第31話 共同戦線
「でわ、再会を祝して~~・・・「「「「「かんぱーーーーーーーーーーい!!」」」」」
俺達が今乾杯したここは、この街で比較的大き目な大衆酒場である。
明日の討伐依頼の為、ギルドを出た後に必要な物を買い込んだあと、俺達はギルドの外でシーナさんと合流してから、この店に吸い込まれていった。
「ふふ、アル様と飲みに来たの、これで二度目ですね~」
「え?、アルさんどういう事?。いつ来たの?そんなの知らなかったんだけど?」
「そりゃ、エメルダと知り合う前だからな~・・・知らないのは当たり前だよ」
「そうなの?・・・ま、信じてあげるけど。で、彼女とはどこまでいってるの?」
「はっ?、どこまでって何もしてないぞ?。シーナさんとは普通にギルドの受付嬢と冒険者ってだけだ」
「ええ~~~~?、ヒドイ・・・二人であんなに熱い夜を過ごしたっていうのに・・・シクシク」
「なにーーーーーーーーーーー!?、どういう事なの!?ちゃんと説明して!」
「それは聞き捨てならんな、アル。私達と会う前にそういう・・・・お、男と女の関係になったという事か!?」
「シーナさん!!!何、誤解招く様な言い方するんですか!。ってか、エメルダもリオノーラも落ち着けって!。何でもないよ、普通に夜遅くまで飲んでただけだから!ホントだから!!」
「うふふ、お二人とも冗談よ。ホントに何もないのよ、残念なことにね・・・はぁ」
「あ、貴女も紛らわしい事言わないでくれる!?」「全くだ!、アルに要らぬ疑いをかけてしまったではないか!」
「はぁ~~・・・こんな可愛い二人が居たら、私なんかが入る余地なんて無いわね・・・」
「か、可愛いだなんて・・・シーナさんだって綺麗じゃないですか~」
「そ、そうだな。シーナだって十分綺麗なんだから、まだ望みはあるぞ」
「そ、そうですか?。じゃ、頑張っちゃおうかな♡。ささっ、エメルダ様もリオノーラ様もどんどん飲んで下さいまし!」
そういって、シーナは二人に酒を注いでいく。おいおい、だ、大丈夫か・・・?。
ふとエリスを見ると、多分この中で一番飲んでいるはずだが全く酔ってる気配が無い。
逆にそれが怖い・・・
「エ、エリス?」
「何かしら?、アルさん。こんなに素敵な女性に囲まれて、すっかりハーレムじゃないですか~。モテモテですね、フフフ」
あ、ヤバイな・・・。口調が変わってる。一見まともそうだけど、この中で酔うと一番怖いからなぁ~・・・。
「あの三人がアルさんに絡んできたら、私が助けてあげますからね」
「あ、ありがとう。た、頼りにしてるよ」
見ると三人は、いつの間にか仲良く話し込んでいる。
へぇ~っと思いながら、ちょっと話に加わろうと声を掛けようとしたのだが、彼女らの会話がとんでもない事になっていた・・・。
「ふふ、この国は一夫多妻制ですからね~・・・、私も可能性はあると思うんですよ~」
「ええ、勿論ですよ~。アルの正妻はあたしですが~、シーナさんなら第三夫人になれると思いますよ~フフフ」
「と、いうことは・・・私がアル殿の第二夫人・・・夫人・・・ううう、やっと・・・うう」
「であるならばぁ~~私達三人で~~共同戦線を~張りませんか~~?」
「共同戦線~??何のこと~~?」
「それは~、私達三人で~アル君のお嫁さんなる為の~共同戦線ですよ~~ヒック」
「いいわね~~それ。でも~共同戦線であるならば~抜け駆けはダメよ?」
「そうだ、それだけは許せん!。抜け駆け、ダメ、ゼッタイ・・・スンスン」
何か、本人がいない間にとんでもない事が決まりつつある。
シーナさんも君付けが始まったみたいだし、早めにクギを刺しておかないと・・・
「あ、あのな?、それって俺に何の相談もなく決め・・・「「「アル(さん)(君)は、黙ってて!!」」」・・・はい」
流石にあの状況の三人に何か言える訳もなく・・・今はこの三人に関わらない方がいいな・・・。
俺は仕方なく、エリスと話す事にした。
「エリスは飲んでもああならないから、助かるよ。やっぱ、こういう時は頼りになるな」
「フフ、あら、アルさんから頼られてしまったわ。やっぱり嬉しいもんですね~♡」
「ところで、明日はエリスの力を借りるだろうから、その時は頼むね。魔術も行使してもらうと思うし」
「ようやく、私の本当の力を見せる時が来たのですね。腕がなりますわ~~フフフフフフ・・・」
ん?、ちょっと目がおかしい気がするが・・・。何か、目が座ってるぞ・・・
彼女の背後には、妖しいオーラが見える気がするし・・・
ってゆーか、以前にとんでも魔術を見せてもらってるけど、あんなのやられたらオークどころか村まで消滅しかねないからね?
