第14話 夏休み -バイト-

部活が終わり部室で一人。

俺 福島太一は今悩んでいる。


期末試験も終わり夏休みとなった。

女子バスケ部は決勝戦に勝利し全国大会に駒を進めたが、残念ながら俺達男子は県大会の決勝で敗退。ということで、部活はあるけど本当に長い夏休みなんだ。


この夏休みどう利用するか。

バイトをするか、それとも遊び倒すか。

それとも学生らしく勉学に励むか・・・これは無いな。

清水に話をしたら、あのリア充は浜野さんと正式に付き合うことになったということで二人で楽しく過ごすとか言いやがった。

男の友情とはそんなものだったのか・・・・・羨ましいぞこの!!

とすると由良でも誘うか。あいつならどうせ暇だろうし。


それとも・・・・いや、女子バスケは全国大会で忙しいはずだしな・・・・


とりあえず、休み前半はバイトして、後半遊ぶかなぁ

「よ~し 決めた!」

と鞄を持ち戸締りをして部室を後にする。

バイト。どこか手頃なところないかなぁ。

と商店街を抜け自宅へと向かう途中、町内会の掲示板に求人のポスターを見つけた。


[配達(自転車可),倉庫整理,販売補助 時給\900~ (高校生可・短期可)]


「どこの求人だ?  ・・・・[村田酒店]って村田の家か!」

でも、これ悪くないな。家からも近いし短期もOKなら部活の無い日で1か月とかも出来るかもしれないしな。

とりあえず、連絡先等メモして帰宅。

ネットで良さげな求人を探してみたけど、今から申し込めるバイトは中々良い条件がなかった。『やっぱりあそこかな』明日村田酒店に行ってみることにした。


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午前中の部活を終えた帰り道。

俺は村田酒店の前に居た。レジには人が居ない。


「すみませ~ん」

「は~い」

声を掛けると店の奥から村田に良く似た40代くらいの女性が出てきた。


「はい 何でしょうか?」

「あの町内掲示板のバイト募集を見たんですが、まだ募集してますか?」

「あら、バイト募集ね。まだ募集してるわよ。

 今、人手不足だから来てくれると助かるわ!

 一応面接あるんだけど、今から大丈夫?」

「はい 今日はもう用事とかないので」

「じゃぁ奥で少し待っててくれるかな。主人が面接するんだけど、今配達中で」

主人ってことは、やっぱり村田のお母さんか。


「あの、もしかして綾子さんのお母さんですか?」

「え?綾子の事知ってるの?」

「はい。同じクラスです。前に一緒に帰った時にこの店の事も聞いたので」

「一緒に帰った・・・ってこともしかして福島君?」

何で一緒に帰ったってだけで名前特定されるんだ?


「はぁそうですが」

「ふ~ん あなたが福島君ねぇ~」

と何だか俺の事をジロジロと見始めた・・・・・何なんだよ一体・・・


「採用!」

「え?」

「だから、バイト採用よ。勤務時間とか時給とか早速話しましょ」

「え、面接があるんじゃ・・・」

「まぁ通常はそうなんだけど、私が許可だしたんでOKよ」

「は はぁ、それではよろしくお願いします」

とバイトの条件等を決めていると、ご主人が配達を終えて帰宅。

奥の方で奥さんと何やら相談をしたと思ったら、俺に手を向け[採用]と一言。

良いのかコレで?


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