4.商人と冒険者

 「あれ?ここはどこ??」

 目を覚ました僕は、馬車の中で横になって、揺られていた。


 確か僕は、街道を発見して喜んでいたら倒れて・・・

 そう思っていると、ふと声が掛かった。


 「おお兄ちゃん、気が付いたか!」


 「ん?どうしたんだ、ハシュード兄さん??」


 目を開けると、馬車を操作している茶髪の男性と、外を歩いている黒髪の青年が声を掛けてきた。


 「こ、ここはどこですか??」


 取り敢えず定番のセリフを言ってみる。


 「おお、お前さんが道のど真ん中に倒れていたからなぁ。 ほおっておくのも何だから俺の馬車に乗せてあげたって訳さ。」


 「目が覚めたのか!?あんた、もう起き上がって大丈夫なのか??」


 「あ、すいません!!助けて下さりありがとうございました!!」


 「良いってことよ!それより、何だってこんな森の街道に??あ、いっけねぇ、自己紹介がまだだったね。 俺はハシュード、これでも商人をやっているんだ。」


 「俺はカイト、冒険者をやってる者だ。 ハシュードは俺の兄さんだ。 よろしくな!」


 二人ともニッコリ笑いながら自己紹介してくれた。

 いい人そうで良かったなぁ。


 「僕はハルトです。 実は・・・これまでの記憶が無くて、気が付いたら森の中にいて、それで、ひたすら歩いて街道に辿り着いたら・・・。」


 取り敢えず転生者であることは伏せておいた。

 まぁ、そこは話したところで信じてもらえないだろうし。


 「そうか、ハルトって言うのか。 いい名前だなぁ!それは辛かったなぁ。 よく頑張ったよハルト!」


 冒険者のカイト青年が、僕の頭をヨシヨシしてくれた。

 イ、イケメン・・・。


 ちょっと戸惑っていると、商人のハシュードさんが話しかけてきた。


 「そうだハルトくん、この魔物を掴んでいたけれど見覚えは??」


 「あ、それは森で急に襲われて魔法で倒したんですが、一文無しなので売れないかなぁと持ってきた物で・・・。」


 すると、二人ともあんぐりと口を開けて驚きの表情。

 あれ?なんかいけなかったのかな??え??


 あわあわしている僕を見て、我に返ったハシュードさんが尋ねてくる。


 「え!?マジでかハルトくん。 魔法使えるのかい、参ったなこりゃ!!」


 カイトさんも我に返ったようで、驚いている。


 「魔法でこいつを・・・見た目によらず凄いんだなぁ。」


 「あの、すいません。 何か変なこと言っちゃいましたかね??」


 こんな反応をされたので、やっちゃったのかと思って尋ねてみた。


 「あぁ、すまないね、違うんだよ。 まさかハルトくんが倒したんだとは思いもしなかったし、まさか魔法が使えるっていうから、ビックリしただけだよ。」


 「おいカイト、ちょっといいか??」


 「お、おう。」


 二人が何かヒソヒソ話し始めた。

 え?何??どうなるの僕??


 しばらく話していた二人が、僕の方に向き直した。

 そして、話し始める。


 「ハルトくん、その魔物は冒険者ギルドに売った方がいい、実績になるから。 それより、君さえよければだが、この商隊の護衛を引き受けてくれんか? まぁ、商隊って言っても、俺ら兄弟しかいないんだけどさ!」


 「兄さんは回りくどいんだよ。 ほらあれだ、パーティに加わってくれってことだよ!もちろん、いつ抜けてもらっても構わないからさぁ。 俺からも頼むよ!!俺、剣は扱えるんだが、魔法はダメでさ。 それに、ハルトの事気に入ったからさ!」


 思いもよらないお誘い。

 でも、助けてもらったんだし、こんなにいい人達。

 何もこの世界の事をしらないし、僕も願ったりかなったりだ!!


 「はい!!よろしくお願いします!!!」



 こうして、新しい仲間たちとの異世界生活がスタートした!!


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