16

コンビニでペットボトルのラベルを見て無意識に広人を思い出す。

他にはどんなデザインを手掛けているのだろうか。

ショッピングモールの自販機で買って貰ったジュースの他の味が置いてあり、これも広人が手掛けたのだろうかと手に取る。


もう関係ない人なんだとわかっているのに、普段は買わないようなジュースを無意識にレジに持っていく自分に嫌気がさした。


「優しい甘さの潤い、か。」


ラベルのデザインはイラストだけではなくキャッチコピーのような文字も入っている。

先日広人に教えてもらったことを思い出しながら、まじまじとラベルを眺めてみた。

色使いや文字の書体、繊細に描かれているフルーツ。

そのどれもが丁寧に描かれていて、すっと頭に入りやすい。

普段何の気なしに触れている飲料水なのに、デザインの行程を考えると何とも感慨深いものに変わる。


ひとくち飲むと、フルーツの甘味が体全体に広がり、優しく潤っていくようだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る