S13.1 お姉さんに淫夢、見せてあげると言われて何を想像しますか?
――光綿市 光綿支部紅葉――
祓川「おかしいですよやっぱり。いくらこのはちゃんがベリーベリーキュートプリティアイラブだったとしても、朝っぱらにお茶して帰るだけのご老人たちの話題の的になるほどの知名度があるとは思えないんです」
瀬川「そうかな……?毎日見るけどなあ……」
祓川「それはせんぱいがキモオタだからです。普通一般人がピカチュウやミクさん以上にVtuberの1個人を知ってるっていうのはかなりの異常事態ですよ」
瀬川「そう……なのかな……。あんなにかわいいのにアンチもいっぱい湧いてるし災難だなあ」
浅倉「あの、依頼された件の報告に……あっ、お取り込み中ですか」
祓川「やっと来ましたね。せんぱいはただのキモオタ拗らせて現実直視出来なくなってるだけですから。報告、お願いしていいですか?」
瀬川「やっぱり現実、見えてないのか……。だからあの時、戦況判断も僕だけ甘かったのかも……。はぁ……」
浅倉「あっはい、えっと……祓川さんでしたよね。じゃあ関係者か……。栃木近辺の中高校のVtuberの認知度ですけど、”秋月このは”は100%でした。ほかのVtuberは有名な人でも20%くらいでしたのでかなり異常な数字なんじゃないかなぁと思います」
祓川「やっぱりね……。この街、やっぱりこのはちゃんに呪われてるわ。なんでか知らないけど」
瀬川「ありがとう。それで、浅倉くんが来たらもう一つ聞きたいことがあったんだ」
瀬川「この電話番号を知っているかい?」
▶メモを渡しますね。電話番号が書かれています
浅倉「電話番号?んー、これどっかで見たような気が……。あー、もしかしたら攫われたときに入れられた牢屋で見たかもしれないです。半年くらい前にあったあのときの」
祓川「本当?!ちょっと待って、報告書取ってくるわ」
瀬川「やっぱりそうなのか。この間の事件報告書は見てくれたと思うんだけど、今回はあの悪鬼を完全に破壊できなかったのが原因なんだ」
瀬川「ああいうのは都市伝説って言ってね。紅葉だと劇場型悪鬼とか言われたりするんだ。劇場型悪鬼の面倒なところは手順をきっちり踏まないと消滅しないところなんだ」
瀬川「おそらく、このはちゃんに関連した劇場型悪鬼だと思うんだけど、いまいち打開策がなくてね。この電話番号、かけてもらってもいいかい?」
浅倉「えっ私がですか?――うえーやだなー。このままここでかけますよ?」
瀬川「それで構わないよ。劇場型悪鬼は犠牲になる人に対してのみ必要となるキーを渡すんだ。例えば口裂け女だと、必ず一人で夜に出歩かないと発生しない。みたいに条件付が必ずあるものなんだ」
祓川「持ってきたわ!帯刀のアホ漢字使えボケハゲカス!!!それで、せんぱいは電話番号について話してくれました?」
浅倉「やっぱり聞かなかったほうがよかったです……。犠牲にとかこの場合100%私じゃん……」
祓川「どうやら私の見立てだと可愛い子にしか見えないようになってるぽいから安心して」
▶ノイズが大量にかかったあと、「こんにちは、秋月このはちゃんチャンネルに来てくださってありがとうございます。今日やるのはですね、なんと、宿題です!このはは最近学校に行けてないので、あんまり宿題もわからなくて……。見てくださっている方、教えてくれるとうれしいです~」とこのはちゃんの配信が聞こえてきますね
浅倉「……このはちゃんの配信が流れてます」
祓川「えぇ……。徹底してるわね」
瀬川「ちょっと音読してもらっていいかい?恐らく、僕たちが聞こうと思うと何も聞こえないと思うんだ」
浅倉「わかりました。途中からになっちゃいますが……。今日やるのはですね、なんと、宿題です!このはは最近学校に行けてないので、あんまり宿題もわからなくて……。見てくださっている方、教えてくれると…………」
瀬川「それは、1月10日17時配信の、『このは、宿題やっちゃいます!天敵の因数分解を撃破です~』の序盤だな。祓川くん、その日のトレンドとか調べてくれないかい?」
祓川「えっキモ……。嘘でしょ……キモ……わかりました、瀬川さん」
浅倉「まだ音読続けますか?」
祓川「#メンテの日なのでSSを貼る #ななくさあーと このはちゃん きさらぎ駅 ハコベちゃん 円周率 素因数分解 都市伝説 飛び火してる 光綿の怪談 神様だって殺してみせる #空の境界再放送」
