ハードコア

●PE計画 文法編I ~外角だけでも決めるとかなりそれっぽくなる~

 今まで文法項目をとりあげず、ただひたすら単語を比較して新しい語彙を作るということだけをしてきた。

 しかし文法無しだと、単語を組み合わせたようとしても「赤い家」とか「私は走る」とか単純な文すらも表せないので、やっぱりテキトーでもいいので文法を決めようと思う。


 ゲルマン語派、スラヴ語派、ロマンス語派には、それぞれ文法的に独自の特徴がある。

 ちょっと整理してみよう。


 ・ゲルマン語派(ドイツ語)


 ◎文型 後述。


 ◎名詞の格 有り 主格・生格・与格・対格の四つ

 →名詞自体は格変化してもあまり形が変わらない。強変化では生格だけ、弱変化では生格・与格・対格が同じ形になって変化するだけ。

 △格とは

 格とは、乱暴に言うと英語のI my meとかyou your you/he his himみたいなもの。主格がI、生格がmy、与格はto meとかfor me、対格はmeだと考えてください。


 ◎名詞の性 男性・中性・女性

 △性とは

 性とは、名詞の性質とは関係なく割り振られている文法上の性別。生物的にもともと♂♀があるもの以外はテキトーに決まっている。例えばSchreibtisch(机)は男性だが、Brille(眼鏡)は女性。分かりやすく無生物は全部中性にしろよ……。


 ◎数 単数・複数


 ◎定冠詞 有り → 格変化有り

 →英語でいうtheです。みんな大嫌いなtheです。

 ドイツ語だとder(男性)/die(女性)/das(中性)のように性に合わせて三種類もあって、derならder/des/dem/denとかいって主格・生格・与格・対格に合わせて格変化します。


 ◎不定冠詞 有り → 格変化有り

 →英語で言うa/anです。これもみんな大嫌いですね。


 ◎形容詞 名詞の性・格・数によって屈折 基本的に形容詞+名詞という語順


 ◎前置詞 有り 前置詞が名詞の格を支配する


 ◎動詞 6つの人称で活用 一人称単数・一人称複数・二人称単数・二人称複数・三人称単数・三人称複数


 ◎時制 現在・過去・未来現在完了・過去完了・未来完了

 →未来はwerden+不定詞で表す。


 ◎法 直説法・接続法・命令法 


 ◎分詞 現在分詞・過去分詞 (英語と違い-ungをつけると動名詞になるだけで、現在進行形に使うことはできない。ドイツ語は方言を除き現在進行形がない)


 ◎その他

 ・V2構文(動詞を二番目に置くという特徴、英語では消失した)

 ・分離動詞(動詞が二つに分裂して、前綴りが文末に来る。学習者泣かせで有名)

 ・名詞や動詞が母音交替によって屈折する。例えばVater ファーター「父」は複数形になるとVäter フェーターになる。英語のsing→sang→sung そしてsongのようなもの。


 とりあえずドイツ語を例にとってみたが、スウェーデン語などでは名詞の格や男性・女性の違いが磨滅して「両性名詞」が誕生していたり、英語ではそもそも人称活用がほとんどなくなってしまったりしているので、ゲルマン語派全般に共通する特徴ともいえないかもしれない。


 △補足。

 法とはなんぞや、と言う方のために説明しよう。


 分かりやすくいうと、

「直説法」は、普通の形。

「命令法」は、命令形。

 そして問題は「接続法」である。これは一筋縄ではいかない。

 接続法とはヨーロッパの言語に広くみられる動詞の特徴の一つで、英語でいう仮定法である。


 例 I wish I could.

