第3話会議と召喚


 これからやるので有ろう事は召喚のエネルギーがどうなっているかの調査、もとい、召喚システムの調査だ。まさか、召喚システムを創った側がそれすら邪魔をしてくるのは流石に考え辛い。……召喚システムにこの世界を依存させたいなら、ある程度の調査はむしろ許容し無ければ、アレだ。契約書の中身を禄に見ないまま契約する類いの物に成る。流石にそれを強要はしてこない……よな?まだ解らんが。ひとまず調査だ。調査。そして調査をするべきだと言う話を通し、一週間程経った頃。……召喚システムが頻繁に使われた場所に成れば成るほど、空間上にエネルギーが蓄積されている事が多い事が解ったらしい。……一部例外も有るようだが、一般にその情報は伏せられる事に成った。……恐らくはその例外とはそれらのエネルギーを召喚か何かに使った結果だろうからだ。強い奴が出やすい原因に成りかねない為らしい。これは一般的に公開した方がエネルギー溜まりも使われて、良い気もするが、……まあ、政府側が使う気だろうな……と、思って居たのだが、他国、寄り正確に言えば、永世中立国がそれの事を公表した。永世中立を謳う国が何故永世中立国なんて立場で居られるか、って?その理由は単純で、他国に比べて、世界で一番兵器類を大量に所有しているからだ。それを公表したのは、それを公表する事で、他国に大量のエネルギーを使ったヤバイ奴を召喚されては武力で永世中立なんて名乗れなく成りかねないからだろう。……一見不利益に見えるかも知れないが、つまりは自国のアドバンテージを潰すと同時に、他国に一定以上のエネルギーを使った個を召喚させない為だろう。情報管制を完全にしている国でも無ければ、皆がエネルギー溜まりのエネルギーを使う流れに成るように仕向けられる訳だ。それは公正な公表では有っても、相応な思惑もちゃんと有る形なはず。……これは情報管制を完全に行っている国が不安要素だが、公表する事で一定以上の奴が召喚される絶対数を減らせたと考えるならまだ対策のしようが有り、十分かも知れない。むしろ情報管制を行っている国なんて内乱起きそうだよな。国民を武力で押さえ込むパターンなら、国民側も既存以外のある程度の戦力を獲る形に成るのだから。でも、公表するには早過ぎる気もする。召喚システムを使う事によるエネルギー溜まりを解消したいのは解るが、……あ、そうか。ゲーム世界の話では無いのだ。もし、エネルギー溜まりの存在その物を全部把握出来ているならともかく、そうでないならば、一定以上の邪神が降誕する余地をみすみす見逃す事に成る。全て把握出来るかも解らない物に対して、世界全てを監視し続けろ、って言うのも酷な話で、エネルギー溜まりに貯まっているエネルギーが一部の奴にしか知覚出来ない類いの物なパターンも有り得て、でもそれで大事が起きればある程度は既に知っていたのに対策を打たなかった事に成るし、責任追及される流れに成る……だけなら良いが、普通に殺される流れに成りかねないのだ。でも皆にそれを公表する事で、エネルギー溜まりを潰すのが多角的に可能に成るか……。これには利益も不利益も存在する。けれど……。

『……先輩……半分近くは最近の流れの説明で、自分で考えていませんよね?』

『……そりゃそうだけどさ、……そう言えば浄化って複合的能力だけど、……一部分だけを取り出して使うのが可能なら、…結構良い能力に成るのじゃ無いかな…』

『浄化の定義付け次第では回復魔法として使えますね。怪我を受けた、や、何かをされた。……を浄化として取り除けば良いのですから』

『腕を切られた後に回復魔法で体から再生され生えた物は、本人の腕っていえるのだろうか?』

『斬られる前と全く同一な物かと言われたら否だと思います。腕を元通りにくっつけた。では無く、再生させて生やしていますから』

『アレな話をするが、膣とか子宮とか体の部位を切り取って丸ごと再生で、また処女扱いに成るのか?』

『……後、やった事に依って起きた体の変化全般を消せばそうなるのでは無いでしょうか?』

『……まあ、体の一部分だけが残っていれば全身再生出来るなら、それも出来るわな。リョナは好きじゃ無いから、誰かがレイプされた場合の対処としてしか使うつもりは無いけど……』

『……再生能力をそう言う使い方されてもアレなのだけど?』

『全身再生可能な能力を持つ奴が居れば、可能だろ。何で逆にそれだけ出来ない形に成るのか?』

『……普通出来るとしても、そんな事考えないわよ?』

『まあ、そうだな。何となく思い付いただけだ。流してくれ』

『……リョナは普通に怖いわよ』

『一種のレイプの事実抹消手段なだけで、リョナ自体が目的では無いので、リョナが好物な訳では無いからリョナは勘弁な……』

『でも、公表されたならわざわざ放水器の体をわざわざ取る必要性は無くなったわね』

『そうだな。あれは能力を使わないでも原理的には出来る事だ。だから、能力を使ってないですよ。で、誤魔化す為の物だった訳だが、あっさり見抜かれたからな。まあ、その必要性はもう無いわな。相手を構成する水分を操る……のは通常生物以外へはそもそも体に水を必要とし無い奴へは微妙だけど、如何するか?』

『胃酸や、理論純水を使う事も一応可能と言えば可能ね』

『理論純水は潰すには要は他の奴を混ぜれば良いが、対策は?』

『物質変換が有るわね。他の奴を混ぜられても対象を水に変換するのに使えば良いわ』

『物質変換可能な範囲は?』

『それは細かい検証はしていない……と言うより、仮に既存物質全部変換出来ても、魔法産の奴が大丈夫か解らないわ。例えば独自物質をぶつければ変換対象外とか来そうよね?』

『なら、変換可能対象を増やす方法は?一撃さえ凌げば、それが有れば意味が無くなる』

『それで慢心すると、要は一撃で殺せば良いな?と成るわよ?まあ、水その物が私、なのだから、私の場合、それだと水が必要な生物全ても道連れの気がするわね』

『他の世界に追い出すのは水その物を全部だし、全ての生物が水を要らない状況にするとか?』

『……世界全ての生物の生存権を全部一人で握れる様な奴でも無いとそれは無理よね?いや、全員に水の要らないサイボーグに成らせるとかするのは掛かるお金が青天井的に成るから現実的には不可能だし食料も酷く成るわ。世界の中全ての水を一斉に除去出来る奴が居るなら可能だとしても、でもまだそう言うレベルの奴が出て来る様な段階では無いはずよ?』

『まあ、それもそうか。そもそも今は一定以上の奴が召喚されるのを防ごうって段階だ。一定以上の奴を倒そうって話ではまだ無いからな』

『……召喚者側にレベルアップの概念や、外部干渉が有ったら、その限りでは無いですけどね』

『……だからって大量に召喚するのは召喚システムの所有者に君等を渡す事に成らないか?』

『……だからとそれを周りは止めないはずです。まだ現段階ではそれは懸念事項なだけなのですから。今の手札だけで全てに対抗出来ますか?それで死んでは元も子もありませんよ?』

『後数人だけ創る。それも出来うる限りの万能系を。どうにか出来る様にする。してみせる』

『……召喚者側にレベルアップの概念が存在する場合、普通の奴をその手法でやろうとしたとして、持って一年では無いでしょうか?』

『なら、それを召喚システムの主権を確保する場合のタイムリミットにしよう。それまでに、召喚システムの先の仮説を実証するのが出来ればまだやりようは有るはずだ』

『……解りました。それは私達の為なのは解ります。……でも本来なら止めるべき所ですよね』

『まあ、召喚で良いのが来れば可能かも知れんからな。後数回の内に大当たりを引くしかない。……例えば他と相対的に強さが変わる能力って如何かな?』

『……それは創作キャラだと簡単に使い熟せそうですけど……例えば碌な説明書もチュートリアルも無しの機器を、初見で何十何百何千種類と適宜操るのは普通なら出来ますか?』

『……無理だな。うん。なら実際にステータスが適宜本格的に変わる系は無理が有るか……あ、なら、こういうのは如何だろう?』

 そしてあるアイディアを提示する。……が、

『アイディア自体は良いですが、問題はそれを運用する上での仕様です。例えば火力の低い打ち消しだと只の軽減に成りますからね。仕様の推敲をしましょう。話はそれからです』

