第4話 適正職業

 オリビアの魔力操作の訓練を始めてから既に1年が経過し、オリビアは5歳になっていた。


 魔力を感じる事には成功したが、上手く魔力操作をする段階には達していなかった。


 まあ、魔力を感じる事が出来るのだから後は練習と慣れで上達するだろう。


 それにしても……


『まさか適性職業の祝福はあったけど、15歳になってからだとは思わなかったな。』


 オリビアがお母さんに適性職業って無いの?って聞いたら、何で知ってるのかびっくりしながらも成人の儀式時に教会で適性職業の祝福をしてくれるという話を聞かされた。


『楽しみだったのに!』


『うーん、勝手に祝福する訳にもいかないしなぁ。』


『えっ? ゾディアも出来るの?』


『あっ、今のは……』


 ヤバい、うっかりしていた。


『出来るの?』


『うぅ……、私も出来ると思う。 だけど、この魔導書の身体で試した事は無いから、確実では無いからね?』


 何故かオリビアとマスター契約をしたときに、オリビアに対して嘘がつけないようになっていたんだよな。


 まあ、嘘ではなければ良いから黙っていたりするんだけど、今回みたいに聞かれてしまうと本当に話さなくてはいけなくなるんだよね。


『分かった! どうすれば良いの?』


『オリビアはなにもしなくて大丈夫だよ。 私の方で祝福を与えるだけだからね。 だけど、分身体で声を出さないといけないからお母さんが家に居ない時にやろう。』


『お母さんが居ないときね!』


『まあ、明日か明後日にはまた冒険に出掛けるだろうから、そのときだね。』


 お母さんは、オリビアがひとりでも大人しく家で留守番が出来ると分かったら、お父さんと一緒に半日位の短い冒険の仕事に出かける様になっていた。


 お父さんは有名な剣士らしいのだが、お母さんもお父さんに負けないくらいに有名な回復魔法の使い手らしく、冒険者を管理している冒険者組合から復帰して欲しいという要望に負けた形で冒険者として復活したのだった。


『うん!』



 なんで私が教会の神父が使うはずの祝福を出来るかというと、簡単な話で祝福とは光属性魔法の1つだからである。


 光属性魔法ならば、全属性使える私が使えない筈が無いのである。


 まあ、前世では教会が祝福魔法のやり方を秘匿していたから、本来なら使えないのだが前世で聖女様を助けた時にお礼として秘匿魔法をいくつか教えてもらったのだ。


 そう言えば、あの聖女様はあの後どうなったのかな?


 暇があるときに部屋へ遊びに来ては、ご飯を作ってくれたりして助かったなぁ。


 私みたいな孤立していた魔導師にすら優しくしてくれるのは聖女様位なものだった。


 しかし、私が勝手にオリビアの祝福をしちゃって大丈夫かな?


『どうしたの?』


『いや、やっぱり勝手に祝福をしても良いのかなって思ってね。』


『でも昔は5歳から平気だったんでしょ? なら平気なんじゃない?』


『確かに……、大丈夫な気がしてきた。』


言われてみれば、昔は5歳から祝福をしていて問題は特になかったのだから、オリビアに祝福しても大丈夫だよね。



私はやるからにはオリビアへの祝福を完璧にこなそうと考えていた。

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