第13話

13

「えーと、パスタは‥。」

パスタはすぐに見つかった、だが流石に今すぐ茹でる気もミートソースを作る気もないので、キッチンの机の上に置いておく。

「‥ねぇ。」

女の子がキッチンのドアを開けて立っていた。

ポットとカップを手に持って立っている姿はまるで。

「ん?どうした。」

「‥さっきの茶葉まだある?私に入れさせて。」

「え?ここにあるけど‥。」

「そう、ならリビングで待ってて。」

そう言うと、女の子は茶葉を出して何か確認しだした。

「なに?いいから外で待ってて。」

さっきまでと違い、だいぶ強気な女の子に気圧されリビングに戻る。

「なんだ急に?そんなお茶が気に触ったか?」

事実、今はキッチンでやる事はないのでリビングで待つ事にした。

「‥念のため、秘書さんにメールしとくか。」

5番の家は、どうなったのか。ろくでもない事になっているのは、間違いないだろう。親父や秘書さんからも、その後の裁判や5番の扱いについて何も聞いてないし、聞こうとも思っていなかった。

暇だしテレビでもつけるか。

「あ、これか。へぇー、割と面白そうだ。」

テレビには1番と行く予定の映画のCMが流れてる。

アクションこそないが、役者達の演技がゾッとするほど鬼気迫まっている。

これは意外と面白いかもしれない。

「当日の天気予報っと。あーこれは。」

ニュース番組の途中で2番と行く美術館の画家について特別番組が組まれているらしい。

なるほど、ホームページに書いてあった通りであの青には特別な鉱石を砕いて絵の具にしてらしい。

美術的価値が高すぎて盗難被害にもあったらしい。

「これは良さそうだ。チケット買ってよかった。」

ガチャ。

「‥お茶が入ったわよ。」

女の子がさっきの俺みたいにポットとカップをトレイの上に乗せて運んでくる。

ソファーの前の机に手慣れた様子でお茶を用意していく。

「はい、どうぞ。」

少しぶっきらぼうに言ってくるが、俺が入れたお茶と違い、香りに引き込まれそうになる。

カップを持って色を見るが、色すら美しく見える。

「‥おいしい‥。」

驚いた、お店のお茶もかなりだと思ったが、これが家で飲めるお茶だとは思えない。

「多分、この家にもあるだろうけど、本当はもっと蒸らしたり‥」

女の子はお茶について詳しいらしく、色々な器具について話してくる。

このお茶をその場で用意できるのは、ただの趣味で片付けられない、あの立ち姿や手つき、恐らくこの子は。

「ちょっと、聞いてるの?」

考え事をして話しを聞き流したのに気づいたのか、強めに言ってくる。

「‥君は、5番の家に雇われてるのか?」

「っ!ええ、そうよ。実際そうだし‥。」

違ったようだが、否定はしない。

この子は確実に未成年だが、家の都合などで、とも考えたが。

「‥悪い、勘違いだったか。」

「いいえ、同じよ。私はあの家から世話になってるんだし。」

自分の分のお茶を入れて、飲み始めた。

「悪くない、良い茶葉使ってるのね。」女の子が軽い口調で話してくる。

もう一口飲んでから女の子は覚悟を決めたように。

「私は、5番の家から学費を出して貰ってるの。」

「5番の家から?足なが、とか言うのか?」

「そんなもんじゃあないわよ‥。」

声に怒気が含まれている。

「‥私は、孤児なの。元々は教会で暮らしてたの。」

自分とは、まるで違う生活だと思った。

「‥そうか。その」

「謝らないで。別に気にもしてないから。」

もう慣れた様子で話し続ける。

「私の教会は、身寄りのない子を集めて育ててくれたの。別にお金がないとかは無くて補助金とか地域の保護金とかで不自由なく生活出来てたわ。」

気丈に言っている、本当の所はわからないし、聞いてはいけないように感じる。

「私が12歳の頃に5番の家の人が来て、ここに援助を約束するって言ったの。

今思うとどうせ人気が目的だったんでしょうけどね。」

淡々と話すが俺はその頃何をしていただろうか、この子のように強く生きていただろうか。

「だから私が学費援助の第1号になったの、最初は感謝したわ。本当に嬉しかった。

5番は嫌いだったけどね。」

なかなかに棘がある。

「おかしいと思ったのはミッションスクールの最初の夏休みに5番の家に連れて行かれた時ね。‥」

そこで話しをやめてしまった。

「ごめん、私は何あなたに話してんだろ。」

頭を振って、お茶を飲み始めた。

「‥後、ありがとう。」

「ん?ケーキのことか?」

「それだけじゃ無くてあのグループから引っ張ってくれた事とタクシーの事も。

良いわね、お金持ちは。ありがとうございます、お家のお金で。」

これがこの子の元々の性格なのか素直だが嫌味な言葉だ。

「なら、返してくれるのか?お金。」

「え?」

「え、じゃないだろ。お金持ちが嫌いか?なら金をこの場で返すのが道理じゃないか?」

そんな気は全く無く、ただこの子に反撃するために言ってみる。

俺の言葉が想定外だったのか目に見えて狼狽えている、なんだろうか‥可愛いな。

「そっそんな、私、ケーキ代ぐらいしか‥。」

「そうかー。なら、仕方ないなー。別の方法で払ってもらうしかないなー。」

夕飯の買い出しと、夕飯の準備に、夕飯の後片付け。

「別の方法って!‥やっぱり、そうよね‥。言われた通りね‥。」

そう言うと女の子は立ち上がって俺を睨みつけた。

「わかったわ、そうよね。‥良かったじゃない、あなた、私が可愛いんでしょ‥。」

うん?確かにこの子は可愛いし、可愛いこの子の手料理は食べたい。

でもな、パスタでせいぜいがひき肉を使ったミートソースだしな。

キッチンにパスタを置いといたから夕飯の予定を知ってるだろうし、それだけじゃ勿体ないな。

「よし、なら外に行こう。向こうで予定を立てよう。」

外で何か探してパスタに合いそうなものを買ってこよう。

そう言って立つ、えーとここからどこに買い物に行こうか?