 英語の授業の時、canの過去形はcouldを「~できた」と習ったかもしれないが、実はcanをcouldにすると「できる」が「できるかもしれない」みたいな意味合いに弱まるということをご存じだろうか。

 つまり「I hope I can」はまだ「できたらいいね♪♪」ぐらいなのに対し、「I wish I could」と言うと、「ん~できたらいいんだけどねぇ……まあ無理か(絶望)」みたいな意味になる。

 この文をもう一度よく見てみると、主語+動詞(I wish)という文の後ろにさらに主語+動詞(I could)という文が続いていることが分かると思う。


 ここでドイツ語の接続法を見てみよう。ドイツ語には接続法Ⅰ式とⅡ式の二つがある。


 ◎Ⅰ式 間接話法や要求話法など

 英語だとHe said he was ill(彼は【自分が】病気だと言った)と言ってsaidとwasで時制を一致させるのに対し、ドイツ語だとEr sagte, er sei krankのように言い、「病気だ」の部分の動詞sein(英語でいうbe動詞)を接続法にする。※接続法Ⅰ式と直説法の活用が同じ形の場合は、Ⅱ式にすることがあるそうです。


 ◎Ⅱ式 実現可能でない仮定や願望など

 Wenn ich Geld hätte(お金があったら……)とか言いたい時、つまりさっきのI wish I couldと同じような表現をしたい場合、こちらになる。

「あったら」が「Hätte」、haben(持つ)という動詞の接続法Ⅱ式になっている。直接法現在ならIch habe、直説法過去ならIch hatteという活用になるが、接続法になると普通の形(=直説法)とは違う形を用いる。


 このように、ヨーロッパの言語ではこんな感じで二つの文が連なっているとき、なぜか後ろの文の動詞が直説法とは違う活用をする場合がある。主にその動作が実現される可能性が低い場合や、要求・間接話法である場合などに用いられるこの特殊な形を、「接続法」や「仮定法」などと呼びならわしている。


 ・ロマンス語派(フランス語)


 ◎文型 SVO


 ◎名詞の格 無し


 ◎名詞の性 男性・女性


 ◎数 単数・複数


 ◎定冠詞 有り


 ◎不定冠詞 有り


 ◎部分冠詞 有り

 →フランス語の特徴として、du/de laという部分冠詞の存在があげられる。英語でいうsome+名詞の単数形のようなもので、あるものの一部を表したい時に使う。

 例 de la bière ビール(ビールの一部?) du poisson 料理された状態の魚(魚の一部)


 まあ、英語でもa piece of cakeとか言ってcakeをあたかも不可算名詞のように扱うときがあるのと似ているかもしれない。

 ちなみにスペイン語には部分冠詞がなく、英語と同じで名詞を冠詞なしの単数形で使うと自動的に部分冠詞がついたような状態になる。

 英語でI like catと言うと「猫の毛皮が好きなの?」とか「ひょっとして猫の肉を食べるのが好きなの?」と受け取られてしまうのは、このためである。


 ◎形容詞 名詞の性・数のみによって屈折 基本的に名詞+形容詞という語順


 ◎前置詞 有り 屈折は無し


 ◎動詞 6つの人称で活用 一人称単数・一人称複数・二人称単数・二人称複数・三人称単数・三人称複数


 ◎時制 現在・半過去・単純過去・単純未来・複合過去・大過去・前過去・前未来

 →英語と用語が違っているので分かりにくいかもしれないが、要は複合過去は現在完了、前過去は過去完了、前未来は未来完了である。

 これだけたくさん時制があるので、フランス語やスペイン語、イタリア語はヨーロッパの言語の中でも動詞の活用がかなり多い。


 △半過去と単純過去について。

 その動作が過去において継続した状態であったか、一瞬で終わる動作だったか表す時制。

 たとえば「昨日の夜10時に家についた」と言いたい時の「ついた」は単純過去、「昨日の夜は雨が降っていた」と言いたい時の「雨が降っていた」は半過去になる。(日本語にはない時制の概念なので訳そうとすると難しい……。示した例文も、同じような状況で違う時制を使う場合があるかもしれない。念のため)

 

 スペイン語では線過去と点過去と呼ばれている。


 ◎法 直説法・接続法・命令法 


 ◎分詞 現在分詞・過去分詞

 →フランス語には現在進行形がないが、スペイン語では英語のようにestar+現在分詞で現在進行形を作ることができる。


 ◎その他

 冠詞が面倒すぎる。以上


 ・スラヴ語派(ロシア語)


 ◎文型 SVOだが、屈折が激しいので比較的自由。


 ◎名詞の格 主格・生格・与格・対格・造格・前置詞格の六つ

 →スラヴ語派の名詞はラテン語なみの屈折が現役で、一つの名詞が十二個の形を持っている。

 例 журнал ジュルナール 雑誌 (男性名詞・単数・主格)

 単数形

 журнал 主格 一冊の雑誌が

 журнала 生格 一冊の雑誌の

 журналу 与格 一冊の雑誌に

 журнал 対格 一冊の雑誌を

 журналом 造格 一冊の雑誌で

 журнале 前置詞格 一冊の雑誌についてetc.

