第6話 『変貌』

【────√B-3】


『ジャキィン!』


 敵を切り裂くが如き電子音が辺りに響く。少年の、確かな殺意を持って振るわれた痛撃。体が強化されてか、振るう速度も早い。


 だが、その音の通りに明逆の身体が断たれることは決して無かった。


 鉄色の外骨格に覆われた“怪物”の右腕が輝く剣を自分の体の手前で受け止めているからだ。


 腕を目で追い身体を見てみれば、それはまだ明逆の形をしている。

 右手と同時に左手も同じように変貌し、それは肩、身体とどんどん拡がっていっている。

 腕は短いが強靭で、足は太く身体を支え、全身を鉄色の外骨格と錆色の皮膚が覆い、鋭く青い目に人など丸呑み出来そうな大きな口な怪獣、とある作品にて《鉄骨砲獣 エルジオ》と呼ばれた怪獣が、明逆の身体を飲み込むようにそこにいた。


 ◆


 明逆の父が言っていた、『これは凄いんだぞ』という言葉に含まれた意味を、そのまま反映した能力。


 黒焦げの骨格の玩具の元となった怪人、スケリグ星人は文字通り「何にでもなれる」力を持っていた。


 銀の骨格を輝かせ主人公が初めて苦戦した怪獣になった。味方になってくれた心優しき怪人にもなった。最後には、今まで変化してきたものを全て混ぜ合わせ、ぐちゃぐちゃにした怪物に成り果て自滅した。


 そんなスケリグ星人を自身の骨格に置換し、自らの肉を異形へと変える力が、明逆の能力──《変貌》。


 ◇


「邪魔くせぇなぁ!とっとと、殺されろよ!」


 少年はまた剣を振り上げ、下ろす。明逆はそれを落ち着いて外骨格で受け止める。

 体が強化されようと少年の剣筋は素直でわかりやすく、強く振ったところで腕の外骨格は削れない。攻撃を受け止め続け、明逆がその結論に至れば、動く。


 少年の剣を真上に弾きパリィし──“口から空気砲を撃ち出す”。無論、少年に向け。


 少年は剣を弾かれバランスを崩した所で空気砲を顔面に受け後ろへ尻もちを着く。

 空気砲の威力は大して強くないが、こうなってしまえば致命的な隙だ。


 怪物は身体を大きく捻り、人で言う尾骶骨から生える大きな尻尾を少年を打ちつける。


「ぐっ──」


 少年は為す術もなく転がっていくと共に、ガランガランと音を立てその先に剣が転がっていく。

 それを追いかけんと少年が痛みに耐え立ち上がろうとした時に、それを見計らったように放たれる空気砲。

 威力は精々成人男性に強めに押される程度だが、連射が効き、タイミングを見計らえばそれは強力な武器だ。結果として少年は大して動けず空気砲を放ちながら近ずいてくる怪物から逃れることも出来ず頭を守り背に、横腹に空気砲を受け続ける。


 そして、鈍重な怪物は遂に少年へ追いついた。最後に地面に踞る少年の真上から空気砲を放てば足を大きく上げ──ズン、とそれを少年へと落とした。


 →→→→→→→→→→→→→→→→→

 自分、幾らか話をストックするようにしてるんですけど手違いでこの話消してしまい……急いで書き直しました……


 ですのでかなり短めです。文も拙いです。許してください……


 さてさて、怪物化能力を手に入れた明逆くん。昔はヒーローが好きだったが故に当時見ていた怪獣などに変貌して戦う。っていう感じです。基本的に今回出てきた怪獣の《エルジオ》と怪人の《???》になって戦うと思います〜。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る