「そ!外!?‥すごいのね‥、そう、あいつから二人奪ったってのは嘘じゃないみたいね。」

女の子が下を向きながら上目遣いで何か言ってくる。

うっ、2番とは違う可愛さ。

「やっぱり可愛いな。」

「はぁ?!その、ありがとう、でも‥。」

何か色々言ってるが無視だ、時刻は3時少し前、この辺には買い物が出来る場所が少ないので、大抵車で行くか、配達が定番だがそんな事をするつもりはない。

「急ぐぞ、早くしないと暗くなる。」

「え?何、明るいといいの?待ってそんな‥。せめて暗くなってから‥。」

1番のあの時のめんどくささを思い出しながら女の子を急かす。

何言ってるのか、わからないし。


「やっぱり、1種類じゃ足りないよな。」

「そうね、そうよねー。」

電車を2つ行った先のスーパー、ここは久しぶりに来たが迷わず来れた。

「ミートソースはどうにかなるとして、何か他に食べたい味はあるか?」

「‥私、なんであんなに必死だったんだろ‥。」

さっきから女の子改めシスターは上の空だ。

「おーい、どうした?ていうか外で何をするつもりだったんだ?」

「え!‥それは良いのよ!」

電車に乗った時、震えながらどこに行くのか聞かれたから、スーパーに買い物っと言ったらこの調子だった。

「それで、何味が食べたい?」

「クリームパスタ‥はっ!‥」

クリームパスタか、良いかもな。そしてなぜか今シスターが驚いた。

「もしかして、ホワイトクリーム作れるのか?」

「え?ええ、作れるわよ!」。

もしかしたら2番とためはれるぐらいの大きさの胸を張って言ってくる。

孤児で教会で育ったと言っていたな‥。少なくとも俺以上の料理センスを持っているのだろう。

「なら作ってくれるか?」

「いいけど、なんで?貴方、お金持ちなんでしょ。別に外食とかでも。」

「いや、俺は高校になったら一人暮らしをするつもりだ。だから家事とか料理を覚えたい。それにお金以外で払ってもらうって言っただろ。」

無理矢理とってつけたような理由だが、料理を覚えたいは本心だ。

「そう、わかったわ、なら小麦粉と牛乳と‥」

その後、しばらくシスターと買い物を選んでいた。

意外とシスターも世間知らずで、セルフレジが使えず四苦八苦しいる姿は、可愛らしかった。


「すごいな。ミッションスクールってこんなに料理教えるのか?」

「‥まさかソース作るだけでこんなに感謝されるとは思わなかったわ‥。」

家に着いたのは約5時30分頃。

電車の中で、もう5時というかことに気づいてシスターに。

「時間大丈夫なのか?」と、聞いたら「‥ええ、そうね。大丈夫みたいね‥。」と、答えた。

どこか他人事のように感じたがそれ以上答えてくれなかった。

「貴方だって、調理の時間とかあったでしょ?」

「ありはしたが、正直茹でるとか、焼くとかその程度、あんまり料理って言う料理はしてないな。」

シスターはクリームソースを作っている小鍋にヘラを入れてかき混ぜながら話しているが、鍋から目を離さないで言ってくる。

「そう、別に私も学校で習ったわけじゃないのよ、教会だったり、‥。色々あったのよ。」

最後に含みがあったが、きっとそれは。

「それより、パスタはもう茹で上がった時間?そろそろ出来るわよ。」

そう言うと、シスターは火を止めてパスタの様子を見ている。

「ああ、後1分ぐらいだな。」

「なら大きな皿を二つ出して。」

「わかった、ちょっと待って、今出すから。」

キッチンの机に大きな皿を二つ置いた所に、いつ湯切りしたのか網に乗せられているパスタを目分量なのに二つ綺麗に分けられる。

「そっちは貴方がやって、それぐらい出来るでしょ。」

「ああ、ミートソースの方だな。」

そういうとシスターはクリームソースを片方のパスタにかけていく。

上から言われたように感じたが、悪い気分じゃなかった。


「へぇー。それじゃあ、意外とうちの学校と変わらないのか。」

「聞いた感じそうなのかもね、教会はあるけど、別に私は熱心な教徒じゃいないし、まあでも神学は学んでるわね。」

食事中、お互いの学校について話していたが、そんなに大きく変わらなかった。

「神学か、聖書とか読むの?」

「そうね、読みはするけど聖書の教科書があるからそっちの方をよく読んでるかも。」

聖書か、俺も授業で一度読んだがそれぐらいだ。にしても。

「これ、すごいな。美味しい。」

このパスタソースが美味しくて無言で食べ続ける。

「‥普段何食べてるの?そんなに学校の料理不味いの?」

「んー。そういうわけじゃない。学校の料理も、悪くないんだが。毎日食べてると正直飽きる。」

そう決して不味いわけではない、病院から帰ってきた時の感動をまだ覚えている。

