この同好会の名前、もう少しどうにかにゃらにゃかったんだに?

 放課後。

 ソルディオ先生との触れ合いに浮かれていたニャアは、ちょっぴり遅刻しにゃがらも部活へと向かった。

 部活というか、正しくは同好会にゃんだけどね! 


 毎回活動場所が違うこの同好会の、今日の場所は学校から少し離れた公園。

 ダッシュで駆けつけたニャアは、二人の先輩の姿を探して辺りを見回した。


「あ、おーい、マオちゃーん! こっちこっち!」


 透明感のある爽やかな声が、ニャアを呼ぶ。

 声のする方を見れば、ベンチでガルレイド先輩が手を振っていた。


「遅れちゃってごめんにゃさい!」

「うん? 大丈夫。別に時間の決まりとかないからね」


  たたたっと、小走りで先輩に近づくニャアを、ニッコリと笑って出迎えるのが、ガルレイド・グレイシア先輩。二年生。

 耳にピアス、指や手首にはシルバーアクセをじゃらじゃらつけている一見チャラそうにゃ先輩にゃ。

 だけど話してみれば意外と爽やかで、好青年といった印象にゃ!


「それでもニャアは真面目に活動に参加したいから、悪かったと思ってますにゃ?」

「そっか……真面目なのは良い事だと思うよ。僕」

「にゃふふ」


 


「ところで、カルム先輩は?」


 キョロキョロと、ニャアはもう一人いるはずの先輩を探した。

 この同好会、実はガルレイド先輩とカルム先輩の二人にニャアが加わって、三人がメンバーにゃのである。


「ああ、カルム兄なら……」

「…………」


 噂をすれば、近くの木の裏からめちゃくちゃ長身のDKが出てきた。

 肩口で緩くウェーブを描く橙赤色の髪。その前髪を上げて簪で留めている人が、カルム・グレイシア先輩! 同じく二年生。

 無口を通り越して無言にゃお人だにゃ。


「…………」

「なんだ、もう来たんだ……ってカルム兄が歓迎してるね」

「いや、多分それ歓迎してにゃいと思います」


 口を開かにゃいカルム先輩の代わりに、ガルレイド先輩がその気持ちを伝えてくれる。


 実はこの二人、緑髪と赤髪で全く似ていにゃいけど、双子の兄弟にゃのだ!

 二卵ソーセージとか言うやつで、見た目も性格も好みも全然違う双子がいのにゃい奴らだに。

 でも、双子のテレパシーでカルム先輩の考えることが何とにゃくわかるから、ガルレイド先輩が通訳みたいにゃことしているんだって。


「…………」

「うん、うん。分かった」


 何が分かったのか全く分からにゃいけれど、どうやらカルム先輩は挨拶だけしに来たらしい。

 ガルレイド先輩と話し終えると、ニャアを一瞥することもなく出てきた方向に立ち去った。


「マオちゃんは行かないの?」

「ぐぬ……行きますにゃ!」


 フレンドリーなガルレイド先輩と違って、カルム先輩は人を寄せ付けない感じがしてちょっぴり怖い。

 でも、行かなきゃこの同好会に参加した意味がなくなっちゃうんだに! 


 にゃんたって、これは『ネコネコ同好会』の活動にゃんだから! 


「お邪魔しますにゃ〜」


 集まってきた子たちを驚かさにゃいように、そっとカルム先輩が向かった木陰を覗き込む。

 にゃにゃんと、そこには! 先輩を囲むように集まった、二十匹くらいの猫たちがいた! 


 にゃーにゃー

 ごろごろ


 カルム先輩はこっちに背を向けているからどんな表情かは分からにゃいけど、猫たちは皆思い思いに先輩にじゃれつき、甘えている。

 そう、怖そうに見えて、カルム先輩はとっても猫にモテるのだ! 


「ニャアも混ぜて欲しいに!」


 猫好きに悪い人はいにゃい。

 これがニャアの自論だに。

 だから、ニャアも猫たちと触れ合うべく先輩と猫の輪に入っていく。


 ちにゃみに、この間ガルレイド先輩は少し離れたベンチからこっちの様子を伺っている。

 カルム先輩とは逆に、ガルレイド先輩は猫に嫌われる体質にゃんだとか……


 猫たちと触れ合えにゃいにゃんて、可哀想だにゃ! 

 先輩の分も楽しむにゃ! 

 そう思って、ガルレイド先輩の方に向かって手を振ったら、笑顔で手を振り返してくれた。


 こうして、ニャアたちは夕方まで猫たちと思う存分遊んだのだ。

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