第26話
もう秋穂への愛情はないのだろう。それはもうわかっているが、歪ではあるものの、なんとなく続けていたこの生活はどうすればいいのだろう。内縁関係は解消しても問題はないが、生活はどうなるのか。
秋穂に自分の気持ちを伝えて別れたその後は・・・。
もう一度実家に帰ることは難しいだろう。元々歓迎されていなかった私たちを両親が再び受け入れてくれるとは思えない。広すぎる世界を漂流するかのように母娘二人で行くあてもなく彷徨い歩いている場面を想像して胸が苦しくなった。
疲れ切った顔をしてどこかへ向かう私。薄汚れた格好で呆けた顔をして私に手を引かれながら引きずられるようにして歩く桃香。
想像の中の桃香はあの公園で会った少女に似ていた。そんな想像ができてしまうのはきっと少女の存在が異質過ぎたからだ。それだけだ。私たちの将来とは何の関係もない。
ないないないと、目を閉じて眉間の辺りを押さえながら嫌なイメージを無理矢理頭の中から追い出した。
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