坂上田村麻呂、宮城県立日高見高校生にメタルクベーラと共に宮城県防衛の任を託す

オン嚕鷄入ロケイ嚩羅ジンバラ紇哩キリク娑婆訶ソワカ…」

床に伏せながら十一面観音の印を結び、真言を唱え続ける日高見高校の10人。

そこへ10人の脳内に直接何者かが話しかける。

「聞こえるか…まつろわぬ民、蝦夷えみしの末裔達よ…」

「!?」

「だ…誰だ!?」

10人が一斉に起き上がると、そこは辺り一面暗闇に包まれた無重力の異空間だった。

「なんだでここは!?」

「オラだづ…今度こそ本当に死んぢまっただ!?」

「という事はこの先に待っているのは異世界転生!?ラノベ的展開キター!」

「2人とも縁起でも無い事言わないで下さい!」

「皆さん、少しは落ち着いてください!」

「これが落ち着かずに居られるか!?」

10人が取り乱す中に現れたのは、衣褲きぬはかまの上に肩鎧かたよろい籠手こて脛当すねあてが、革や鉄の小札こざねかわと紐で綴じられ、構成された、裲襠うちかけしき挂甲けいこうと呼ばれる司令官用の古代甲冑を纏った坂上田村麻呂だった。

「危ないところであった」

「誰ですか!?貴方は!?」

「私は陸奥出羽按察使・鎮守府将軍、坂上田村麻呂である!」

「坂上田村麻呂ぉ!?」

「本当に本人!?」

10人はエネルギー生命体として姿を現した坂上田村麻呂をまじまじと見つめつつも田村麻呂は説明を続ける。

「奥羽の地は今存亡の危機にある!奥羽の地を愛する者たちが激減したおかげで奥羽各地に施されていた鬼の封印が解け、悪路王や大嶽丸と言った強大な奥羽の悪鬼羅刹共が一斉に復活し、奥羽を魔の国にしようと動き出したのだ!」

「なんだって!?」

「本当か!?」

「奥羽を制圧し、人間の負の感情で埋め尽くした後はかつて私が仕えていた帝の後継政権を攻撃し、日の本転覆を謀るとの事だ!」

「鬼による国家転覆だって!?」

「そんなの許せませんわ」

「でもなしてオラたずさ?」

田村麻呂が手を翳すと、


大型フェリー型マシン


大型空母型マシン


日野ブルーリボンシティハイブリッドバス型マシン


が現れた。


「あ、あれは!」

「ニュースで神隠しにあったと報道された…」

「私は現代の奥羽の大地と大海原を駆け巡る乗り物をモデルに、この陸前国を守るに特化したセーフティープログラム「メタルクベーラ」を起動させた」

「そ…そういう事だったのか…はぁ…」

「お前達にこの3機のメタルクベーラを託すには理由がある。私は悪鬼羅刹の首魁、悪路王を先に封じねばならぬ!そのために陸前国の鬼までに手が回らない!そこで君達が私に変わってこの陸前国を悪鬼羅刹共の手からメタルクベーラと共に守り抜くため、メタルクベーラの機動装置、“北天の巫女”となってほしい!」

「はぁ?私達が巫女?機動装置?何それ?」

「人を鍵扱いすんなで!!」

「勝手に決めつけんなや!?」

「一刻の猶予も残されておらぬのだ」

「だからって…!」

オン吠室囉ベイシラ縛拏野マンダヤ蘇婆訶ソワカ

「これは…毘沙門天の真言…?」

-パリパリパリ

「わあああ…」

「ああ…あぁ?」

田村麻呂の説明に納得がいかない10人だが、田村麻呂はそれを聞き入れずに毘沙門天真言を唱えると、田村麻呂の掌から10人の全身に光線が放たれ、10人が悶絶し、目を開けるとその手には「十一面神呪心経じゅういちめんしんじゅしんぎょう」が10人全員に手渡された。

「十一面…」

「神呪…」

「心経…??」

「このお経は一体!?」

「3機のメタルクベーラの使い方と戦い方はその十一面神呪心経が教えてくれる。困った時、力を欲す時にはその経を開け!」

「なんとまぁ斬新な使い方だこと…」

「私は急がねばならぬ!後は頼んだぞ、まつろわぬ民の末裔よ…!」

田村麻呂はそのようにいい残して異空間全体を光で包み、自身は消え去ると共に10人を現実世界に転移・戻した。

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