すまん、男の娘(しんゆう)の弟に会いに行くんだが
「あの娘可愛い~!」
「本当~!」
なんて会話が後ろから聞こえてくる。
きっと今しがたすれ違った女子高生が俺の隣にいる代を見て言ったのだろう。
言われなければ分からないであろう。
彼が男だなんて。
膝よりも少し高いスカートを穿き、上はオシャレなのか単にサイズが大きいのか手が半分袖に隠れてしまっている。
そして最近肌寒くなってきたからだろう。
黒タイツまで装備と来ましたよえぇ。
それでも正真正銘、男です。
いくら言ってもやめてくれないので恋人つなぎになってますが、男です。
「啓、もうすぐだよ!」
「あぁ、分かってるよ。何度もお邪魔した事あるんだから。」
俺は今、代の家へと向かっている途中だ。
先日、代の弟さんが俺に会ってみたいと言っていたそうなんだが、生憎その日は好君との先約があったのでまた日を改める事になった。
そして今日俺は特に予定も無く、学校も休日という事で約束通りこれから代の弟さんに会いに行くと言う訳だ。
「啓きっと驚くと思うよ!」
「何がだ?」
「えへへ、ナイショ~❤それは後のお楽しみ~❤」
いちいち可愛いなお前は~。
この所前みたいな照れさが無くなって来た感じがする。
確実に男の娘道を突き進んでいるな親友よ。
それから数十分後、代の家に到着した。
「何だかすごく久しぶりだなぁ~。代の家。」
「中学生になったばかりの頃はよくお互いの家で遊んでたもんね~!」
だが高校受験やら何やら割と忙しかったため、あまり家で遊ぶことは無くなってきたな。
「さぁ入って啓。弟はもう家にいるから!」
「あぁ。お邪魔しま~す。」
高校生になって初めての代に家。
代が開けた玄関のドアを跨ぐと、俺の目の前には・・・
「こんにちは!啓先輩❤」
女の子が立っていた。
「えぇっ!?・・あっ代の、妹さん?」
「違うよ啓。僕に妹はいないよぉ。」
妹もいたのかと思って言ってみたが、代から違うと言われた。
・・・という事は、
「・・・まさか」
いやそんなまさか・・・。
でもそうとしか考えられないんだけど!!
「代の・・・弟・・・さん?」
「はい!弟の静別悦(しずわかりえつ)です!兄がいつもお世話になってます!」
マジでぇぇぇぇぇぇっっ!!??
嘘だろオイ!!?
どっからどう見ても女の子なんだけど!!
弟!?
この子男なの!?
兄弟揃って男の娘なのぉ!?
「ただいま悦。啓を連れてきたよ!」
「お帰りお兄ちゃん!ありがとう!」
あれれ?
何か目の前でゆりゆりな光景が・・・。
あっ、周りに花咲いた。
「どうしたんですか啓先輩?」
「・・・はっ!?いや何でも!!ははは。」
「啓!こっちこっち!」
あぶねぇ永遠に見てるとこだった。
代に連れられリビングへ。
しかし本当に男なのか?
髪は代に似てサラサラで真っ白なミディアムヘアーだ。
だが目はパッチリの代とは違ってネコ目だなぁ・・・。
う~~~ん・・・。
「あの///啓先輩?」
「えっ?あぁごめん。何かな?」
「そ、そんなに見られると・・・恥ずかしいです///」
「えぇあぁごめん!!やっぱり兄弟だからか、代と似てるなぁと思って!」
しまった見すぎてたか!!
初対面で親友の弟凝視するのはマズいな。
落ち着け俺。
クールダウンしていると、代が俺の顔を手でグイッと自分の方へと向けさせる。
「うわわっ!代!?ど、どうした!?」
「啓!僕の事ならいくらでも見ていいよ!」
そう言いながら頬をプクッと膨らます代。
嘘だろオイオイ!!
嫉妬してるのかい!?
俺が悦君の事見てたから自分も見ろって!?
かぁぁ~~~わいいなぁ!!!
「あっはは!ラブラブですね二人とも!」
「そうだよ!僕と啓はいつもこうなんだから!」
そうだけど実の弟によくそんな恥ずかしげもなく自慢できるなぁ。
代ってやっぱりすごい。
「そう言えば、二人はまだ付き合ってないんだよね?」
まだな。
「うん。そのためにも悦に協力してもらったからね。ありがとうね悦!」
「いいよいいよ!兄の恋路のためだもん!でも・・・そっかぁ、まだ・・じゃあさ」
代と悦君の微笑ましいやり取りを見ていた俺の横に、悦君が座ってきて・・・
「えつも啓先輩の恋人に立候補しちゃおっかな~❤」
悦君に思いっきり抱き着かれる。
「えぇ~!?そんなのダメだよ~!!」
そう言って悦君とは反対側の方から俺に抱き着いてくる代。
「ちょいちょい!!二人ともなにして!!?」
何が起こってるの!?
何で俺は今美少年いや男の娘に挟まれて揉みくちゃにされてるんだぁ!!?
そうかこれが悦君の俺に与えた試練か!!
兄が欲しくば先ずは弟である自分を的な!!?
ってそんな事言ってる場合じゃねえっ!!
「な~んてね!冗談だよお兄ちゃん!からかっただけ!」
「も~う!本気でビックリしたじゃんかぁ!」
冗談だと言って離れる悦君。
悦君が離れても代は抱き着いたまんまなんだが・・・。
にしても代と同じでいい匂いしたなぁ悦君・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます