第26-1話『一緒に遊ぶ』

「……分かったよ。 遊ぼう」


 自分の言葉が信じられなかった。何故僕はこんな状況でこいつらの遊びに付き合おうなんて思ってしまったのだろう。


「やった……!」

「嬉しい! こっちに来て……」


 僕は手を引かれるがままについていった。影達は楽しそうに笑いながら僕の身体にしがみ付いている。そして、いつの間にか僕は皆と手を繋ぎ輪になっていた。


「楽しいね……幸せだね」

「ずっと皆と一緒にいよう」

「楽しく踊ろう」


 笑い声が脳内にゆっくりと染み込んでいく。それはまるで優しい毒のように僕の意識を痺れさせていった。繋がれた手から影達とどろどろに溶けて一つになっていく感覚。何も考えたくない。僕が僕じゃなくなっていく。その感覚がとても心地良かった。


「ふ、ふふ……ふふふふ」


 僕はひたすら影達と踊り続けた。そういえば僕は何をしようとしていたっけ。僕は何だっけ……まぁ楽しいからどうでもいっか。


 次第に僕の意識は何かに飲み込まれていった。


End.7 楽しいアソビ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る