とある兄妹の事情と秘密

みゅう

第1話 兄と妹


 俺には妹がいる。

 名前は菜々花ななか。年は俺より二つ下の十五歳で、今年晴れて高校一年生になった。


 通う高校は俺と同じ正才しょうさい高校で、その理由は俺と同じ高校に通いたかったという、非常に可愛かわいらしいものだった。


 よく孫の事を目に入れても痛くないと評するが、俺の場合、菜々花がまさにそれだった。


 だからもし、菜々花を助けるために俺の命が必要だと言われれば、俺は喜んでこの命をささげる事だろう。それぐらい俺は、菜々花の事を大切に思っているし、大事にしている。





 私には兄がいる。

 名前は翔太しょうた。年は私より二つ年上の十七歳で、今年は大学受験を控えた高校三年生だ。


 通う高校は私と同じ正才高校――というか、私が真似まねをして後から入ったので、私と同じというより、私が同じ高校に入学したという方が表現としては正しい。


 よく同級生は好きな人に芸能人の名前をげるが、私の場合、翔兄しょうにいがまさにそれだった。


 だからもし、翔兄からお前が必要だ、お前が欲しいと言われたら、私は喜んでこの身を捧げる事だろう。それぐらい私は、翔兄の事を大切に思っているし、愛してもいる。

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