 複数形

 журналы 主格 何冊かの雑誌が

 журналов 生格 何冊かの雑誌の

 журналам 与格 何冊かの雑誌に

 журналы 対格 何冊かの雑誌を

 журналами 造格 何冊かの雑誌で

 журналах 前置詞格 何冊かの雑誌についてetc.


 ちなみにポーランド語は七格ある。


 ◎名詞の性 男性・中性・女性


 ◎数 単数・複数


 ◎定冠詞 無し


 ◎不定冠詞 無し

 →スラヴ語派は冠詞がない。もともとラテン語にも冠詞はなく、そもそもの性質として名詞がこれだけ格変化するので冠詞はいらないのかもしれない。


 ◎形容詞 名詞の性・格・数によって屈折

 →ロシア語は形容詞が長語尾・短語尾形という二つの形を持つのに加え、長語尾形は三つの性・六つの格・単数複数で活用するので一つの名詞につき24個に変化する。(活用した形がかぶったり、複数形になると性による屈折が失われたりもするので少なくはなるが)

 基本的に形容詞+名詞という語順。


 ◎前置詞 有り 前置詞が名詞の格を支配する


 ◎動詞 6つの人称で活用 一人称単数・一人称複数・二人称単数・二人称複数・三人称単数・三人称複数


 ◎時制 現在・過去・未来のみ

 →ロシア語はドイツ語と同じく未来形の動詞の活用がなく、未来はбыть+不定詞で表される。このため時制の活用は現在と過去のみで、ヨーロッパの言語の中でも少ない部類に入る。


 ◎相(アスペクト) 完了体・不完了体

 ところがどっこい。スラヴ語派の言語の動詞は、基本的に完了体・不完了体という二つの形をもっていることが多く厄介だ。「相(アスペクト)」というのは、その動作が継続的・反復的であるか一瞬で完了する動作かどうかというもので、時制とはまた違う。

 さっきの半過去・単純過去の話と多少似ているかもしれないが、ロシア語では動詞自体が不完了体動詞と完了体動詞に分かれていて、それぞれに過去形と現在形がある。

 ここで、ロシア語で「読む」を意味する二つの動詞читать(チターチ・不完了体)とпрочитать(プラチターチ・完了体)をそれぞれ一人称単数(男性)で活用させて、表す時制の違いを見てみよう。


 ・不完了体 читал チタール(過去形) → 英語でいう過去形と大体同じ

 читаю チターユ(現在形) →  現在進行形、現在の習慣的動作を表す

 буду читать ブードゥ・チターチ(未来形) → 英語でいう未来形と大体同じ


 ・完了体 прочитал プラチタール(過去形) → 英語でいう現在完了のように使うことも

 прочитаю プラチターユ(現在形)→ 英語でいう未来完了、be going toに近い意味合いをもつことも


 英語的な時制の概念をロシア語にあてはめようとするとやっぱり難しい。

 もうちょっと平易に言うと、

「お前って本読むの?(趣味で本を読むという行為を習慣的に行っている)」→不完了体

「お前、この間俺が渡した本読み終わった?」→完了体

 みたいな感じである。


 ◎法 直説法・命令法 

 →ロシア語には仮定法はあるものの、ゲルマン語派やロマンス語派のような接続法による複雑な動詞の活用はない。


 ◎分詞 能動態形動詞(現在・過去)と被動態形動詞(現在・過去)、副動詞

 →ロシア語は英語と違って能動態と受動態でそれぞれ現在形・過去形の分詞があり、他のヨーロッパの言語と比べて分詞の種類が豊富である。


 ◎その他

 活用多ギィ!



