第41話虚構の仮面・1

やはり姫さまです、やはりわたくしの白い目の、見間違いでは無かったですぞ、おお麗しのいとしの我が姫君、拙い私めの冒険譚を御所望とおっしゃるか、それではまずはつい数日前に起った虚構の仮面の出来ごとについてお話しいたしましょう。

その前に騎士としての御挨拶を「姫様、ご機嫌麗しう、いつもながらお美しい」

私は騎士ですから膝をついて姫の手を取らないと、あ、床についた膝が痛いいい、これは何者かの罠が発動したのです、いやいや負けるものではありませんよ、手をつこうとしたら今度は腰が!。「ぐあ\」なんとも無いです、勇者はいい痛がりません汗などでてはいませんよ。『。。。」

いえ、姫さま、私の身体は大丈夫です、そっちじゃなくて先程の口上ですか、いえ私はお上手なことなど言っていませんよ、本当にお美しい、それに私めなどになんとまことにありがたいお言葉です。

愛しい姫は恥らいながら小じわのある、可憐な白魚の指でそっと口元を押さえて笑っています。

さて何のお話でしたかね、ああそれです、冒険のお話でしたね、さてさてあれは昨日、いや一昨日、先週だったかな、あれですあれ、お汁粉食べたのは・・仮面の話ですか、あ、赤い仮面の・・いや違うな、ええとそれその白い仮面、そうそう今朝、今日ですよ、散歩のために私が歩いていると前から妙に顔の白い人が歩いて来たんです、でも外国の方ではないのは分かりました、「はろうー」と言っても黙って首を傾げていたんでおかしいと思ったんです。

おまけに、その歩き方もおかしかったのです、私は真っ直ぐに歩いているのにフラフラとこちらに寄ってくるんですからね。

廊下の突き当たりに行くころには思わず目眩がしてしまいました。

何言うんですか、私はちっともよろけてなんかいませんよ。

ところでその者は恐ろしい事に私の目の前で次の瞬間ベロっと顔が剥けたのです、その下からは知っている顔が現れました、現れたのは薬草師の三春さんです、何でもパックとか言う魔法に掛かっていたのだとか。

これでハッキリしました、とうとうこの世に魔王が再来したんです、それは伝説の仮面を使う魔王「虚構の仮面」ですから。

そうして私の冒険が始まりました。

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