「ふーんあそう。それで、作り方わかった?」

本来の目的は料理だが、作り方も覚えたかった。

「大丈夫、大体覚えた。」

「まぁ、そうでしょうね。あそこまで詳しく教えてたんだし当然ね。」

まさか、今日パスタソースの作り方を教えるなんて思っていなかったのだろう、少し疲れたように見える。

「あっ。買い忘れたな。」

「え?何、ないとまずいもの?」

シスターが、心配そうに聞いてくる。やばい、可愛い‥。今までにいないタイプだ。

「ケーキ忘れたな、好きだろ。」

「いらないわよ!ケーキばっかり!」

その後、しばらくお茶の話やこっちの学校の話しをした後。もう後片付けに入っていた。

「‥意外ね。洗い物なんてしないと思ってた。」

「食器洗いぐらいは、俺でも出来るよ。」

食洗機があるが使った食器が少ないので手で洗っている、ただスポンジを握ったのも去年の夏以来数回しかないので洗剤で食器を滑らさないか内心ヒヤヒヤしている。

シスターが、不思議そうに後ろに立って言ってくる。

しばらく無言で食器を洗っていると、シスターが。

「‥ねぇ、聞かないの。5番との事。」

自分から話してくれた。

「聞いていいのか?」

「うん、もう大丈夫。」

「なら、このまま聞くぞ。」

後ろにシスターがいる状態で聞くことにした。

「シスターに5番の家が学費を出したってだけの関係じゃないんだよな」

「‥うん。」

「シスターは、なんて言われて5番の家に連れて行かれたんだ。」

「‥私は‥5番の側室らしいわ。」

この現代でふざけた話だ。

「でも、その感じだと。」

「そうね、そんなものじゃなかったわね。」

「‥悪い、話したくないよな」

「いいえ、聞いて私も話すから。」

「‥‥。」無言で聞くことにする。

「私がミッションスクールで最初の夏休みに5番の家に連れてかれた時。正直、アイツは気持ち悪いし、プライドが高くて嫌だったわ。私と話す時は自慢ばっかりそれ以外は誰かの陰口だし。しかもいつも目線が気持ち悪くて。」

シスターは強気で話しているが、声が震え始めた。

「それに家の使用人が5番の好みの女性になって頂くとか言って、休み中ずっと教育って言ってあいつの身の回りの世話をさせられて地獄だったわ。」

側室なんかじゃない、奴隷って感じだ。

「でも、アイツやっぱりビビリね、それ以上は何もしてこなかったわ。」

不思議だ、俺の知ってる5番は急に暴れたりする奴だ。

だが、何人かに聞いたが皆一様に、腰抜けだと言う。

「私は驚いたの、アイツが未遂でも暴行事件なんて起こすなんて。」

「だから、俺に許してもらおうとしたか。」

もう洗い物も終わって、振り向き流しに寄っかかって話しかける。

「なんでだ?5番の家から学費を出して貰ってるからってなんで、君が直接謝りに来るんだ?」

側室なんてもの、現代では存在しない立場だ。俺に謝るなら5番の両親が直接くればいいのに。

「‥それは私にもわからない。だけど。」

これが俺に会いに来た理由だな。

「だけど?」

「最初は貴方に許して貰わないと側室と認めないって言われて。」

は?

「なんだそれ?」

「私は側室だから、ミッションスクールの学費を出してもらってるの。」

なるほど、仮にもあの学校の姉妹校で共同で運命している、将来の事を考えると確かにいた方がいいと考えつく。

「それに‥。ち、違うんです!そんなつもりじゃ!」

何か言い終わる前に急にシスターは喫茶店の時のように狼狽え始めた。

「お、おい!どうした!?」

「ひぃっ‥違うの‥違うんです!、ごめんなさい!」

尋常じゃない様子でシスターが頭を抱えてしゃがみ込んだ。

「っ!おい!大丈夫か、とりあえず向こうに行こう。」

シスターの肩を抱えてソファーまで連れて行こうとするが、体を固めて何かに耐えるような体制になっている。

ダメだ、固まって動かない。

「ごめんなさい‥違うんです、わざとじゃ‥。」

何かに謝り続けるシスターを前に抱えてソファーに連れて行く。

「しっかりしろ!何があった!」

「はあーっ。はぁーっ。はぁーっ。」

ダメだ、聞こえてない。叫びすぎて過呼吸になってる。

過呼吸状態の患者を助ける方法は吸った息をゆっくり吐き出し、出来れば呼吸を止める。

「聞こえるか!?息を吸って!止めて!そのままゆっくり吐いて!」

「すぅーっ‥‥‥。はぁーー。」

俺の声が届いたのか、シスター自身が対処法を知っていたのかシスターは自力で適切に過呼吸から抜け出そうとしている。

何度か繰り返すうちに治ってきたのか、シスターは落ち着いてきた。

「‥大丈夫か?」

「‥‥。」

目が虚ろだ、息はもう正常だが心配だ。これはやはり異常だ。

喫茶店の時と言い、今回と言い、5番の家で何があったんだ?