 △余談。

 日本語の「た」は一般的に過去を表す助動詞としてとらえられているが、「あぁー疲れた」とか言ったときの「た」は「過去」というより「完了」である。これは古語では完了を表していた「たり」が、現代日本語では過去も表すようになったためである。

 日本語の「た」と「る形(動詞の終止形)」は英語のように過去と現在を表すのに加え、完了と未完了を表すこともある。

 たとえば日本語で「コーヒー飲む?」と聞いたら明らかにまだ飲んでいないので、「飲む」というのはこの場合現在形というよりは未完了形である。

 日本語では「知る」という動詞を「知っている」という形で使うことが多い。これは「知っている」という形にすると「知る」という状態が継続していることを示せるからで、ある意味「知る」が完了体で「知っている」が不完了体のようであると言えるかもしれない。



 ***



 そろそろみんな死んだんじゃないかな。

 筆者も疲れました。一生懸命調べたけど、間違ってるかもしれないんで訂正あったらヨロシク。


 さて、PEはゲルマン語派やスラヴ語派といった既存の語派とは違う語派である以上、PE語派特有の文法項目があってもいいはずである。

 そういうのも含めて、PEの文法的特徴を以下のように設定してみた。


 ・PE語派(標準PE語)


 ◎文型 SVO


 ◎名詞の格 主格・生格・対格・前置詞格・呼格の五格


 ◎名詞の性 男性・女性の二つ


 ◎数 単数・双数・複数の三種類


 ◎定冠詞 有り


 ◎不定冠詞 無し


 ◎部分冠詞 有り


 ◎形容詞 名詞の性・格・数によって屈折 基本的に形容詞+名詞という語順。


 ◎前置詞 前置詞が名詞の格を支配し、前置詞自体も名詞の性で屈折する。


 ◎動詞 十二の人称で活用


 ◎時制 現在・過去・未来 現在完了・過去完了・未来完了 習慣(継続相?)


 ◎法 直説法・接続法・命令法 


 ◎分詞 受動分詞のみ(現在・過去・未来) 能動分詞は動詞の不定形(辞書形)と同じ形


 ◎その他 人称代名詞+動詞の不定形という形を多用する。


 ……何やねんこれ? 人称十二個ってどういうこっちゃ。


 これだけだと突っ込みどころ満載なので、とりあえず説明していこうと思う。


 ◎格


 もう気づいた方もいるかもしれないが、なんと与格が無い。名詞の格変化があるのに、与格がないのは珍しいかもしれない。しかし筆者は、英語でも与格が失われていることから、長い歴史が経つうちに与格が失われることもあるだろうと判断した。PEでは与格を前置詞ku/ka+名詞の対格で表す。

 余談だが、アラビア語は主格・属格・対格の三つしかない。


 そして呼格については実質あってないようなもので、名詞が子音で終わっている場合後ろに-eを、母音で終わっている場合は最後の母音を落として-eを加えるだけのもはや膠着語尾のようなものという設定にした。

 実際、ヨーロッパの多くの言語では呼格が失われている。


 ◎性

 

 ちょっとここだけロマンス風にしてみた。

 余談だが、アラビア語も性は男女しかない。


 ◎数


 単数形・複数形はよく見かけるが、双数形って何だ? と思った方も多いだろう。簡単に言うと、ある名詞の数を二つの時だけ特別扱いする形である。

 たとえば英語ならa car/two cars/three cars...という感じで、車一台と二台、三台の時しか形が変わらないが、双数形のある言語だとtwo carsの時にcarがcarでもcarsでもない特別な形に変化するのだ。


 ヨーロッパのほとんどの言語では、双数形が失われている。スラヴ語派の言語では二から四までの数で名詞が屈折するときに生格を使うという名残があるが、今でも双数形を使う言語はソルブ語ぐらいなものである。

 そこでPE的文法の特徴として、あえて双数形を作ってみることにした。

 ちなみにアラビア語の名詞は単数形・双数形・複数形があって、バリバリ現役である。男性名詞の「ペン qalam(un)」という単語を見てみよう。

 qalam(un) カラム 一本のペン(単数・主格) → qalamaan(i) カラマーン 二本のペン(双数・主格)→ ‘aqlaam(un) アクラーム 三本以上のペン(複数・主格)

