白植枠星

私達は今まさに繰り返す

積み上げられた負債の完済を果たす為に

私達はやがて彼方へ至る

打ち捨てられた奇跡の原石を絶やす為に


せめて真っ当な幸福を願うのなら

息を潜めた分だけ

呼吸を費やして、費やして、費やして、費やして

そして叶わぬ末路を思い知ってしまったのなら

口惜しい過去の数だけ

呼吸を切らして、切らして、切らして、切らして


私達は何もかも台無しにして

数えられない思考回路を露出して

生きたままに夢の線路を渡り歩くの

貴方は此処にいる

私は其処に征く

交差することも並行することも無く

直ぐ側に、あるいは遥か上空に

私達は結ばれつつも引き裂かれてゆく


思考の檻

追想の折

仮初の祈り

空蝉の陰り


全部台無しにして

全部根絶やしにして

底知れぬ静寂を手に入れたら

刺繍を解いてまた縫い合わせましょう

飽きるまで此処にいて

飽きたなら其処に行って

空想魔術の二足歩行

一つは私が、一つは貴方が


運命を共有する

世界を供物にする


純白に調和の取れた完全世界は

もはや私を必要としなくなる

貴方という外傷も結合される


私達は内側へと潜り逝く

緩やかな万死を受け入れて

やがて彼らはその列へと加わるだろう

何故なら思考の中にしか

幸福の芽は植えられない

呼吸を費やして、呼吸を切らして

夢の線路を渡り歩くの

真っ白な惑星の彼方で

今まさに繰り返す。

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