第3話

 うかつだった。仕事に追われて、家の中のことはほとんど秋穂に任せっきりで、私は二人の間のことをよく見ていなかった。桃香はずっと不快さに耐えていたのだろうか。私にも言えずに嫌な思いを抱えて私と秋穂との間でいつも笑ってくれていたのだと思うと、申し訳なさで胸がギュッと締め付けられた。

 

 娘からの訴えを聞いてからは秋穂と桃香を二人きりにしないようにしたり、距離が近くなるような場面は作らないように努めている。秋穂と離すことで、桃香からの身の毛もよだつような訴えはなくなった。その代りに秋穂が外泊する機会が前よりも増えた。明らかに何か不満があってのことだろうと踏んではいるが、すれ違うことが多くてきちんと話し合えておらず、彼が何を考えているかはわからないままだ。


 だが私たち親子と秋穂の関係はもう破綻している。これだけははっきりとわかっていた。

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