 ※後ろに()でくくってある部分は日常会話だと読まれない。


 ◎定冠詞有り、不定冠詞無し


 定冠詞はドイツ語と同じく、名詞の格に合わせて格変化する。

 定冠詞はあるのに不定冠詞を作らなかったのは、名詞に単数形・双数形・複数形があるのに不定冠詞までいらないかなと思っただけである。

 ちなみにアラビア語は、名詞を定冠詞なしで表記すると自動的に不定冠詞がついている状態になる。


 ◎部分冠詞


 なんか、作りたかったので作った。(中二的願望)

 部分冠詞+名詞の生格で、その名詞があるものの一部であることを表す。


 ◎形容詞


 形容詞はドイツ語と同じく、定冠詞と似たような屈折の仕方をする。


 ◎前置詞


 前置詞が名詞の格を支配するのはスラヴ・ゲルマンと同じだが、性屈折するのは珍しいかもしれない。

 たとえば英語でいうto、「~へ、~に」に当たる前置詞はPEではku/kaだが、これは後ろに来る名詞が男性名詞の場合kuに、女性名詞の場合kaになって性屈折する。だからshkúla(学校・女性名詞・単数形・主格)にこれをつけるとka shkúlam(学校へ、女性名詞・単数形・前置詞格)になる。


 こうした特徴を持つ言語は実在する。ケルト語派の言語は前置詞が名詞の数と格に合わせて屈折するという特徴を持っている。


 ◎動詞の活用


 PEの人称は十二個と非常に多い。全部書き出してみよう。


 一人称単数男性・一人称単数女性・一人称双数・一人称複数・二人称単数男性・二人称単数女性・二人称双数・二人称複数・三人称単数男性・三人称単数女性・三人称双数・三人称複数


 ダメだ。目がチカチカする。もうちょっと分かりやすくしよう。

 日本語的に直すと、

 

 俺、アタシ、私たち二人、私たち三人以上、貴女、貴男、君ら二人、君たち三人以上、彼、彼女、彼ら二人、彼ら三人以上

 である。

 

 そしてPEでは、一つの動詞がこの十二の人称に合わせて屈折するため、直説法現在だけでなんと十二個も活用形がある。このあまりも多い人称活用がPEの最大の特徴である。これだけたくさんある言語はインド・ヨーロッパ語族の言語でも類を見ない。

 あのアラビア語でも、動詞の人称活用はせいぜい八つである。


 一人称単数・一人称複数・二人称単数男性・二人称単数女性・二人称複数・三人称単数男性・三人称単数女性・三人称複数


 かなり多いように見えるが、PEの名詞は複数形になると性が失われる。これはロシア語を参考にした。ちなみにスペイン語の人称代名詞では彼女ら ellasという人称代名詞があるので、ある意味PEより細分化しているようにも思う。

 まあフィンランド語は名詞の格が十五個もあるし、別にこんな言語があってもいいんじゃね? というノリで作ってみた。


 △セルフツッコミ

 アラビア語の丸パクリやん……


 ◎時制


 ここからPEはなぜかロマンス的になる。動詞が現在・過去・未来で屈折し、それぞれíbes+過去分詞という形にすると現在完了・過去完了・完了になる。時制の種類的には英語と大差ないかもしれない。


 ◎法 直説法・接続法・命令法 


 PEでは接続法も現役で使う。しかし接続法になるとPEは人称活用が六つに減って、普通のヨーロッパの言語のように戻る。

 命令形は、PEには双数形があるため三種類になる。(二人称単数・双数・複数)そして複数形になるとより丁寧な言い方になる。


 ◎分詞


 これもあまり複雑にしたくなかったので、受動分詞のみにしてみた。能動分詞は動詞の不定形で表す。

 その割に分詞に未来形があるという謎仕様……


 ◎その他 人称代名詞+動詞の不定形という形を多用する。


 さっき時制の説明の時、あえて無視していた習慣(継続相?)と絡めて説明したい。

 PEではなんと英語のように人称代名詞+動詞の不定形を使うことがあるのだが、時制を持たない不定形を使うと直説法現在とは違うニュアンスを持つことになる。


 英語では現在形でI speakとかyou speakとか言うとき、speakは人称によって変化せず、しかも動詞の辞書形からも変化しない。例外がhe speaksで、英語はここにのみ人称活用が生きている。

