第10話 知るも 知らぬも 逢坂の関

『あぁ…なんか、嫌な夢を見たなぁ…夢の中で、誰のワイシャツかなぁ…ビリビリに破く夢って…はぁ、精神的に追い込まれたのかなぁ…あぁ…しっかりしなきゃ!大好きな先生に逢うんだから、笑顔、笑顔。負けるなぁ…私。よし、こんな時は深呼吸!ふぅ〜はぁ!先生、先生、おはようございます。』

『おぉ、元気玉をありがとう!素敵な笑顔は誰しもが持っている宝石だから、気持ちが良いなぁ!』

『えぇ、本当に…うれしいなぁ…最近、誉められていなかったから、すごくうれしいなぁ…。ありがとうございます。』

『いえいえ、どう致しまして。』

『あぁ…先生、少しだけ聞いても良いですか?子供もの頃はどんなに少年だったのですか?』

『どうした?突然。』

『ちょっと、最近、バブルの頃の話が話題だから…ちょっと、気になったんです。』

『あぁ…なるほどなぁ…確か、小学生だったかな…少しだけだぞぉ。

まぁ、とにかく、変わっていたかもなぁ…周囲は『宇宙人と交信している。』とか『ジキルとハイド』がいるとか…『目立ちたがり屋』とか『歴史博士』とか言われていたなぁ…。』

『えぇ、そう何ですか?『宇宙人と交信しているは気になるなぁ…』』

『あぁ…ただ1人ごとがとにかく、大きかったんだよぉ。まぁ、こんな感じだなぁ…

19××年

『これからテスト始めるからなぁ。後ろに回してなぁ。はい、はじめて…』

『なるほどなぁ…解るなぁ…大変だったよなぁ。辛かっただろうなぁ。『1人寂しい夜ねぇ?』

夜かぁ…そうだなぁ。

今日はご飯を食べた後は…

最近はお風呂に入ったら、バラエティー番組見て、あぁ…そうそう、そう言えば、明日は土曜日だなぁ…ウッチャンナンチャン、ドリフターズ、タケちゃんマンと被るなぁ…全部みたいけど…あぁ…明日はナイターで巨人戦だなぁ…それに、川口探険隊だなぁ…あれも、面白いけど…よし!こうなった、あみだくじかなぁ?いやぁ、違うって、なるほどねぇ…そっか!泣けば良いねぇ?お母さんが間に入ってチャンネルを譲ってくれるねぇ?でもなぁ、また言われるのかなぁ…いつも、子供に甘いって…あぁ…ドンマイ。

でぇ、『その後は…どんな気持ちだったか?作者の気持ちを文章から選び記入して下さい。』かぁ…なるほど、なるほど、これは簡単だなぁ!寒さ=青い月 寂しい=曇に隠れて だなぁ…!完璧じゃん。お見事すごいぞぉ!天才!まぁ、まぁ、まぁ、そんなに誉めても何も出ないぞぉ!だから答えは『青い月 雲に隠れて』』

『たくぅ、うるせなぁ!』

『先生、また、宇宙人と交信始めました。』

『先生、どうにかしてくれない?マジ、こいつ、うるさい。』

『ほらぁ、前も伝えたけど…テストは私語厳禁!』っ言ったよなぁ…次は1人で受けてもらうからなぁ…』

『その後はおもうように、テストが出来なくてなぁ…』


『先生、面白かったんだぁ。私の頃も似たような生徒いましたよぉ。たいていは頭が良い人だったなぁ…。想像力が豊かなだけなんだけど、今は『病気』だと思われるみたいですけど…可哀想ですよねぇ?あぁ…先生に渡す物です。』

『なにかなぁ…いつものルイボスティーとソフトチキンとパクチー大量のサラダでしょ。ハムとチーズのサンドイッチでしょ。これは何かなぁ?』

『開けて見て下さい。』

『あれぇ、京都のガイドブックだねぇ?』

『実は、先生の家にあったガイドブックなんですけど…無くなったのではなくて…すいません、鞄の中にありました。』

『あぁ…いやいや、ちょうど新しいの買おうと思っていたから、大丈夫だよぉ…もしかして、わざわざ、買ってきたのぉ?大丈夫だよぉ…気持ちはうれしいけど…新しいのは頂けないって。それに、古い京都のガイドブックを返してもらえれば大丈夫だって。』

『そうは言わないで、もらって下さいよぉ。古いガイドブックですが…実は、コーヒーをこぼしてしまって…』

『そうかぁ…なら、遠慮なくもらうねぇ?

