第20話 魔王?

 俺の言葉に4人がとても驚いた顔をしてこっちを見ている。何も変なことは言っていないよな…だってどう見ても結奈さんとホルンさんのが強いし。相手にする時間のほうが勿体ない。


「由雄様もう少しここでお茶でもしていましょう」

「そのほうがよさそうですねヨシオ様」

「まあそれでいいならいいけどさ…ってことみたいだからお前ら先でいいわ」

「ふ…ふんっ 後で私達の勇者様に助けを求めることになっても助けてあげないんだからねっ」


 (将来の)賢者が捨て台詞吐いて行ったよ…まあ少しここで時間つぶせば次の階層にすぐ行くだろう。自称だけど勇者パーティらしいしな。


「なあホルンさんところで勇者ってなんなのさ」

「あまり詳しく知りませんけど…聞いた話によると魔王を探しているって聞いたことがありますね」


 魔王…ね。まあ勇者とくれば魔王なのかやっぱ。でもなんでダンジョンに来ているんだ? 魔王は普通魔王城とかにいるもんじゃないのかな…


「ダンジョンは魔王の配下が管理しているとかいう話で、魔王もダンジョンのどこかにいるって話ですよ? 本当か知りませんけども」


 ふう~ん……ん? あれ、ってことはレイノアールって魔王の配下ってことなのか? そんなことは一言も言ってなかったし、そうは見えない。あれかな、俺の思ってる魔王と実際の魔王の認識が間違っているってやつ。


「なあホルンさん達は魔王探さなくていいのか?」

「え? それは私の仕事ではないですから…」


 んん?? 仕事って…魔王探すのも仕事なのかよっ


「そろそろ向かいませんか? すでにあれから30分ほどたちますし、ボスくらい終わっててもいいと思うんです」


 どうやら結奈さんはお茶を続けるのに飽きてきたようだ。ただ早く先へと向かいたいだけなのかもしれないけどな。俺が頷くと2人は荷物を片付けだした。

 片付けも終わり歩き始めた俺達はあっという間にボス部屋の前へ到着する。やっぱりこの2人は強すぎるよな…

 そっと扉に手をかけ…ようとしたがこの先のことを思い出したのでいったんやめる。


「入らないのですか?」

「いや…物理が聞かない相手が最初いるんだよね。それ何とかしないとボス戦出来ないんだ。後、声を聞くと状態異常にかかる」

「ふむぅ… 耳塞いで先にボス倒しちゃいましょうか? その後その魔物を倒すかどうか決めればいいんじゃないかしら」


 あーなるほど。倒さなくていいようなら放置でもいいんじゃないかってことか。ボス倒してタッチパネルが出現するなら無視して先へ進もうということだな。


「じゃあ(自称)勇者パーティが終わってるかだけ先確認するわ」


 俺は耳栓を取り出し2人にも渡した。みんなが耳栓をした後そっと扉を開け中を覗き込んだ。とりあえず中央には何もいず、左右を見るとあの物理攻撃が聞かない魔物だけがいた。後で気が付いたんだが扉があく時点で戦闘中なわけがなかったんだけどね。

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