「‥‥、水が飲みたい‥。」

か細い声が聞こえてくる。

「わかった、水だな。」

キッチンに向かいコップに水を注いで、ソファーに戻る。

シスターは自力で座りなおし、水を受け取り、飲み干す。

「‥ありがとう‥。」

どうにか落ち着いたな、長く続くようなら救急車を呼んでたところだ。

「‥5番の家には連絡しない方が良さそうだな。」

「‥うん‥。」

よし、まずは風呂だ。

さっきの症状のせいでシスターは大分汗をかいている。

「待ってろ、今風呂の準備をしてくるから。」

「‥‥。」

返事はしないが、頷いてくれた。

風呂場に向かうが、同い年の女の子の着替えなんてなく。

「仕方ない、俺のジャージでいいや。」

洗ったばかりのジャージを用意しておく、今日一日ぐらい大丈夫だろう。

急いでタオルの用意をしてリビングに戻る。

「もういいぞ、準備できた。」

シスターの手を引いて脱衣所に連れて行く。

「悪いけど、着替えがないからこれ着てくれ。」

「うん。」

タオルの場所を教えて、俺はリビングに戻る。


5番の家について。


秘書さんからメールが来た。

確認しよう。


まず事件の後、5番はしばらくは自宅謹慎をしていらしいです。

その後、警察からの取り調べや聞き取りを行い、今は入院しているらしいです。


加害者が入院か?あいつの状況は知らないが気楽なものだな。


5番の経歴に傷がついてしまった為、今は別の方が次期当主になっているそうです。


別の次期当主?お家騒動でもあったのか?


私が調べられるのはここまでです。

お役に立てましたか?


秘書さんのメールはここまでだ。俺からも返信をする。


はい、ありがとうございました。

すみません、ここ最近頼ってしまって。

後、伝えておきたい事があります。


秘書さんに今日の事を伝えておいた。

もしまた何かあったら、俺ではどうする事も出来ないかもしれない。

それはあの子のためにもならない。


秘書さんから返事のメールはすぐにきた。


わかりました。

確かにそれは放っては置けませんね。

私から、教会について伺っておきます。

では失礼します。

後、あのお二人には今4番様とシスター様が一緒にいると隠しておきますね。


有難いが最後のはなんだ?秘書さんに弱みを握られてように感じる。

俺も試しに教会について調べるが児童養護施設と出るぐらい、確かに出資者に5番の家の名前が出るがそれぐらいだ。

ガチャン、風呂場から音がした。

「‥お風呂、ありがとう‥。」

シスターがリビングに戻ってきて、ジャージ姿のシスターを見ると。

「っ!」

俺のジャージを着ているシスターは、修道女とは名乗っていいのかと思いほど肉感的だった。

ジャージの胸元に布を取られすぎて、肩や脇にかけてシワがいくつも伸びている。

ズボンも太ももあたりはゆったりしているが、臀部の部分にはっきりとわかる程の丸みが浮き出ている。

2番の方が足が長いし、1番の方が胸が大きいが、シスターの肉体美に見惚れていた。

「‥ジャージありがとう‥。」

「‥おっおう、サイズはどうだ?」

「ちょっとぶかぶか、でも大丈夫ちゃんと着れてる。」

風呂に入って、安心したのか普通に話せている。

「じゃあ、ちょっと来てくれるか?。」

「うん。」

シスターを連れて階段を登り二階へ向かう。

「ここが俺の部屋だから、何かあったら呼んでくれ。」

「え?‥わかった。」

俺の部屋という単語に驚いたのか、少し顔を背ける。

なんだ?違和感があった、疲れて反応が遅れているのか?

「で、ここが客室だから。ここの部屋を使っていいから。」

「いいの?今日泊まって。」

「もう、こんな時間だし。それに帰る場所は5番の家だろ。」

「‥‥。」

答えないが、そうなのだろう。


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