序章2

俺の名前はゴート。歳は15。デミ村の農奴のゴートだ。


得意魔法は特に無い。むしろ魔力の放出するのが苦手で、小さな火と少量の水を出すのが精一杯。


物心ついたときには親は居なく、村の農奴として日々農作業や山仕事、海での漁など様々働いてきた。


農奴といっても村での扱いはさほど悪いものでは無く、他の村人と比べると多少質素では有るものの飯もそれなりに食えたし、読み書きや魔法も少し教えてもらった。


他の村では農奴の扱いが悪く死んでしまう者も多いらしいので、ここまで育ててもらった村の皆には感謝している。


ただどうしても割りきれない思いがあった。


それは自分の家が、畑が、魔道具が色々な自由が欲しいという思い。


そんな願いを抱きつつもどこか諦めている。そんな日常を過ごしていくなかで大きな転機が訪れる。 


隣国との戦争である。


詳しい理由は俺にはわからないが隣国が攻めてきたことによって志願兵の募集がかかったのだ。


志願するか正直かなり悩んだ。


村のなかでは一番力があるし、足もはやい、スタミナにも自信がある。


野性生物や小型の魔獣だけでなく盗賊とも闘った事がある。


人並み以上には戦えるという確信があった。


ただ一方で今の生活は不満は少しあるものの、安定しているし村人への感謝も感じていた。


悩んでいた俺が志願兵になると決断でたのは村長の一言があったからだ。


「ゴート。ゴートの悩んでいる理由が村への遠慮なら気にせんでいい。お前は村のため充分働いた。まだまだ若いのだから自由に生きなさい」



村長や村の皆の理解も有り俺は志願兵になることを決意した。




自分の人生が少しでも拓けていく事を信じて。

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