詞もどき

夏鬼

想い

後ろ指指されてもなお進む道

黒に染まった私の世界

それでも淡く光る道を

私はただただ進みゆく

例えその先に待つのが死だとしても


我が道を邪魔することは

何人(なんぴと)だろうと出来ぬこと


生きるも良し、

死ぬもまたひとつの道、

挑むも一興

進みゆく道は十人十色

選択肢も

それらを取り巻く環境も十人十色


生を呪縛とするならば死は救いか

否、その逆も然り


小さくとも生きるもの

その命火は何の為に燃やすのか


モノクロの世界に色を足すなら何色か


氷のように冷たい世界

いつから凍てついてしまっていたのか

人は覚えているのだろうか


私の存在そのものを闇とするならば

人の心に巣食う負の感情そのものだろう


信ずる道だけが

私が私であるという証なり


感情の現れによって流すものを

涙とするならば

あなたの流す涙を何と呼ぼうか


世の理不尽を嘆くより

私は人の理の理不尽さに嘆き続ける


生きとし生けるもの全てが善者であるなら

罪人も生きとし生けるもの全てなり


大罪を犯した者を非難するのは被害者

第三者が大罪人を非難することも

被害者に同情することも

それらをする権利は持ち合わせていない

同じ土俵にすら立っていないのだから


私が鳥になれるのであれば

鳥籠から空を見上げることしかできぬ

その空の広さを知らぬ鳥になるでしょう


マスコミの手の平の上で踊らされる私たちに

真実を知る権利すらも与えられず


叫び続けた私の声が

誰の心にも響かぬならば

この声を捨てて

言ノ葉を書き連ねてゆこう

例えそれすらも

意味をなさぬと嗤われようとも


言葉をナイフとするならば

この身にはどれだけの傷があるのだろうか

私の言葉をナイフとするならば

どれだけの血がこびりついているのか

それを知ることも

確認する術も

私は知らぬし持ってもおらぬ


私を蝶と例えるのなら

無邪気な幼子に羽を毟られ

二度と舞うことが出来ず

地を這いつくばって生きる蝶だろう


私のこの身には一体どれだけの鎖が

雁字搦めに巻きついているのだろうか

人間関係という鎖が


私を鬼と例えるのなら

私は心に巣食う闇の鬼となり

トラウマを苗床にするだろう


私を取り巻く全てを茨の道と例えるなら

私はその道を素足で通ろう

焼き払うことをせずに道を探し出そう

呑み込まれたとしても

私はそれを受け止めよう


全てのことに関心を示し、無関心と示そう


夏に産まれたバケモノの願い

それは心の平穏唯一つなり


死に場所を求むのも

安らぎを求むのも

助けを求むのも

全て生者が成すことであり

死者にそれらを成す術はない


うっそりと目を細めたその横顔は

エモノを前にした蛇の如し


私をペテン師と言うのなら

その言葉の通りに狡猾になりましょう

私を優しいと言うのなら

無邪気な狂気を振りかざしましょう

私が私である為に

今日も私はピエロになりましょう

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