 しかしヨーロッパの言語では、一般的に動詞は人称活用すると原型とは違う形になる。例えばスペイン語のhablar(話す、辞書形)という動詞が直説法現在で活用すると、hablo(私は話す)、hablas(君は話す)habla(彼・彼女は話す)という感じになって原型のhablarとは違う形になる。これはフランス語、ドイツ語、ロシア語などでも同じである。


 そしてPEも例外ではなく、xídes /xíːdis/(ヒーディス 行く、辞書形)が一人称単数男性で活用するとxído(私は行く、直説法現在)になる。

 だがたまに、同じことを言うのにPEではÄzh xídes(人称代名詞、私+行く、辞書形)を使うのだ。

 この二つの意味合いの違いは相(アスペクト)に出る。例えば「私は学校に行く」という動作を表したい場合、(Äzh)xído ka las shkúlam/Äzh xídes ka las shkúlamという二つの文が考えられるが、前者は「私は学校に行っている(現在進行形、今学校に行っている途中)」なのに対し、後者は「私は学校に通っている(習慣、反復的・継続的動作、私は学生で、毎日学校に行っている)」という状態を表す。

 なお、後者の「人称代名詞+動詞の辞書形」は時制に関係なく使うことができ、過去や未来のことでも同じ形で表すことができる。


 なぜそういう形が発生したか、という説明をいくつか考えてみた。


 ・PEの動詞はそもそもの性質として十二もの形に人称活用するので、煩瑣な活用を省略するために人称代名詞+動詞の不定形という形がバッファとして生じた。


 ・ヨーロッパの言語は動詞を二つ連続させると、後ろの動詞は基本的に不定形をとる。たとえばスペイン語では「querer 欲しい」という動詞とさっきのhablar(話す)をくっつけると、quiero hablar(私は話したい)とかquieres hablar(君は話したい)という形になって、後ろの動詞は人称活用しない。

 そしてPEでも、習慣的動作を表すのにもともと人称代名詞+(何かの動詞)+動詞の不定形という形をとっていたのが、長い時間が経つうちに間の「何かの動詞」の部分が抜けてしまい、人称代名詞+動詞の不定形という形になったのではないか。

 ちょっと違うが、アメリカ英語ではI suggest that she be a teacherみたいな言い方をすることがあってshouldを抜かすことがあったり、黒人英語ではShe be a nice girlとかいう言い方が許容されたりするのと似たようなものかもしれない。


 まぁ長ったらしいので三行でまとめると、

 

 動詞が現在形だけで十二個もぁる。。。

 もぅマヂ無理。。。リスカしょ。。。

 でも「ぅち」とかと動詞を一緒に使ぇば。。。だぃぢょぅぶ♪

 

 ということです。


 ***


 とまあ、色々理屈をこねくり回して自分の作った言語を全力で論理武装させてみた。

 割と節々テキトーなので、これを読んでいるアナタがPEを気に入らないと思えば、自分で作るとき同じように作らなければいいだけだ。(改めて読み返してみると、かなり屈折が多い言語である。ヨーロッパの言語らしいといえばそうだが、覚えにくいかもしれない)


 しかし、上記の文法に関する約束事を決めたおかげで、もう文法なんか作らなくてもネーミングだけならどうにかなるかもしれない。

 例えば定冠詞。

 PEは性が二つであるので定冠詞も二つで「li/la」として、「赤い月」を「La Rősa Lűnaラ・レーサ・リューナ」とかにすると「The Red Moon ザ・レッド・ムーン」にするよりは無国籍感が出て、雰囲気づくりに役に立つのではないだろうか。


 さぁ、ここから実際に今まで作った単語などを用いながら、PEの文法を作ってみよう!

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