Love to Brave(ラブトブレイブ)

D&R

Love to Brave

ラブトブレイブⅠ プレビュー

前編 はじまり、はじまり


 BGMも勇ましく、二人は道を行く。

 草原は一面の緑。丈の短い草に覆われた原っぱが、見通しよくなだらかに続いている。空はよく晴れいい天気。二人が進むのは、踏み固められた土の道。


 お日さまの下で、美しい少女が笑う。


【ルシーナ・エリス・プリンセシア】


 アルド・ルシーナ姫王国のお姫さま。金色が美しい長い髪に、愛らしい桃色の瞳。気取らない白い旅装を身に着けて、けれど綺麗に伸びた背筋には品がある。


 彼女の隣には、少年がいる。


【ロイド】


 天から降臨した(落ちてきた)勇者。柔らかい茶色の髪に、縁無しの丸い眼鏡。ぽやんとして優しげな印象の顔立ちと、隣の少女よりはわずかだけ高い背丈。おろしたてでピカピカの革鎧を着込み、いささか古ぼけた様子の剣を腰に下げている。


「おや。見よ、勇者」

 

 エリスは指し示す。

 こちらに向かってぴょこぴょこ飛び跳ねてくる、小さなゼリー状の姿がある。


「うん」


 ロイドは腰に下げていた剣を取ると、剣鞘ごと構えた。



 グミーが あらわれた!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 勇者が空から落ちてきた。


 大陸中に名を馳せる暴れ姫:エリスの人生は、この日を境に大きく変わる。


 勇者とともに、西の大国ルミランスを目指す彼女。ルミランス王からの依頼を受け、さらに北の町に向かう。


 和やかに始まった旅路には、しかしやがて影が落ちる。


 人を〈殺せる〉凶器を手にした邪教徒たち。

 千年前に姿を消した、闇の者共の暗躍。

 そして勇者ロイドが見せる、人ならざるものの顔。


 果たして、北の町でエリスを待ち受けるものは。


 背後に潜んで糸を引く者の哄笑か、あるいは―― 信じた彼の裏切りか。


 迎える結末。



 物語は、激動の後編に続く。

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