MAN OF DESTINY太陽と月の指輪

ルミン

第1話 異世界入口

シャロン、シャロンが帰って来る。

待ちに待った、シャロンが300年の

時を超えて帰ってくるよ。


私達の愛する娘が帰ってくる。



メーン ヤーうありゃゃゃや

勇ましく逞しい声が、朝早い

武道館に響く。


外に1列に並んだ桜の木も青々

と茂りそれに這いつく蝉も

天を突き刺す様な甲高い声を

上げて泣いている。


70代の師範代の声で朝練が終わる。



黒く磨かれた床は女剣士、20人の

笑顔を映し出す。


美桜、奈美、菜月は中学時代からの

仲良し高校卒業してそれぞれの

道を歩み出したが週末の朝練には

必ず顔を合わせる。


武道館の前のカフェに駆け込み

朝ご飯を、食べるのが三人の今の

楽しみ。


「ハイハイ、お疲れさん。」


50代のカフェのおばちゃんは

レディース上がりのキレ者、元気が

良くてハキハキしている。


暇な時は話し掛けてくる、

中学時代からの行きつけのカフェ

言わば中の良い親戚みたいな

関係になっていた。


デザートは何時もオマケ、

私達の成長を楽しみと言ってくれる。


「あんたら、可愛くなったけど

男には気を付けるんだよ。

直ぐ⊙3⊙チュチュチュチュチュウゥゥゥゥゥ

って、なる男もいるんだからね‼」


「やだなぁ!おばちゃん私達

剣道3段なんだょ、

大丈夫だってぇ ー」


おばちゃんはハァ━と深い

溜息を付きながら


「あんたらは、ルールに守られた

試合しかしてないだろ‼


喧嘩は違うよ。お構い無しに攻めて

来るんだ、気を抜かない事、


でもね、

この男💓💞と思う男性を

見つけたなら

ぎゅゆゅゅっと掴んで離すんじゃ

ないよ。

勿論既婚者は駄目だよ。


「掴むって?」

美桜は不思議な顔をして聞いてきた。

奈美、菜月はもう恋人が居てなんと

無く理解している


ニヤニヤ、ニヤニヤ


意味深な笑いを浮かべる。

おばちゃんは美桜を見ながら


「ん?まだ小娘には、早かったか‼

ってか、ハートだょ‼ハート

パンイテツ、パンイテツ‼

あんたら何勘違いしてんのオ━‼。


おばちゃんはガハハと笑い奈美と、

菜月の頭を叩いた。


食事を終え、チャリを漕ぎながら

交差点で、奈美と菜月と何時もの

様に別れた。


如月美桜(きさらぎ みお)

私は医学療法士を目指す学生19歳


菜月は歯科衛生士を目指し


奈緒は、栄養士を目指している。

帰ったらそれぞれやる事は山積み


美桜(みお)には妹が二人いる。

美音(みね)18歳高校3年

美歌(みうた)15歳中学三年生


父親の願いを見事に裏切り

男子は、父以外1人も居なく見事に

女家系。


“自分の身は自分で守れ“


父親の教訓、

美桜は剣道、美音は空手、美歌は

少林寺拳法‼


しかしこれ以上、勇ましくなると

嫁の貰い手が無くなると、良妻賢母を

掲げる女子高へとはね込まれた。


日本舞踊、御料理、生け花

立ち振る舞いから、箸の上げ下ろし

マナー、ありとあらゆる事を中学か、ら高3迄、長い長ーい

花嫁修業は続いた。

しかし

お嬢様修行をしつつもソコは女子校

男の子はいないからやり放題!

靴下を机に干したり部活で汗まみれ

で親父が負けそうな納豆の匂い

誰が犯人か足の匂いを嗅ぎまわり

ほぼ

剣道部、バスケ部、バレー部

足の匂いで優勝するのはこの部活


そんな楽しい日バッカリだった。


そして卒業

新しい場所には男子が居る緊張も

する、こんな時剣道していたら

素に戻れる剣道は辞められない!



長い坂道を降りるとコンビニが

目にはいる、その看板が見えると

家はすぐソコ


\ピンポーン/\ピンポーン/\ピンポーン/

チャリを置いて、店の中へ

店の中のヒンヤリした風が美桜を

迎え入れてくれる。


暑さにやられた神経も癒されて

落ち着いてくる。


「あ〜生き返る。」

入り口で珈琲の香りが全体を包む!

「あー、別世界。」

1歩中へ入るとシナモンの甘い香り


「ハアアァァァシャワセやんけー」


もう一歩進むと、揚げ物の香り

若い娘は、いっもお腹が空いている

もんだ。


戸惑う暇も無くアメリカンドッグ

三本(妹達の分も)と

ジャージ乳系のアイスと、カルピ〇

ソーダを購入(自分のみ)。


コンビニ袋をチャリの前カゴに乗せ

アイスをペロペロしながら自転車を押す。妹達も練習が終わり家に帰り着く時間、シャワー争奪戦を避けたい。



川の土手の向日葵畑は一面

黄色で埋まっていて、青空の中白い

モクモクとした雲が、迫るように

広がっていた。

向日葵畑のイエローオレンジと、

空の青と白のシチュエーションは

素晴らしい。


軽く背を越す向日葵を

眺めながら歩く、ボーッと歩いて

いると見かけない大橋が見えた。


「あれ?れれ?こんな橋

いっ出来た?」


右左、前後、眺めながら・・・

木漏れ日の中を歩く

周りには大きな梶の木や、楓、楠木

が何百年も経った様な大木で枝を

広げて美桜を見下ろす様に立っていた。



自転車を橋のたもとに立てかけて

カルピ〇だけ握って橋を歩く。


橋の真ん中まで来た時下を流れる

大川にビックリする。

何時もの川はこんなに流れは荒く無くこんなに大きな川ではない。


この立派な橋も、玄関のドア

ぐらいの大きな石が、上手く

組み合わされていて、



石には緑の苔が青々と茂っていた。

まるで何百年も経ったような貫禄さえ感じられる。


石橋は西洋の、今にもフランス革命でも起こりそうな雰囲気を醸し出していた。


そんな事を思いながら歩いていると

突然足元が揺らいだ!

視界がグラついて、横揺れが

つづいた。


その後すぐ爆発音が聞こえて来て

頭のうえで響く夏の嵐の雷の様な

イメージを抱く。


すると石橋の、石が、ゴロ〜ン

ゴロ〜ンと崩れ


バッシャャャーンバシャャャーン

バシャャャーと水しぶきが上がる。

ドドドーン、ドドーン

美桜を追い立てるように積まれた

石が後ろから順番に落ちて行く。


「テ、テロ、」

一人大声で叫びながら全力疾走

何処をどう走ったか分からない。

土埃がモウモウと上がり煙の様に

追ってくる。


どれだけ走ったのだろう。

バタリと倒れ込んだ場所には、

あの、勇ましい音も収まっていた。



ただ妹達の心配

両親の心配

菜月や美奈や、友達の心配は、

尽きなかった。

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