第8話 風呂上がり


「くっっっ」


今隣には風呂上がりの千崎がいる。肌が艶やかで色っぽい。部屋には千崎の甘い匂いが強く香る。艶やかな魅力が、今この場にあっては不思議な背徳感を醸し出していた。


「どうしましたか?先輩?」


俺の葛藤などいざ知らず千崎が伺ってきた。


「い、いや何でもないから気にするな」


「せんぱーーーーぃ??まさか私の匂いに興奮しているんですか〜〜??」


千崎の甘い匂いに刺激されて頭がクラクラする。同じシャンプーをしていても千崎匂いは刺激が強い。


「し、してねーし」


千崎はジャージ姿で制服姿の時よりはっきりと胸の形がある。千崎は胸がある方なので余計に目立ってしまう。


「先輩はいつになってもエッチな先輩ですね」


どこか嘲笑うかのように言う千崎。


「そ、そんなことねぇーし」


「あはははっっっ!先輩、顔に出過ぎです」


「うっ、そ、それより明日は学校行くんだな?」


俺はすぐに切り替え、千崎に聞く。


「凄く憂鬱ですけど、明日は行かないといけないんです...。本当最悪です。でも明日乗り切れば6連休があるのでまたずっと一緒ですね先輩??」


「本当に週一なんだな。ってずっとこの部屋にいるつもりか!?」


「明日だけは帰りますよ。えへへ、せんぱーーーーぃ?私が帰っちゃうんですよー?寂しいですかーー?寂しいですねーー?」


「そんなことねぇーよ。ただ、一回くらいは帰らないと、、、ど、同棲しているみたいになるだろ...」


「た、確かにそうですね...」


俺が照れたように言うと、千崎も声を小さくし、顔を赤らめる。


「...」


「...」


静寂に包まれる雰囲気、それはどこか初々しいカップルかのような空間で。気まずいけど、心地良くて。俺が顔を上げると、自然と目があって、でもすぐまた目をそらしてしまう。すると、千崎の口角が少し上がった。


「せんぱーーーぃ。まさか私と同棲したいんですか〜〜??この私を求めているんですか〜〜??」


やっぱり千崎はからかってくる。今までの雰囲気はどこへ行ったのやら。


「あ、そうだ。なら学校の準備とかは大丈夫か?」


「切り替え早いですね先輩。そうですね制服はありますし...。鞄もあるし、教科書は学校に置いてきているのでへーきですね」


「徹底してるな千崎は。ある意味すげーわ」


「私は趣味の為なら他に何も入りません」


「そ、そうか」


「ま、まさかせんぱーーーぃ?先輩も入れて欲しかったんですか〜〜??全く先輩は欲張りですねー」


「ち、ちげーよ」


「先輩のその否定が可愛いです」


「そうかよ」


「今日も一緒に居れて嬉しいですか?」


「そんなことねぇーよ」


「本当ですか?」


「あぁ」


「どうだかなー?」


「からかうな」


「えへへ。やっぱ可愛い」


「だからやめろって」


「先輩??」


「なんだ?」


「ーーーき」


千崎が小さく囁くので聞こえない。


「え?よく聞こえなかったぞ」


「なんでもないですよ〜〜。それより、風呂上りといえば白いのを飲ませてください!私それ大好きなんです!ね?せんぱーーーぃ?」


「はぁー。全く、千崎はいつも紛らわしいんだよーーーーーーーー!!!」


俺は声を荒げ、毎度のセリフを吐いた。

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