久しぶり

美空に手を引っ張られ、無我夢中に走った先には、何だか懐かしい雰囲気を感じる家が建っていた。

その雰囲気だけで新潟にいるんだなって気持ちがぶわっと湧いてきて。

こう、わぁっと、なんかよく分からないけど、すごく嬉しくなった。

美空が勢いよく扉を開け、ただいま、とこれまた勢いよく叫んだ。

おかえり、と懐かしい声が。

「おばちゃん!久しぶり!」

「えぇっ!」

ドタドタドタっと足音がして、驚いた顔をして美空のお母さんがこっちを見てた。

「夏樹だ...本当に夏樹だぁ...。

会いたかったよぉ。ずっとずぅっとなぁ!」

「うん...!俺も会いたかったよ!おばちゃん!」

「ほら早く行くよ夏樹!」

俺はごめんと言いながら美空の手を取る。

美空は俺の手をグングン引っ張って高い階段を登っていく。

「あ!おばちゃん!お邪魔します!」

「はいはい!ごゆっくり!」

言い忘れていた挨拶を言い残し、美空の部屋に入った。

懐かしい匂い。

俺は毎日の様に美空の部屋に通ってたから、この匂いが大好きだった。白い小さなソファに座り、美空と見つめ合う。その時間が約20秒。そして、どちらからともなく笑い出す。


────── あー、やっと会えた。

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