変わる世界

 ――あれから十数年が過ぎた。

 わたしはすっかりいい父親になっていた。

 ロボットのおかげで、苦労することない生活を過ごしている。憧れだったAIが付いたロボットも何台か使用することができるようになった。

 他の人達国民と同じように、ロボット達の収入だけで生活ができるようになったわけだ。

 わたしはキリスト教ではないが『労働は罰』と言うではないか。

 他の人達もその『罰』から開放されて、気楽に生活を楽しんでいるだろう。


「会って欲しい人がいるんだけど……」


 それは、まだまだ子供だと思っていた娘からの一言であった。


 ――いよいよ、その時が来たのか……。


 娘が紹介したいというのは男であろう。

 その後、名前を聞かされた。そして、職業が弁護士であるという。

 どんな人物かなどの調査は、私が生まれる前よりも簡単になり、名前だけで検索して調べることができる。極端に個人情報を極秘にしていた時よりも便利になった。弁護士なら、なおさらだ。個人事務所ぐらい持っているであろう。


 ――先に下調べをしておくか……。


 だが、わたしは彼のデータを見て心配になってきた。


「なんでダメなのよ!」

「ロボットを3台しか持っていないような男に、お前を嫁がせるわけにはいかん」

「ロボットの数なんて関係ないわ!」

「そんなに少ない数のところに行けば、苦労するに決まっている。止めておきなさい」


 3台というのは少なすぎる。すでにロボットの所有数が人の資産になっていた。

 このわたしでさえ、10台近くを所有しているのだ。

 それに、何だこれは!?


「ロボットに人権を!」


 彼のSNSを覗くとそんな言葉が踊っていた。

 確かに最近の人工知能AIは、人間と変わらない性能にまでなってきたと思う。

 ニュースやバラエティ番組に、最新のAIを搭載したロボットがコメンテーターとして登場している。さらに試験的に学校での教師として、人型ロボットの使用が始まったそうだ。

 だが、人間のように振る舞っても所詮は機械だ。

 その機械に、人権を与えようなどと……。

 そんな男のところにカワイイ娘を嫁がせるわけにはいかない!

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