仲良し三人組

「ゆうーもうすぐ夏休みなんだしどっか遊ぶ計画立てよーぜー、これ以上公式覚えらんねーよー」


「お前なぁ、次の期末で赤点取りでもしたら夏休みどころじゃなくなるんだぞ?わかってんのか?」


「分かってるけどさー」


横の席でぼやいているのは片岡隼人かたおか はやと、高校一年からの付き合いで結構仲はいい方だ。赤点とは無縁の俺と比べて隼人は高二の後半から赤点製造機と化していた、こいつには進級出来ないんじゃないかとかいう危機感はほぼゼロに近いほどなく、椅子に縛り付けて勉強をさせない限り何があってもしようとしない、なので今も学校で居残りをし、期末対策をさせている。


「あぁ、神よ、この悪魔を昇天させたまえー」


「おい、誰が悪魔だ」


俺が突っ込むと 許し給え、許し給え と命乞いの儀式のようなものを始めた、突っ込むとこの脱線が始まるからいけない。


「もう、何してんのさ」


スマホを触りながらもこちらの話を聞いていたのだろう同じクラスの東雲凛しののめ りんがこちらを可笑しそうに見ていた。東雲とも三年間クラスが同じで俺、片岡、東雲、このメンバーでよくつるんで遊んでいる。


「しのりぃんー、ゆうが虐めるんだよ俺のことー」


「あんたが赤点取んのが悪い」


「ひどくね!?」


「当たり前でしょ、あんたはもうちょっと覚える努力をするべきよ、ね、小鳥遊」


「その通りだ、今日は確実に123ページまで終わらせるからな」


「のぉぉぉぉぉぉぉおお!!?」


片岡は絶叫しながら電池の切れた機械人形のように地面に膝をついて動かなくなってしまった。よし、少し放っておこう。


「東雲、今日はどうする?俺と片岡は勉強終わり次第、本屋寄ってから帰るけど」


東雲はスマホで誰かと連絡を取っていたのだろう、携帯を操作し何やらメッセージを送っている。


「んー、今日はパスかな、女友達と帰るわー」


「そうなのか、分かった」


今まで電池切れだった片岡は立ち上がり何をいうのかと思えば。


「しのりん、女友達いたんだね、お父さん嬉しい」


「小鳥遊、この馬鹿に10ページ追加しといて」


「任せろ」


「イャァぁぁぁぁぁ!」


片岡は再び電池切れの機械人形と化した。


でも確かに片岡が言う通り俺も東雲が女子の友達と下校している姿をあまり見た事がなかった、まぁ恐らく俺たちと下校している事が大きな原因だとは思うが...

東雲の友達か、どんな奴なのか少し気になるな。

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