Neo Tokyo Site 01:第一部「Road to Perdition/非法正義」

@HasumiChouji

序章

 あの悪夢と悲劇が起きてから、丁度、一〇年目のその日、「東京」の各地で慰霊祭が行なわれている中、「」発のから二〇人近い男女が「」の一角……「」と呼ばれている場所に有る港に降り立った。

 かつて存在した「本物の上野」から「本物の有楽町」までは、電車で一〇分かそこらだったらしいが、今では「上野」と「有楽町」を行き来するには、高速船でも片道一時間近くかかる。一般のフェリーであれば、それより数割増しだ。

「おい、魔導師がビジネスマンのコスプレか?」

 フェリーから降りた一団のリーダーらしき三〇代の男は、出迎えたスーツにネクタイに眼鏡の同じ位の年齢の女性にそう言った。

 「上野」から来た一団は、男女比は、およそ6:4、背の低い者も居るが、誰もが服から覗く首や腕には筋肉が付いている。服装は一見するとバラバラだが、地味な色の動き易そうなものである点は共通していた。男女問わず髪は長くても五分刈り、全員が「ネックレス」と呼ぶには、あまりにゴツい「数珠」のようなアクセサリーを首にかけている。

「悪いね。『靖国神社』とは、いずれケリを付けるつもりだが……まだ、表立って動けない事情が有るんでね」

「以前の借りは、これでチャラだと思え。これ以上、俺達は、千代田区Site01のゴタゴタに関わる気はぇからな」

「お互い、昔が懐しいな。縄張シマも親分子分もややこしい義理も無い、ただのチンピラだった頃が」

「で、場所と目的は?」

「『秋葉原』の若い奴らと、『本土』から来た他所者よそものが、『靖国神社』が誘拐ぶっさらった子供ガキどもを取り戻しに行こうとしてるらしい。手助けしてやってくれ。その若い連中が持ってるGPSの識別コードと、そいつらの写真は今送った」

「その若い連中を『靖国神社』の連中の死霊術から守ってやれ、と云う訳か」

「そう云う事」

「で、あんたらの差金だと『靖国神社』にバレないようにしろ、と」

「ああ、もちろんだ」

「本当に、一介のチンピラだった頃が懐しいな。こんなややこしい打算も義理も無しで好きに動けた」

 関東甲信と静岡・愛知の多くの地域が富士山の噴火により壊滅して一〇年。俗に云う「関東難民」の内、ある者達は、被災地に残り、またある者達は「本土」で新しい生活を始めた。

 そして、それ以外の多くは……現在、Site01〜04が存在し、Site05とSite06が建造中の巨大人工浮島メガフロート――通称「Neo Tokyo」――に移住した。

 唐津と壱岐の間に有るSite01――通称「千代田区」――は、更に4つの地区に分れていたが、一定の治安が保たれているのは通称「有楽町」地区のみで、残りの3つの地区「秋葉原」「神保町」「九段」は、異能の者達によって、かろうじて「暴力ちからによる秩序」が維持されている暗黒街アンダーワールドと化していた。

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