つらつら百合妄想(短編集)

いのかなで

どうせ好きなくせに

「素直に好きって言ったらいいじゃん。」

「別に好きじゃないから」


 ただの妬きもちだって認めたら私は恰好悪いやつになってしまう。素直になれない自分に嫌気が差すのは毎度のこと。そんなこと、言えるわけないじゃん。あんたみたいに自己中で私が好きな事知ってる癖にこれ見よがしに私に嫉妬させるような事するんだから。


「だから、好きだって認めたらいいんじゃん」

「だから、好きじゃないってば。誰があんたなんか」


 本当素直じゃないんだからと呆れるふりして笑ってるあんたに言いたいのは、だからなんなの?今、私が好きだと認めたからって私にどうしてくれるわけ?

 どうせ、笑ってからかって馬鹿にするのは目に見えてるじゃない。


「逃げてるのはそっちでしょ」

「私が何に逃げてるって言うの?」

「私から嫌いだって言われ無いように」

「なにそれ」


 そうあんたはあざ笑うけど、それを恐れてるのも知ってる。それだけあんたのことわかってるから。私は一度だって嫌いという言葉を口にしたことが無い事を知っているから言えるんだって。私だって認めてあげない。言ってあげない。それが私とあんたの共通点。じゃあ逆に言ってあげるわ。


「好きなら好きって言ったらいいんじゃない?どうせ私のこと好きなくせに」

「な・・・!」


 こう来るとは思ってなかったって顔して焦ってるあんたは可愛い。だから仕方ないから今日は特別に言ってあげるわ。


「私はあんたのこと好きよ」


 真っ赤になるあんたもすごく可愛いから好き。

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