第3話 魔法について探る

 昨日はバタバタとして寝てしまったので今日は魔法について調べようと思い、家の中で本がありそうな場所を探して回っている。


「にしてもなんであの人達廊下で寝てたんだ?」


 あの人達とは家族のことである。朝起きたら部屋の前で寝ている家族の姿があり、起こさないようそーっと抜けてきたのだ。


 そして屋敷内を本を探して歩き回っている。

なぜなら先ほどメイドや執事に「おはようございます、魔法について教えてください。」と声をかけると皆ビクッとし、「お嬢様にはまだお早いかと」としか答えてくれないからだ。それどころか、何人かは目を合わせるだけで逃げていく。


 まぁ、そりゃーお嬢様は魔力0ですよなどと言いにくいだろうけどさ…教えてくれてもいいじゃん?なんで秘密にするかな?しかも、皆逃げていくし、冷たい目で見てくるし、俺何かしたっけ?


 ということなので、仕方がないので、自分で探すことにしたのだ。図書館のように本がズラーッとある部屋につくと、魔力について探してみる。


「あった!」


『初めての魔法編~髪の色でわかる属性~』という本を見つけた。しかし…


「届かねぇ…」


結構高い位置にあり、届きそうもない。


 初級編なら下におけよ!なんであんなとこにあるんだよ。よくよく見ると、下の方には絵本や、図鑑などがあり、俺の手の届かない場所に魔法系が揃っていた。


 これは…わざとだな。どんだけ見られたくないんだ。

 

「隠してるのか…」


なぜそこまで隠すのだろうか?魔力0はそこまで必死に隠すほどのものなのか?

 仕方ないから外に出て探すことにした。となると問題がある…


「服装がな…」


正直今も、朝起きたときもドレスなどしかなく、女装している気分であるが、外に女装でいくのは恥ずかしい。


「あ、兄ズの服借りればよくね!」


 そう! 兄ズとは1歳しか違わないため、着れるのだ。


俺って頭いいじゃんとか思いながら兄ズの部屋を探す。


 双子なため部屋に2個ずつ同じものがある兄ズの部屋はわかりやすかった。人の部屋に入るのは抵抗があるが…レオ兄様は俺の部屋蹴破ったし、お互い様ということで。


 俺はレオ兄様のクローゼットから庶民に紛れれそうなほど落ち着いているものを取り出して着けると、代わりにドレスを入れた。


「これで街へ出れるな。欲を言えばお金が欲しいとこだが…」


もちろん8歳児がお金を持ってるはずもない。持ち物を売ることも考えたが、売れる場所もわからないし、金目のものを持っていると狙われそうで怖い。


 仕方ないので、街の様子を見て帰ってくることにした。


 人がいたら銀髪について聞こうぐらいに考えて屋敷を、飛び出す。考えなしの俺は異世界の様子が見れるとワクワクしていた。


俺は知らなかったのだ。

普段なら俺は屋敷を出られないようになっている事も、俺が街でどのように思われているかも、銀髪の意味も…。


 そして普段なら出られないこのお屋敷の扉を、今日の俺は男装(心的には正装)済みのため、軽々くぐった。


「そっと外~RPG~乙女ゲームでも~アクションあるならきっとRPG~」


などと歌いながら街へ繰り出した。

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