イケメンには秘密がつきものらしい

風間 シンヤ

1話

俺の名前は田中 陽介たなか ようすけ。名前から察してもらえる通り、ごく普通の男子高校生で、ごく普通のオタクである。

そんなごく普通の一般ピープルそのものである俺だが、そんな俺とは真逆の存在に位置する親友が2人いる。その内の1人が……


浅葱あさぎ君!一目見た時から好きでした!私と!付き合ってください!!」


今現在告白を受けてる浅葱 晴人あさぎ はるとである。茶色の男子にしてはちょっと短めの髪、若干中性的な顔立ちだが、スポーツ万能・成績優秀。おまけに、母親は現在はマネージメント業をしているが、その昔は大女優として有名だった浅葱 晴子あさぎ はるこ。更に、晴人には双子の妹がいて、その妹というのが、最強の新鋭若手JK女優と名高い「HARUKA」という、芸能家族に囲まれている。

まるで、ラノベに出てくるようなイケメンの条件が全て揃ってる、正にイケメンオブイケメンの晴人。これで、性格が悪かったら、昨今のラノベだとクソ扱いされてるところだが、晴人はこんな平凡な俺にも優しく話しかけてくれるとてもいい奴なので、ここまでいい奴だと、もはや周りの男子もモテる晴人を見て悔しがるより、「まぁ、晴人だもんなぁ〜」という想いにさせてしまう人徳すら持ち合わせている。


さて、話を再び告白現場の方に戻すが、そんな彼だからそれはほぼ毎日と言っていい程告白されている。同級生はもちろん、2年と3年の先輩、あげくには女教師、更には男にまで告白されるという事すらあったという……

そして、今回晴人に挑んだチャレンジャーは、同じ一年でありながら、すでに合唱部で歌姫なんて呼ばれている可愛いと評判の女子である。そんな女子の告白だ。普通の男子なら一発でOKの案件だが……


「ごめん。俺は君とは付き合えない」


晴人は、男子にしては少し高めの声色の声で、その女子の告白を断わった。それを遠巻きにして見ていた俺は「やっぱりな……」と溜息をつく。



それは、晴人が国宝級イケメンに相当するから、この女子では釣り合わないという話ではない。俺は、晴人がどうしても女子と付き合えない理由を知っている……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る