた。


「え?まぁ、別にいいけど。」

そう返すと


「ありがとう。じゃあ、いただくよ。」

とクレープをかじるするとかじった部分が朱希がかじった所を半分近く含んでいた為、


「あんた!今…そ、その…私の食べた所食べた…?」と焦り少し赤面しながら聞いてみた、すると…


「え?ああ…ごめん、気付かずに食べちゃった。もしかして、少し恥ずかしがってる?」と顔を近づけながら聞いてくる。


「はぁ!?べ、別に、恥ずかしがってなんかないし!何も思ってないし!」


「その反応、恥ずかしがってるでしょ(笑)朱希のことだからわかるよ〜」


「だからしてないって!」

「してるって。」

とこちらも同じように二人で言い合いを始めた。


そんなこともあって、二人の様子は元に戻りみんなで色んな所をまわった。

洋服を見たり、コスメを選んだり、本を探しに行ったり、充実した一日を過ごせた。


〜帰宅中〜

「あ〜、もっと色んな所まわりたかったな〜」そう朱希がつぶやく。


すると、

「もう勘弁してくれ…」と疲れきった声で悠雨が朱希に返す。


「そうだね、またみんなで来ようよ。」

対照的に己丞はまだまだ大丈夫のようだ。


「悠雨、大丈夫?水でも飲む?」そう言うと桜花はペットボトルの水を渡す。


「あ、ありがとう…。」それを受け取り、一口飲む。


〜朱希脳内〜

「よーし!二人とも仲良さそうだし、問題なし!あ、それと今度別の箇所に桜花連れて行こう‼良さそうなのも見つけたし!」


〜現実〜

そして帰宅中の中で皆、自分の自宅に向かって別々に別れる。

そして、今日のことは桜花の新たな思い出の1ページとなりとても嬉しそうに帰って行った。

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