１９９０～

其乃日暮ノ与太郎

Astray nostalgia―迷走した望郷―

「あの娘（こ）は自分の事より他人事でカッとなる子でね……」

自分の瞳が潤んでいるのを必死に誤魔化す仕草を見せたあの女性。

「勝った噂も負けたデマも流させない」

せめてもの罪滅ぼしとして提案してくれたあの人。

「どうだった？アノ日のあたし、イケてたでしょ」

前髪命の元々こっちの世界に来なくてもいい筈の同じ匂いがしない子。

「黙って加担するしかなかった」

くだらねぇ体裁や面子（めんつ）に翻弄された妙な形で再会したヤツ。

それぞれが抱いていた望みは何だったのだろう。

あの時どうするべきだったのか。

そして……

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