祓川「って感じですね。光綿の怪談ってのが関係してるんですかね?」
瀬川「そうか、12月の方だったか……。そうか、あれは『皆さん助けてください~このは、明日テストなんです!』の方だ。そうか……僕もまだまだだな……」
瀬川「あの日はハコベちゃんと珍しくブッキングしてる日で印象に残ってたんだ……。ちゃんとスパチャも投げて美味しいご飯を食べれるようにお布施もしたのにどうして覚えてなかったんだ僕は……ファン失格じゃないか……全部見直さないと……」
祓川「ありがとう。浅倉ちゃんもTwitterで光綿の怪談で調べてみてくれない?私は他のやつをちょっと見てみる」
浅倉「あっはい、もういいんですね……。ふぅ……。で、えーっとTwitterでしたっけ」
祓川「ええ。そこのせんぱいはもう使い物にならないから、代わりにお願いね……」
▶浅倉 ネットサーフィンで判定
失敗
▶浅倉 アングラで判定
成功
▶では、上辺だけ見た感じですが日光、というより栃木には戦国時代に記憶を司る神様がいる、という話ですね。戦国時代の神、秋月このはと出ています
浅倉「トレンドに上がるワードなだけあって、邪魔な情報が……」
▶Twitterにリンクが貼られていたので踏むと、個人サイトですね。前世の話などをして如何せん胡散臭いのですが、気になる話を見つけます。”私の前世が消えた”、というものです。彼女の話曰く、幼少期からずっと親しんできた前世がある日いきなり秋月このはというVtuberで上書き保存されたというものですね。自分の前世は今でも秋月このはだと思っているが、秋月このはでググるとVtuberなのに気づいてから自分のブログを読み返し、上書きされているのに気づいた告発文です
浅倉「胡散臭いけど、これって過去の改変ってことじゃないの?それだと最初に見つけた神様だって記述も後付……?」
祓川「そういうのって思い込みとか、悪鬼に夢からちょこちょこ入れるのを霊感があるって思い込んだりとかで、割と信憑性はあるのよね……。――鵜呑に出来ないだけで」
祓川「光綿の怪談っていうのはこの、記憶を司る神様にお願い事をしたら自分の嫌なことを忘れられるっていう話のようね。なんかこのはちゃんにコメントしたら嫌なことを忘れられるって感じになってるけど」
瀬川「あー、あれ荒らしじゃなかったのか。マシュマロめちゃくちゃ炎上してるなって思ってたんだけど」
瀬川「そうなると……、件の光綿の怪談とこのはちゃんを混同した結果っぽいな。浅倉くん、祓川くんを連れて電話番号を見つけた場所に行ってもらえるかい?神様関係の劇場型なら、電話をかけたことでさらに手順を踏めるはずだから」
祓川「まあ、いいですけど。ちゃんと仕事してくださいね?アーカイブ見るのはなしですよせーんぱい」
瀬川「あ、うんそうだね。見ないよ……。調査報告を書いておくから……」
浅倉「えっ場所って行き方わからないですよ?いきなり襲われたわけですし……まさかもう一回襲われろと?」
祓川「そそ。私いるから襲われても大丈夫大丈夫。こう見えてあの帯刀の漢字書けない字汚い野郎より強いんだから」
浅倉「いや、襲われないと番号の書かれてた牢屋までいけないというか……。はぁ、よくわからないので言われたとおりにしますよ……。――確か、あの時はここに来る前の路地だったんで、適当に歩いてたら見つかるでしょ……」
――光綿市 住宅地――
▶道を歩いていると、地図を持ったおじさんに声をかけられます
おじさん「お嬢さん、結月さんってお宅知らないかい?知ってたら道を教えてほしいんだけど……」
浅倉「あっ祓川さん、多分この人?ですよ。たしかあのときもこんな感じでした」
祓川「ほーん。見てて。私、線があるなら何でも切れちゃうんだよね。――型月拗らせてるわけじゃないけど、得物ハサミだし」
▶そう言うと、祓川はポケットからおもちゃのハサミを取り出し、空中をチョキチョキさせました。するとおじさんが苦しみ始めます
おじさん「さてさてさてさて…………結月結月さん道知ってたら教えて道教えて知ってたら結月結月さてさておじさん結月さん知ってたら教えて知って道」
浅倉「うわ……わからん殺しだ、えっぐ……」
祓川「そのうち出来るようになるよ。概念を覚えるのが大事だよ」
