ベルセルクとかいうやつ


「女の子?」


そう。空間の中央で1人の少女が寝ていた。顔めっちゃ綺麗だし、黒髪ボブだし、服なんか独特でちょっとゴスロリ臭するし、俺の語彙力皆無だけどなんか凄かった。小並感。


「う、ううん?」


1時間ほど前の誰かさんのように、彼女は目覚めた。


「うーん……ええと、君は誰?」


そりゃこっちが訊きたい。


「そりゃこっちが訊きたい」


声に出てしまった。


「僕は、ベルセルクっていうの。君は?」


思考停止。ボクっ娘?いや、男の娘の可能性も否定できない。いや、でも性別訊くのは不味いだろってか、ベルセルクって厨二かな?


「ええと、ライト・サコマです」


何となく、姓名を逆にしてみる。


「へぇーライトかー。カッコイイじゃん。てか、苗字持ちって結構貴族だったりする?」


「あ、ありがとう。いや、別に貴族でもなんでもないただのへーみんですけど」


「ふーん、人間界はよく知らないからなぁ」


この時、俺の頭は何かを感じとりいつもの倍以上のスピードで回転した!人間界?そんな風に呼ぶのは、ラノベ的に考えて、人ならざる者では無いのか?村長の手紙の内容と総合すると…


「君、まさか、龍だったりする?」


「おーよく分かったねー」


「………」


ぜっんぜん嬉しくない。龍だぞ?コレマジで死ぬぞ?チートあっても苦戦する作品もあるんだぞ。絶対終わりだぁー!


「あはは、そんな顔しなくても、取って食ったりしないから」


「え?マジで?油断させてとかじゃなくて?」


「……はは、よく気づいたな、若者よ!」


「やっぱり!?」


「なーんてね」


「無駄にノリがいいっ!」


なんか面白いなこいつ。じゃあ、性別訊いてみるか。


「あのー訊きたい事がー」


「どーぞどーぞ、何でもいいよー」


「雌雄どっちですか?」


「…君、初対面なのに失礼じゃない?」


「なんでもって言ったじゃん!」


これは、怒らしたかな?やっぱりここで終わりか?俺の人生。


「まあ、久しぶりの話し相手だし、特別に答えてあげようじゃないか」


「おお!」


「雌です」


意外とあっさり答えてくれた。しかも、雌だったのかよ。いや、今の姿的に女子と言った方がいいか。


「なんか俺的にはよっしゃ」


「どゆこと?」


「ノーコメントで」


これは、圧倒的に賛否両論ありそうだから、スルーで。


「あ、そして俺、今日君の生贄になりに来たんだけどー」


「随分と軽く言うねー。でも、そうかーあの村の人たちは僕が村を襲うと思ったのかな?」


「そうみたいだぞ。そのおかげで、俺は睡眠薬盛られてここに放置だよ」


「えっ!それは、悪い事をしたな…旅の途中に休みに来ただけなのに…」


「旅してるのか?」


「そうそう。故郷を追い出されてね」


なんか、こいつも大変な思いをしているのか。俺も似たようなもんだからな。俺の場合は、故郷というか、住んでた世界からだけど。


「大変、だったね」


「なんか、それは白銀の髪のハーフエルフに言われたいなー」


「なんで知ってるんだよ」


兎に角、俺とベルセルクは洞窟を出ることになった。


俺が目覚めた場所まで来る。


「ここ壊せるね」


「マジ?」


「うん」


ボッコォォッッッッッンン!!!!!!

……殴っただけでいとも簡単に壊れた岩壁。うん、やっぱこいつバケモンだわ。


「これでOK」


「よし、これで外出れるけどどうする?」


「まず、村へ行こうよ」


「え、また生贄にされそう。しかも、もっと手荒い方法で」


「僕に策がある」


そう言いながら、ベルセルクはニヤリとした。なんか嫌な予感がした。

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