第14話 思い出せない記憶




【ある所に、小さな女の子がいました】


「え?」



小さなマリオネットの人形劇、操られているその人形は、『私』に似ていた。



【女の子は、転校した先で出会った男の子に恋をしました】


『あいつ』に似た人形と『私』が、仲良く遊ぶ。そう、私たちは『あの日』まで仲良かった。一緒に勉強して、休み時間は話をして。

……なのに、




【ところが女の子が告白をすると、急に男の子は冷たくなったのです】

……やだ。

【女の子はわけが分かりません。けれど、男の子は歩み寄ろうとする女の子に冷たく当たります】

……やめて。

【高校生になった頃、男の子は急に優しくなり、ある日、女の子を遊びに誘いました】

……やめてよ。

【女の子が嬉しくて、一生懸命お洒落をして、男の子に会いに行くと、】

やめてってば!!



耳を塞ぎ、目をつぶる。

この先は見たくない。知ってるから。分かってるから。


見たくない


見たくない



見たく、ない。




【……】



【……女の子の心が、死ぬ寸前までボロボロになった時】


【1人の青年が現れました】


【女の子が傷ついてまで愛した男の子に比べると、そこまでときめきはしません】


【それでも、彼は女の子の心を見事に癒しました】


【女の子も、どんどん彼に惹かれていきました


【女の子は、ついにーー】





【自分の王子様に、出逢ったのです】



ボロボロになった『私』を、『***』が抱きしめる。大切なものを抱えるように、世界一の宝物を守るように。

私の、世界一大切な人だった。なのに、


どうして私は、あなたの名前を思い出せないんだろう?


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