祓川「ってことで、縁結び~なんてね」
▶祓川はおじさんの手を持つとおじさんの身体が縦に割れ、赤紫の悪鬼が出てきます
祓川「ビンゴビンゴー。ダンジョンを出口から入っちゃおうか」
浅倉「うわぁ……。なんか違う世界……、出口からってことはいきなりボスかぁ」
――きさらぎ駅――
浅倉「あれ、ここって……。牢屋じゃない?」
▶入った瞬間、リョナられた後のように身体のパーツがバラバラの秋月このはがハエのように群がってきますが、祓川が全部、身の丈よりも大きなハサミで斬り刻みました
浅倉「ひっ……すみません。迂闊でした……」
祓川「ま、気にしないでいいよ。それより、これこのはちゃんじゃないよ」
祓川「ほら」
▶浅倉 嗅覚で判定
失敗[違う、そうじゃない]
祓川「うーん。ここ見て。本当にこのはちゃんならここの骨格は女児のもののはずなのね。でもこの骨格は大人のものだから。このはちゃんを架空で大人にしたとしても、結局モチーフが必要だから知っている女児の身体にこのはちゃんの頭パーツを取り付けた感じになるわけ。ここにある、年齢幅の違う骨はこのはちゃんっぽい顔パーツに変化させただけの大人の人のはずよ。ほら、これなんて男の骨格だし」
祓川「ってことは、あそこのホームにきさらぎ駅ってこれみよがしに書いてるけど、これきさらぎ駅がモチーフの劇場型じゃないってこと。ほら、あそこに謎に光ってる民家もあるしね」
浅倉「すいません、先生。ついていけてないです……。――このはちゃんもどきがこのはちゃんじゃないってのはわかりましたけど、それがどうきさらぎ駅じゃないってことに繋がるんですか?きさらぎ駅にはあるべき姿があってそうじゃないから別物だみたいな感じなんですか?」
祓川「きさらぎ駅にはね、当然だけど、話にこのはちゃんはいないのよ。だから、このはちゃんがいるきさらぎ駅って時点で本来のきさらぎ駅じゃないってこと。あそこに家があるってのも本物との違いかな」
祓川「彼処の中が、報告書にあったその牢屋なんじゃないかな?それなりに気をつけて進もっか」
浅倉 「なるほど、少し理解できたと思います……。牢屋の中は確か吸血鬼?がいたと思いますし、道中も同じように危ないかもですね」
祓川「まあもどきくらいならサクッと斬るから、血しぶき浴びないようにだけ気をつけて」
――某所――
▶牢屋がありますね。壁に女の子向けの付箋が貼ってあります
祓川「ここでいいの?」
浅倉「あー多分私が見たのあれですね。あの付箋見た気がします。――あと、天井に化け物が張り付いていた気が……」
祓川「いや、いないけど……。ってうわ、出てきた」
▶羽根の生えた風鳴がこちらを見据えていますね。浅倉に飛びかかっていきます
浅倉「えっちょ、見た目変わってない???」
祓川「報告通りだなあって思ったんだけど……」
▶浅倉 戦闘回避[上から来るぞ!]
成功
浅倉「あっぶな!――よくよく考えたらあのときあんまり姿見てなかった気がする。けど羽は生えてたはずだし、同じやつか」
祓川「ここで風鳴くんねえ……。報告の通りなら、上書きってことか。なら適当に殴って持って帰っちゃいましょうか」
浅倉 「了解です。適度な塩梅がわからないからとりあえず全力で……」
▶浅倉 エルアイス[特攻魔法 昏鐘 鏗然 ターイナ パラノマル アメジスト 圧縮魔法[アイス[胃痛]]][フリーズランサー]
184ダメージ 14ダメージ
浅倉「持ち帰りなら瞬間冷凍が一番だよね……血の一滴まで凍れ!」
▶風鳴は消えていきますが、途中、祓川が出した本に吸い込まれていきます
浅倉「って、あれ……?」
祓川「風鳴くんと同じなら三精ってことだし、やっぱこれで封印できるわ。ありがと、楽出来たわ」
浅倉 「あっはい、やりすぎじゃなかったら良かったです」
祓川「とりあえずこの付箋、触ってくれる?私じゃ資格ないし」
浅倉「わかりました……剥がしますね」
▶すると、空間がさらに変質していき子供部屋そのものになりました。男女の兄弟の部屋のようですね。男っぽい学習机に、ノーパソがおいてあります
祓川「意外と普通ね。もっと猟奇的なやつが出てくると思ったんだけど」
浅倉「まだ悪鬼の中ですよね?すっごく普通の部屋ですね……」
祓川「そうねえ……。ノーパソはっと……なろうね、これ」
浅倉「ちょっと見てもいいですか?」
