ナムール村のおてんば娘

「美桜、今日はお客がくるから

ブレッドと、7人分のビーフシチュー

とチキンの香草焼きを作っておいて


あ‼、下ごしらえはしてあるし

デザートは作って冷やしてあるから

それから店は休みにしてあるから」


そう言い残してマヤさんはまだ

夜が明けないうちにどっか行った。


カフェに臨時休業のお詫びの

看板を出し頼まれた料理をつくる。


マヤさんに叩き込まれた

腕をフル活用しテキパキテキパキ

味に自信はある。


いい香りが辺り一面に漂いだす。

あとは火加減のみ、鍋にお任せ‼

火加減さえ間違わなければ

大丈夫‼


家のドアを空け全開にする

夏とは明らかに違う落ち着いた

風が通ってくる。


「ん━━━━━ん、気持ちいいー」

外の花達もサルビアや、 アグラタム

アベリア等様変わりを始めた。


しばらくながめていると?

白い物が入って来た?のが目の

端っこに見えた。


「ん?えっ・・・と?」


そっちのドアを不振な顔で見て

いると小さい人が入って来た?


「ん?」


その人は、ロリータがオシャレで

被るようなレースたっぷりの

白い帽子を被りフランス人形の

様なふわふわドレスを着て美桜を

見つめ、ニッコリ微笑みながら言った。


「美桜、久しぶりね!」


帽子をとり顔を見せたその人は


「ジュリアさん?

ジュリアさんじゃないですか❤

お久しぶりです!


ウワアどうして此処が

分かったんですかァ?」


美桜は飛びついて小さな

ジュリアさんを抱き上げた。


「み、みお、美桜あ、

ワッ´アブナイ

危ないからー‼」


「美桜‼ 俺もいるけど・・・」


「へ?」

驚いた美桜にクルクルと巻いた

白い体を高く伸ばして

シュッシュッと舌をだした。


「あー‼꒳ᵒ꒳ᵎᵎᵎ

白蛇の?ぴぴ?エット

ピットさ・・・ん?」


「何だよ

忘れるなよ。」


「って事はマヤさんとお知り合い?」


「うふふ、そうよ

私もピットも、知り合いって

言うより仲間なのよ。」


ピットは白い体を椅子の上に

クルクルと巻いて頷いた。


「仲間? なんの仲間ですか?」

美桜は不思議そうに聞いた。


「後からマヤが説明するさ!」


そんな話をしていたら

今度は背の高い綺麗なモデル並の

女性が入って来た。


その後にぽっちゃりとしたまたまた

フランス人形の様な出で立ちで

可愛らしい30代後半位の人が

入って来た。



綺麗な女性は

「チャールズは仕事で遅くなる

みたい。私はアリアよ

宜しくね美桜。」


「え、ん?」

アリアは軽く美桜にキスをした。


「私はタニアよ、宜しくね。」


タニアさんはぽっちゃりとした

可愛らしい手を出して握手して来た。



しばらくして、マヤさんが

困った顔をして帰って来た。


「どうしたんですか?マヤさん‼」


美桜はその様子に声をかけた。


揃った所悪いんだけど

今日修道院に、コーンとトマト

大根、人参を届けなくちゃ

ならないんだよ。


カボチャもパイを作るらしくてね

さっき、修道院の牧師さんに

頼まれちゃって、



「なーんだ、私行って来ますよ。」


「ほんとかい?

じゃあアリアもついていけるかい?」


美桜はケラケラ笑いながら


「いつも、行ってるし

1人で大丈夫でーす。


昼までには戻りますから

お茶でも飲んでてください。」


そう言うと慣れた手つきで

テキパキとリャカーを押しながら

美桜は畑へと歩きだした。


「ねえ、マヤ、シャロンは

随分逞しく育ってるのね。」


アリアは微笑みながら呟いた。



☁☁☀


今日はほんとにお天気さん。

美桜はグーンと背伸びをした。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る