第36話 あほの集団

 何度も何度も出されるビームを眺めながら俺達は困惑していた。俺のスキルで防がれてはいるが、この状態ではこちらの攻撃も入らないからだ。


「ヨシオがいてくれて助かったよ…この攻撃はかなりひどいね」

「それはどうも」

「そんなことよりどうすんだよこれ。このまま攻撃がやむまで待つのか?」


 健太の言う通り待つのもありなのだが、はっきり言ってあまりいい方法ではない。俺のスキルが切れるのが先か攻撃がやむのが先かわからないのだ。


「放置して、進む?」

「それがいいよー」

「このままにしたら他のパーティに迷惑がかかりますが…」


 リノとミネは放置して先へ行こうと言い出した。狩りたいと言い出したホルンさんはそのことを気にしているのか放置を反対している。まあ当たり前か。


「そうだな…ファーナの罠は距離開けて解除出来るのかい?」

「もう呼びすて! 私のは出来ないよ」

「ふむ…ではホルンの糸は?」

「私の糸は私から一定距離離れますと解除されますね」


 ふうーん…二人のスキルの状態ってそうなっていたんだな。聞いたこともなかったわ。思ったよりユージンは色々かんがえてるんだなーなんて言ったら怒られそうだ。


「よし、ではホルンもっと糸でやつを拘束してくれ。その後ファーナの罠は解除だ」

「名前…はぁ。わかりました」

「拘束します」

「よし、そしたらヨシオを守るようにして距離を置こう」

「うをっ!?」


 ちょっと待て! こいつあほだろうっ 俺を守る? 俺を囲んで一緒に移動するだけで問題ないだろうにあろうことかお姫様抱っことかあほ過ぎるわ!!


「いくぞ!」

「「「はいっ」」」

「おう…」

「わかりました」

「あほの集団かよーーーーーーーー!!」


 誰か少しは気にしろよ! 誰が悲しくて野郎にお姫様抱っこされなならんのだっ というか健太笑いをこらえるな!!


 トロールのビームが飛び交う中俺はユージンに抱えられ、背後からみんなに守られつつ先へと進んだ。もういいから早く下ろしてくれよ…ちょっと悲しくなってきた。


「このくらい距離を置けばもうあの攻撃も届かないだろう」

「そうだね…」


 やっと下ろしてもらえて助かったが、なんというか気持ちは晴れない。帰りたい…まあ無理なんだが。


 俺達は地図を見ながらボス部屋へと進むことにした。最初に健太に聞いていた通りゴブリンとトロールしかいない。ゴブリンをおとりにして俺達は通過する。それを2回繰り返すとボス部屋にたどり着くだろう。ただ、ゴブリンがいろんなのがいたな。弓を使ってきたり剣を持っていたり…魔法を使うやつもいた。まあ下級ダンジョンとは違うってことだな。

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