 そして設定の推敲を話し合い始めた。……其所で気付く。

『進化や覚醒や成長アイテム造れる奴創れば良いのじゃ?そうすりゃ強さは何とか成りそう』

『さすがにそれはもう創っている奴は居ますよね?』

『いわゆる強化アイテムの種の種を創るアイテムを造れる奴を創るのさ』

『……はい?どう言う事でしょうか?』

『使うには今の俺達が可能な手法でやれる手順を踏む必要性の有る強化アイテムを造れる奴を創る。……どうせシンプルに強化アイテム造れる奴は他の奴が創っているだろうからな。要は必要な手間を増やして独自性を無理矢理出す』

『……詐欺じゃ無いですか……』

『さっさと創るぞ』

『……そうですね。サポートします』

そして家の中で召喚システムを起動し召喚を行う。強化アイテムの追加の手間の手順?伏せるに決まっているよね。そして召喚を行った。

 種族は、ブロッサムシードシードアーキテクト……開花の種の、種の建築者。設定の穴を狙った結果、種族名が長く成ってしまった……。召喚エフェクトは、……皆無。いや、色が膨大に有り過ぎて脳が認識を拒絶したのか、認識が出来ない空間が何故か暫く有っただけだった。……まあ、いい。御対面と行こうか。

「私は貴方の強い想いに呼ばれてここに来た。貴方に試練を、その想いを通すだけの、私を使役するだけの物を提示なさい。さすれば私は喜んで力を貸さして頂きます」

「創作では新キャラ加入時にバトルするのはよく有るし、意図も解るけど、無くても良くない?」

「自分と同じ力をぶつけられた時に対抗出来なければ、大いなる力等、有った所で身を滅ぼすだけでしか有りません。故に私に貴方が相応しいと認めさせてご覧なさい」

「……それは暴走でも何でも無く、今後の為の物か。なら断る訳にも行かないか」

「では宜しいですね?」

「……場所だけ変えさせて貰って良いか?このままだと家が滅茶苦茶に成るし」

「解りました。では、今回の戦闘ではそれで覚醒した物を使わないと言う条件で一つ覚醒アイテムを渡します。それで転移を使い、どこかの山奥にでも移動なさい」

「……解った。覚醒アイテムを渡してくれ」

「ではこれです受け取りなさい」

……どうやら向日葵の種の形をしている。それを受け取り、……ええと。

「それに貴方のエネルギーを籠めて食べなさい。そしたら転移の力が増えているはずです」

「了解」

 それを食べると転移の力を手に入れた様だ。ついでに空間把握能力も得た様なので、山奥に移動し、バトルをする事にした。さて、行ってみようか……。しかし、いわゆる強化アイテムを創る能力が通ったのは朗報だ。それさえ有ればインフレにおいていかれるキャラもそう簡単には居なくなる。……限界値が低い場合はアレだが、最初寄りかはマシで有るはずだ。……最初から限界値でも無い限りはだが。……勝てなくては駄目なのだが、……さて、

「これはどうすれば勝ちなのだろうか?」

「そうですね。能力を使っても良いので、十分以内に私に触れてください。召喚者側を狙う奴もそれなりに居るはずですから、機動力くらいは無くては困りますので」

「……つまり鬼ごっこか?」

「平たく言えばそうなります。私はゲーム的に例えるなら、戦闘者側では無く、生産者側ビルドですからね。なのに、それで機動力で負ける様では話に成りませんので……宜しいですか?」