あぁ…今度、ガイドブックをもらったから京都でも付き合ってなぁ?』

『えぇ?良いんですか?』

『あぁ…もちろんだよぉ…どうせ、1人で行くだけで寂しいからなぁ。』

『はぁ、はい!喜んで。』

『あぁ…それと、原稿が仕上がっているから持って行ってねぇ?では、原稿が出来たら、連絡しますねぇ?』



『やった!うれしいなぁ…京都に旅行だなぁ…楽しみだなぁ…あれぇ、私となんて行くわけないよなぁ…たまたま、そう言っただけだよなぁ、社交辞令、社交辞令よねぇ?もう、馬鹿だなぁ…。』


『いやぁ、ビックリだなぁ…このガイドブックは妄想の中で持っていたよなぁ…まさか、もしかしたら、ガイドブックの原点がこれなのかなぁ?なわけないよなぁ…あるわけないよなぁ。でもなぁ、しまったなぁ…昔、1人ごとが大きかったのを教えてしまったなぁ…冷静になったら、隠す事だったよなぁ…あぁ…失敗したなぁ。面白い人かぁ…馬鹿にしてはいなかったのが…救いではあるけど…さぁ、開き直って、仕事、仕事!』


今日の百人一首は…

『蝉丸〜これやこの 行くも帰るも

別れては 知るも 知らぬも 逢坂の関』


20××年

『参ったなぁ…まさか、正月の上野アメ横で離れるとはなぁ…それにしても、右も左も人、人、人だなぁ…プルプル…プルプル…あぁ…先生何処にいますか?』

『あぁ…今、上野駅に戻ったよぉ。』

『えぇ、もうひどいじゃないですか?』

『だって、『ひどい人混みでお互いにはぐれたら上野駅ねぇ?』と言われたから素直に上野駅に戻ったんだぁ』

『それは、解るなけど…手を離すとは思っていなかったなぁ…』

『そりゃ、気持ちは解るけど…』

『あぁ…お待たせ…あれぇ、何を食べているんですか?』

『あぁ、これか?チロルチョコのバラエティーパックだなぁ…』

『えぇ、先生はチロルチョコ好きなんですか?』

『あぁ、そうだなぁ…色々な味や食感があるからなぁ。ほらぁ、どうぞ?』

『あぁ、ありがとうございます。先生はどの味が好き何ですか?』

『やはり、ダントツに『きなこ餅』だなぁ…ありゃ、あきないけど…バラエティーパックには入っていないんだぁ…』

『えぇ、そうなんですか?実は『チロルチョコのきなこ餅』ありますよぉ!』

『マジかぁ、ちょうだい、ちょうだい。』

『はい、あげるねぇ。まさか、先生もチロルチョコが好きとはねぇ?』

『私も、大好きですよぉ。』

『それにしても、こんなにアメ横がすごいとはねぇ?』

『そうだねぇ?上野のアメ横はすごいんだねぇ?あぁ…そう言えば、昔の関所もこんな感じだったのかなぁ…ちょっと、何で目をつぶっているのぉ?』

『いやぁ、蝉丸を思い出してねぇ?蝉丸は盲目だったんだけど…知るも知るも 逢坂の関っと百人一首で言っていたから、想像して見たんだぁ。』

『でぇ、どうだった…?』

『確かに、関所も同じように賑やかだったんだろうなぁ…って感じたなぁ。』

『同じように、別れて、再開するんだねぇ?』

『昔は上野駅は関所みたいな場所だったのかもなぁ…誰もが通り過ぎる事をのぞいては…』


『知るも知らぬも 逢坂の関だなぁ…』


『あちゃ、ついつい、京都のガイドブック見ていたら…上野駅を思い出したなぁ…昔は集団就職の舞台だったからなぁ…金の玉子たちはどうなっ多のかなぁ〜逢坂の関を抜けた人は幸せになれたのかなぁ…さぁ、仕事、仕事しなきゃなぁ…あれぇ、上野アメ横のパンフレットが机にあるのかなぁ…』




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