「エ、エリス・・・前見たような魔術は止めてね。人死にが出ると思うから・・・・」
「分かりましたわ、アルさん。私にお任せ下さい・・・」
だ、大丈夫かな・・・?。明日、酒が抜けてからもう一度言った方がいいな。
チラッと隣を見ると、最早何かの共同戦線を張った三人は意気投合して、女子会の様になっている。
そ、そろそろお開きにしないと明日に差し障りがあると思い、俺はみんなに声を掛けた。
「なぁ、そろそろお開きにしないか?。明日はオーク討伐もあるんだし、体調を万全にしておかないとさ!」
「そうですね~~、あとはあたし達の部屋で続きをしましょ~!」
「おい!、それお開きにした意味がないんだけど!?、聞いてる!?」
女性陣は連れ立って店を出て行く。そして俺は、一人取り残されて・・・寂しく清算を済ませ彼女達の後を追う。
エリス以外の三人は千鳥足ながらも、宿に向かってまっすぐ進みエリスと俺は、後ろから付いて行く。
無事、宿屋に着いた俺達はそのまま自分達の部屋に戻ってきた・・・・・・っておい!、なんでシーナさんも入ってるんだよ!!。
「シーナさん、今日はもう寝ますから自分の家に戻ってくださいよ」
「え~~?、いいじゃない~アル君~。今日はみんなで泊まりましょうよ~。なんか楽しそうだし~」
「いくらなんでも、ダメですって~!。それにシーナさん、明日もギルドでしょ!?」
「明日わぁ~~遅番ですよ~~~♡」
「ほら、アル~。シーちゃんもそう言ってることだし、今夜はお姉さん達に身も心も任せなさい~♡」
「す、するなら三人一緒だぞ♡。わ、私だけのけ者にするんじゃないぞ・・・ううっ」
あ、あかん・・・どうしてこうなった?。年貢の納め時か・・・などと言ってる場合じゃない!。
そりゃ俺だって男だから迫られたら、そういう事もしてしまうぞ・・・。しかし、初めてだからやり方が分からんから、下手くそとか言われたら再起不能になってしまいそうだ・・・
よし、最終手段を出すしかない・・・
「お、俺は好きな人の事は大事にしたいと思ってる。だから、そういう行為をする時はちゃんと恋人になってからと思ってる。だから、今はする事がないんだ・・・」
ふっ、これなら彼女達の気持ちも傷つけず、行為も回避できる。完璧だ!
すると、間髪入れずエメルダがこっちを向いて、ニヤリと笑う。
「アルさん!今、言質を取りましたよ!。なら恋人になれば、してくれるんですね!?ね!?」
「え?、あ、う、うん。まあ、そうなればね・・・・・・それよりも、エメルダ・・・もしかして酔ってない?」
「ふふ、バレちゃいましたか~流石、アルさん。そうです、少しは飲みましたがいつもよりは酔ってませんよ~。勿論、リオもシーちゃんもね~。明日もあるんだから、そんなに飲むわけないじゃないですか~」
リオノーラもシーナさんも、ニヤニヤしながら頷いている。
いや、怖い怖い・・・、なになに?俺、三人にハメられたの?
え?、だってそんな打ち合わせとかしてる時間なかったよね?。もしかして、あの場で急遽計画したの?
「さて、アルさんの言質も取れましたし今夜はこの辺でお開きにしましょうか~」
「そうだな、明日もあるし終わりにしよう」
「さ、シーナさんもお帰り下さい。アルさんが寝れませんので」
「わ、私も今日は一緒に泊まってっちゃ駄目です「ダメです!!」・・・は、はい」
エリス、君はまだ酔ってるんだね・・・・・
シーナさんはというと、エリスに駄目だしされたので後ろ髪引かれるようにしながらも、ドアを開けて帰っていく。
「では、お風呂に入って寝ましょう!。ベッドは、今日もいつも通りの配置でお願いします!」
エメルダがそう言ったの機に、みんなお風呂と寝る準備に入る。
今日は色々と疲れたよ、精神的に・・・。女って怖い!って、つくづく思わされた一日だった。
◇
翌朝、窓のカーテンの隙間から朝日が差し込んできている。今日も朝から天気が良さそうだ。
俺はみんなを起こし、早速準備をさせる。勿論、自分もだが・・・
昨日の事を少し思い出しながら苦笑いをするも、今日はいよいよ初めてのオークを討伐するのだ。
いや、今日見つかるか分からないが、ゴブリンより強いので気を引き締めていかないと!。
「さて、準備は良いかな?。まさか、二日酔いなんて言わないよな?」
「大丈夫でーす!。昨日はそんなに飲んでないもの」「同じくだ」「あの、私お酒強いみないなので、これぐらい平気なのです」
・・・・・・・・・・・・
よ、よし!、さあ出発だ!!
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