祓川「ええ。私はなろうはちょっと詳しくなくて。老害の第一歩かなあ」
▶モテなくて最底辺だった俺が転生してほのぼのもふもふ奴隷を拾ってハッピーのんびりライフが執筆途中でありますね
▶浅倉 本知識で判定
失敗[人間振り直し]
▶では、サラッと目を通しましたが、少し気になる箇所を見つけました。それは、ほも奴隷のヒロインの名前が、はこべ、このは、まほになっていることです。詳しくはないですが、ヒロインはそんな露骨な名前じゃないと記憶しています
浅倉「うーん……、タイトルは見たことあるんだけどなぁ。ヒロインの名前ももっと違った気が……」
祓川「あーほんとだ。このはちゃんがいるわ。えー、『毎日毎日羽虫のようにくっついてきて少し鬱陶しい。まあそれが子犬のような可愛さもあって俺のような疲れた社会人には癒やしにもなるんだけど』ねえ……。原因、これかもね」
浅倉「この小説が悪鬼での事象に影響してるんですか。それだとなんでこのはちゃんだけ……?」
祓川「だけじゃないのよそれが。真帆ちゃんがお休みしている理由ね、実は性格が変わっちゃってね。途中思い出したかのように元の性格に戻るんだけど、その度に『発狂して殺しても大丈夫だから、私のことを殺して』って泣くばっかりで……。知り合いが困ってたわ」
祓川「ま、殺しても大丈夫って言い切る人間の時点でだいぶメンタルやばいけどね。多分上書きで概念付与されてるんだと思うわ。概念付与はわかる?」
浅倉「そういえば、一番最初にここに来たとき、確かに清浦真帆がいました……。概念付与はなんとなく。理論はよくわかってないですけど実物は何度かみてるので」
祓川「あー。あの人妻ロリの人見てればわかるか。まあ多分原因はこの本なんだと思う。とりあえずノーパソ壊しちゃって。ハサミじゃちょっと……。刃こぼれが」
浅倉「電子レンジでチンすればいいとかよく見ますけど……。悪鬼のものだとやっぱそれ用の手段がいるんですかね」
祓川「とりあえず思いっきり氷か火か……。そういう感じでドバーって感じ。私はほら、脳筋だから」
浅倉「氷か火でいいなら魔術でも当ててみますね」
▶浅倉 エルアイス[特攻魔法 昏鐘 鏗然 ターイナ パラノマル アメジスト][フリーズランサー]
172ダメージ
▶パソコンが壊れると、そのまま空間が崩れていきます
祓川「魔術に身体が耐えきれてなくてボロボロじゃない。もっと鍛えなさいな」
浅倉「うへぇ、精進します……。やっぱり全力でってなると体力がぁ……」
祓川「帰るわよ。キモオタせんぱいに詳しく聞きましょっか」
――光綿市 光綿支部紅葉――
祓川「というわけです。劇場型の大元はどうやらほも奴隷とかいうなろう小説が原因のようです」
瀬川「なるほど……。噂ではあったけど本当にENOKIをモデルにしていたのか。となると、報告書にあったおじさんとかいうのは伊良原なんだろうな」
祓川「いらたんのイメージってあんなんなんだぁ……。へっぇぇ……いいこと聞いたわ」
浅倉「本人見たこと無いのに名前と姿が紐付けられちゃったからその名前聞くたびにあの気持ち悪いやつの顔が浮かぶようになっちゃう……」
瀬川「伊良原に関してはまあいいとして、原因がほも奴隷だったってのは意外だったかな。確かに作者がこの街に住んでるのなら、このはちゃんがたくさん湧いてくるのも仕方ないのか……?でもこれだけじゃ認知度とかの説明が出来ないな……」
祓川「まだ何かあるんでしょうね。浅倉ちゃんは宇佐木ちゃんと一緒に引き続き調査をお願いするわ。今度は三精に関係あるものがこの街にあるかどうか、よ」
浅倉「あっはいわかりました。けどある程度調べましたし、次はもっと範囲を広げるんですか?それとも調べる情報を絞る感じですか?」
瀬川「すまないね。本来ならそういう裏方は僕がやるべきなんだろうけど……」
祓川「三精ってのは、月、星、太陽のことよ。天体に関係することだから、割とわかりやすいと思うわ。歴史伝承とかご老人から話を聞くだけ出しすぐだと思う。最近火球も飛んでるし、丁度いいわ」
浅倉「すいません、ちゃんと聞けてなかったみたいで頓珍漢なことを……三精ですね、大丈夫です」
瀬川「すまないね。頼むよ」
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