「ふぅ。ガチバトルじゃ無くて安心したよ」

「では行きますよ?この小枝を上に投げますので、落ちた瞬間からスタートです」

そして鬼ごっこが始まった。すると辺り一面の物が蠢き始めた。

「ちょっ、いや、なんだ、これ」

「強化アイテムを周りの草木に接種させて望む形に成長させたの。だから、ホーミングは無いわ。まあ、頑張って私に触れなさいな」

「……山奥を指定したのはこれが目的か……おっと」

あくまでホーミングはし無いとは言え、成長させるタイミング迄なら照準は付けられる。炎系が有れば簡単に対処出来るのだろうが、そんな事をしたら山火事だ。ゲームやガチの殺し合いならともかく、今回は洒落に成らない。まあ、水は使えるけども。要は強化アイテムが触れた物質を彼女が望む様に進化や強化や成長等をさせる能力として運用されている。何も辺りに無い場所で戦う場合は取れる手段は結構減りはするだろうが、……そもそもビルド自体は生産者側の物らしいので、条件付きとは言え、ある程度戦えている時点で十分な様な気もする。相変わらず周りの草木が攻撃を放ってくる。丸で森その物を相手にしているかの様。其所に花粉が大量に散布される。……杉花粉でも有るのか?花粉症は勘弁だ。……はぁ。ゆっくり対処していたら、どんどん追加を撃たれる。さっさとケリを付けた方が良いだろう。

……栗のトゲトゲが上から落ちてくる。……其所に強化アイテムがぶつけられた。……なので一気にその場から退避する。……栗のトゲトゲが一気に辺り一面に伸びた。とりあえず辺りの木々の種類を見ながら行く必要が有るようだ。まあ、身体的能力差的に何とか八分其処らでタッチする事に成功出来はしたのだが。

「流石にこれぐらいはして貰わなければ困りますが、ひとまずは合格ですね」

「なら協力してくれるって事で良いのだな?」

「ええ。そうなります。……しかし、ゲーム等の強化アイテム系の設定を出来うる限り設定にぶち込んで来るとは思いませんでしたけど」

「設定は密にしなきゃ雑魚に成るって前提の召喚システムなのだから、しょうが無いだろう。……仮にどんな手法の攻撃も当たらず、どんな攻撃も自分に勝利するだけの結果を与えてくれる能力……って設定を創ったとして、それだけでは詳細設計も何も無いからな」

「まあそれは確かにそうですね。……まあ、詳細設計を設定するのは現実に落とし込むなら当たり前ですが、沢山の手法を一つの能力に抱き合わせるのをある程度封じている設計でも有ります。実際、神話の時代の必中の矢なんて異能抜きの現代解釈では射手の腕が異常に良かっただけって事に成りますからね」

「……ああ、そう言うね。召喚システムは召喚される奴を書かれた通りの設定に大抵してくれる(但しそれに置ける解釈は召喚システム側が判断)から、書いてない設定は保障し無い、と」

「いわゆる注文書を召喚システムが解釈して私達が創られる形なのですから、注文書に書かれてない事はそもそも注文されてないと言う機械的な対応なだけでしょう。システムですからね」

「ちっ。さて、時間を見て見る……か、ってやべ、出勤時間成って……」

「……取って付けた様な言動ですね?とりあえず私を勤務先に見せたいなら止めてくださいね。あくまで生産者側ビルドなので狙われまくる展開は勘弁ですから」

「……ちぇ。なら、強化アイテムをある程度創って欲しいのだが、良いかな?」

「協力すると言ったのでそれくらいなら。ではどう言う物にしますか?」

「単純強化、能力の定義拡張、異能追加……先ずはどれにしようか?」

「では、私が良いかしら?水の操作を“水がどの様な状況でも可能にする”強化が欲しいわ」

「……なるほど。それで水蒸気や霧や、氷や雪の制御も可能に成るな。ひとまず、調べて穴が無い様にしようか。ちょっと待って、な。……よし」

そして既存の水の全ての状態を設定に盛り込んだ強化アイテムを接種した。水が関わる天候を全部やれかねない事に成っていませんかね?これ……。

「先輩。私は指定の耐性の低下能力が欲しいのですが、大丈夫でしょうか?」

「良いな。それなら完全耐性も崩せる様にしよう。でもサキュバスから逸脱してないか?」

「いえ、感度を上げる能力の発展系にするつもりです。つまり、本来より与えるダメージを増加する処理を可能とする能力ですかね。増加処理の方式が迷い所ですので意見をください」

 そして暫く話し合いを行い、それを元にした強化アイテムを白菊は接種し、調子を確かめるのだった。

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