終末のセカイで悪魔は何を想うか

 天使と悪魔の激突に、世界は壊れた。
 以来、人は罪を犯すとその魂は穢れ、肉体が汚染されていく。
 やがて、穢れきった人は、ゾンビと呼ばれる異形に成り果てた。

 それを討滅する存在〈必要悪〉の一員たるシスターは、惨状の元凶たる悪魔の一人に付きまとわれていた。
 悪魔は興味本位。そのシスターについて回り、それを観劇する。
 その魂がどう穢れるかを楽しむ、悪趣味な観劇を行っていた。
 それにシスターは何も言わず――ただ、行く先で賭けをもちかける。
 悪魔は何気なくそれを受け、シスターに同行する。
 その賭けの結果――悪魔は、一つの真実に出会う。

 好奇心のまま、人を唆し、その魂が別の色に染まるのを楽しむ、いわば昔ながらの悪魔。古来からの作品は、その悪魔によって堕落する人間の様が記されている。
 だが、今作品では、その悪魔に視点があてて、その内面を巧みに書き起こしている――冷たさの中に、ほのかに温かさが残る、歪な作品だ。

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