第34話

モンスターの大量襲撃を乗り切り、沢山の荷物を抱えたツバサは元の世界に帰る手がかりを求めて森を探索していた。

お忘れかもしれないが、ツバサの目的は生きて元の世界に帰ることだった。

あ、お忘れじゃなかった?こりゃ失敬。

とまぁそんなこんなで先を急ぐツバサ。

歩きながらふと下を見ると、なにやらいかにも怪しげなスイッチがあった。

そこには、‘押すなよ、絶対に押すなよ’と書かれていた。

どうみてもフリだろと思いながらも、ツバサはこんな歩いてたらうっかり踏んでしまいそうなところにある怪しいスイッチなど押そうとは思わなかった。

そうしてスイッチを避けて歩こうとして、スイッチの先へ足を伸ばしたら……

カチッという音がした。

その音とともにたちまち地面が割れ、ツバサが立っていたところには大きな穴ができた。

ツバサは咄嗟のことに反応できず、なすすべもなく地面の穴へ飲み込まれていった。

ツバサは穴に落ちる瞬間、

『押すな押すなと言われたら普通押すっしょ。押してればもっと楽にここに入れたのに』

そんな声を聞いた気がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る