「戻ってきても怒られる」

「ま…ったく信じらんない!」


気がつけば、僕らは先ほど出た駄菓子屋から

そう遠くない道の隅にいた。


しかし、空を見るとすでに日が落ちかけていて、

夕日と同じくらいに顔を真っ赤にしたユウリが怒っている。


「あんたたち、自分が何したかわかってるの?

 下手したらみんな死んでいたのよ?」


すると、地面から起き上がったやっちんが

頭をかきながらのんびりと声をあげる。


「でも、クリアしたじゃん。俺たちのおかげで。」


「ち・が・う!あんたは明らかにお荷物だった!

 このマサヒロくんのおかげでしょ!」


すぐさま僕を指差すユウリ。


…どーも、お褒めに預かり恐縮です。


しかし、そう言っているユウリの目から

ボロボロと涙があふれ出し、僕らは慌てる。


「これで、二人とも参加するしかなくなっちゃった。

 どうしよう。私のせいで…こんなことに。」


さすがのやっちんもマズいと思ったのか、

慌ててユウリに駆けよって聞いた。


「え、ちょっと何で泣くんだよ。

 確かに俺たちも少しヤバイと思ったけどさ。

 でも、今みたいに生きて帰ればいいじゃん。

 何も怖くねえよ。」


しかし、鼻をぐずらせるユウリは、

必死に首を振る。


「ダメだよ。一回参加したら抜け出せないんだよ。

 私の親友だったミカもそう言っていた。

 行方不明になるその日まで、最後まで参加していたもの。」


それを聞いて、僕らは顔を見合わせる。


「え、行方不明?」


ユウリはそれにうなずく。


「だから言ったのに…」


袖で涙を拭きながら

スマホをタップするユウリ。


「近年起こっている行方不明事件。

 そこに、私の友人だったミカも巻き込まれたの。」

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