第18話 上がり症

 「我等神々のいとし子達、恐れる事は無い、そのままでい、これから海をべる次兄じけいの神が、言霊ことだまをくださる」


 ロリーなのに恰好かっこう良いぃ~。

 彫りの深いお顔も、まるで燃える様な赤い髪も。

 青く澄んだ綺麗な瞳に、つ、つ、つ、…つややかな唇、あっ、赤い。


 筋肉の隆起りゅうきが分るくらいマッチョなのに、足が長くて、スタイルも良くて。

 エルピスをいとおしそうに見つめる優しい表情。

 きらりと光る白い歯。


 ・・・『兄ちゃん』っとか言いて、腕にぶら下がりたい。

 「…おっ、おっ、お兄ちゃん」はっ。

 違います違います、これはこれ、それはそれ、恐るべし神の力、…多分。


 「・・・おっ、・・・、・・・、・・・、・・・ぉ、・・・」

 「駄目だめじゃん」

 「アイデース様、ポセ様はがりしょう、治ってませんね」


 「はぁ~、ひげたくわえて、威厳いげんはあるのにぃ~」

 「しししししっ、仕方ないだろう」


 ざわざわざわ。

 「なっ、何だろう、何故、黙っておられるのか」

 がやがやがや

 「あ~しら何かした」「「 「「してない」」 」」


 ぷしゅーーー、ぽん。「「 「「ぉぉぉぉおおおお」」 」」

 「あっ、ポー兄貴、何俺の姿になってんだよ」


 「だっ、だから、口だけ動かすから、頼むよアイデース」

 「嫌だよそんなの、俺が話せば済む事じゃないか」


 ぷしゅーーー、ぽん。「じゃ、ヘルメ、なっ、口ちゃんと合わせるから」

 「ぇぇぇえええ、嫌ですよ、ここは次兄じけいの神たるポセ様が」


 ぷしゅーーー、ぽん。「「 「「ぉぉぉおおおおーーーーーー」」 」」

 「なっ、何っすか、あたしになるの止めて欲しいっす」


 あっ、両側のすそまみ上げて、ひらひらさせながらおどりだした。

 がやがやがや。

 「イーリス様二人、めっちゃ可愛いいぃ~~~」


 「わたしぃ~、イーリスぅ~、可愛いっしょぉ~、もっと可愛い“とこ”、見せちゃいまぁ~すぅ」

 「やっ、止めるっす、あたしそんな話し方しないっすっ」

 「「 「「 「「 「「おおおーーー」」 」」 」」 」」


 あっ、あっ、あっ、ぁぁぁあああーーー、そんなに上げたら見えちゃう。

 「「 「「 「「 「「おおおおおおーーー」」 」」 」」 」」


 「ねぇ~~~、わたしぃ~、綺麗ぃ~」

 「いやぁーーー、お願いっす、止めて欲しいっす、見れちゃう見れちゃいます」


 「大サービスう~~~」

 「らめぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」

 「「 「「 「「 「「おおおおおおおーーーーーー」」 」」 」」 」」


 泣かしちゃった。

 「あんおばあちゃん、女神様泣いちゃった」

 「ポセ様はのぉ~、海の神様、形を変える水の神様なんじゃぁ」


 「だから誰にでもなれるの」

 「そうじゃぁ、誰にでも全部同じになれるんじゃぁ~」


 「全部なの」「そうじゃぁ、ぜぇ~~~んぶじゃぁ」

 「お顔も」「そうじゃ」「お胸も」「そうじゃ」「お尻も」「そうじゃ」


 虹の女神イーリス様の流した涙は、滅茶苦茶めちゃくちゃ大きな虹をけ、結局、泣きながらイーリス様が、皆に説明をした。


 「アム様に言いつけてやるっすっ」

 「止めて、お願い、…ほっ、ほら、おかげでこんなにでっかい虹がかったし」


 「まぁまぁ、イーリス、僕も思うよ、可愛いお尻じゃないか」

 「ヘルメっ、うるさいっ、黙るっす」

 「と、とにかく主神様の気が変らぬうちに、我等のいとし子達を虹へ」


 「あんおばあちゃん、虹って乗れるの」

 「女神イーリス様がつくる虹はなぁ、神様達があっちこっちに渡る時に使う特別のものじゃぁ~」

 え~~~、でも虹って光だよね、どうやって乗るんだろう。


 「ゆっくり慌てなくても良いっすよ」

 「あっ、あの、あ~し、イーリス様、あ~しも可愛いお尻になりたいです」

 「う、うちも、つやつやぷりぷり、かっ、可愛いぃ~」


 「・・・うっ、」

 「ななな、泣かないで下さいよぉ~、あ~し等で神殿建てますぅ」

 「イーリス様の可愛さを皆に広めるから」

 「「 「だよだよぉ~」 」」


 「うぅ、…有難う、今はとにかく虹に乗るっす」

 「どうすの」


 「虹に触れるっす」

 「虹に」『わっ、…面白~い、乗るんじゃなくて、入るんだ』


 「出る時は、外に触れるっす」

 『こう、かな』「はっ、戻った」

 「さあ、他の子も虹に触れるっす、この先は安全だから」


 へぇ~、面白~い、虹に入ると、テレビに映ってるみたいに2次元なんだ。


 「ではヘルメ、御者ぎょしゃを頼む、俺はエルピスやジュリエットと話がしたい」

 「ペル様に言いつけますよぉ~」


 「好きにすると良い、ペルもジュリエットは気に入ってくれるさ」

 「まぁ、そうですね、エピメ、パンドーラ、アイデース様がジュリエットに手を出さない様、ちゃぁ~んとみててくれぇ~」


 「ヘルメっ、お前達からはエルピスの暮らしぶりを聞きたい、良いか」

 「はい、何でもお聞きになて下さいまし」

 「その通りです、アイデース様」


 「ふむ、改めて礼を言うぞ、有難う、そしてエルピスを宜しく頼む」

 「お任せを」


 「で、ポー兄貴はどうする」

 「俺は最後に、イーリスと虹で渡る」

 「お尻触ったら殺すっす」


 「それではヘルメ、頼む」

 「はいよぉーーー、しーるばー」ひひーーーん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る