第20話 見送る背中

短歌一首



「サヨナラ」と言わず

「またね」と言う人の

見送る背中   また はない夜




別れ際の挨拶は、私が寂しがるからと「サヨナラ」ではなく「またね」と言ってくれた。

「じゃ、また」と言って私も見送る。

口ぐせなのね、きっと逢うのも今夜が最期だというのに、あなたは去り際に「またね」と言って背中を向ける。

私はその背中にかける言葉を持ち合わせてはいない。その背中が小さくなるまで見ていた。

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