第13話 初めての救済(後編)
さてさて、初の試み、前後編、どうなりますか…
ガンバレ、エルヤー、キミの運命はすでに決まっている!
結果は変わらなくても、終わり方はキミの努力次第でいくらでも変わる!
「予定は未定で、確定ではない、行動こそが未来を作る」
この言葉をキミに送ろう、それにしても書籍版読み返してみたけど、エルヤー…君って一撃強化タイプの武技って覚えてなかったの?
形勢を逆転できそうな武技覚えてないならどっちにしろワーカーとしての寿命は……って感じだったんだろうね…ボクワ キミヲ オウエン シテイルヨ…(棒読み)
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周囲のモンスター達に対して警戒をしてはいるが、さすがに自分のチーム内で物騒な相談をされているとは思っていないだろうエルヤーが、今も偉そうに振る舞いながら道中を進んでいる。
しかしさっきとは違い、先頭のエルフは後ろから蹴られようと小突かれようと心の余裕ができたようで「さっき」より聞き取れる声で謝罪の言葉を口にしている。
怯えた表情を見せず、ひたすら前を見ているのは「常に前を警戒しています」というポーズを通すためで、決して振り向かないようにしているのは、表情の余裕を気取られないようにしてくれているのだろう。
ヴェールは今もディーネと<
そして、先頭のエルフと最後尾の金髪のエルフがメッセージのやり取りをしている。
先頭のエルフはかなり小声でエルヤ―に聞こえないようにしているようで、まだヤツに気づいた様子はない。
「それじゃ、計画に移る前にちょっと姿を消すけど、1~2分もしない内に帰ってくるから、心配しないでね?』
そう言うや否や、ある魔法を使う。「無詠唱化」はさせてないので、発動させるために言葉にするのは必要だ、だからこそ、エルフの3人は信じられない想いでいっぱいであった。
最初に会った時、あの人はなんて言っていただろうか?「魔法はかじっている程度」そう言ってなかっただろうか?と思い起こしながら姿を消す瞬間に言葉にした魔法名を今一度、再確認していた…
たしか<グレーターテレポーテーション>と言っていたのではないか…
魔法の知識くらいは確かに知っている…それでも短い距離の転移でも第3位階、もっと長距離になると第5位階以上だということくらいしかわからない。
第5位階以上だなんて、「かじった程度」などで収まるわけはない。
そう言えば計画では、エルヤーにモンスターをけしかける。と言っていたが、「なに」をどうけしかけるのかは言ってなかった。
話を聞いているときは<
そうなると先頭を歩いてる子が危ないかと心配もしたが、そんな心配はいらないと「あの人」は言っていた。
…なら、これからどんな「モノ」がこれからこっちに襲い掛かってくるのだろうか?
少し不安になっていた頃、音もなく「彼女」が帰ってきた。
「ただいま♪」すごく爽やかで朗らかな笑顔と共に…
☆☆☆
『それじゃ、計画開始よ! となりの子に書いて教えてあげて?それから先頭の子にも、見つけたらエルヤ―にちゃんと教えても平気だって伝えてあげてちょうだいね』
そう<
『あ、そうだ、あのエルヤ―ってヤツ…あいつ生かして逃がすとこれからも貴女達と同じ犠牲者が出るのは変わりないと思うの…だからいっそ、モンスターに…ってことにして、直接私が始末しようと思うんだけど』
と意見を求めると、みんながそれは賛成。と返ってきた。
『それで、始末する方法なんだけど…いくつか考えてる方法があるの…』
そう告げながら、みんなにも意見を聞いておこうかと思って…と言い、いくつかの選択肢の内どれがいいか選んでもらう。
私が提示したのは以下の内容だ。
1.あっさりと、スパッと消滅させるように始末する。
2.むごたらしく長時間に渡り痛みを与え続け、とどめは貴女達、遺体は私が片づける。
3.「2」よりは短い時間だけど、泣き叫ぶほどの痛みを与えた後、仕留めるのも片づけるのも私。
さすがにちょっとリアルすぎる生々しい提案だったかなと思い「やっぱり私が全部…」と言い出そうとしたら…全員一致で「2」の方を申し出てきた。
それなら…と、『これからの私がエルヤ―に対する言動は全部、芝居だから、最期まで信じてくれる?』とみんなに共有してもらうと…全部任せる。という返事が返ってきた。
(これなら、遠慮はいらないな。)と判断して、しばらく歩いていると先頭のエルフから注意が飛ばされてくる。
「前方から巨大なモンスターが1体、後ろから恐らく、獣が迫ってきています、およそ2~3、です!」
緊張の色が表情に出ているのはエルヤ―1人で、あとの女性陣は、やや力を抜いてるも、怯えと緊張する芝居は忘れていなかった。
(さぁ!ショータイムの始まりだ!)
☆☆☆
「エルヤ―さま、このままでは前後で挟まれます、どうしましょう?」
(微妙に芝居に熱が入ってるな、これからの展開を楽しみにして熱意がこもってるのか?ハリキリ過ぎないように頼むよ?)
そう心配していると、そうとも気づいていないエルヤ―は予想通りの指示を出す。
「お前が先に、そのモンスターの姿を確認後、注意を引きなさい、その間、私が<空斬>で距離を測って攻撃しましょう。」
(やっぱりこいつ外道だ…決定してはいたけど、もぉ許さないぞ、この野郎! あのエルフを遠回しに使い捨ての「壁」扱いしやがったな?)
とヴェールが決意を新たにしていると、前方の敵が先にこちら目がけて姿を現す。
鶏の身体に、ヘビの尻尾をしたモンスターだ。
「エルヤ―さま、あれはコカトリスです。 たしか難度は70に迫る存在だったはずです!」
「チッ! なんでそんなモンスターがこんな平野に出るのですか! おい!後ろのお前たちも援護に…」
と後ろを振り向くと、先ほどの警告通り、後ろにも獣の群れがいる。
そいつらはエルフの2人と、ヴェールを標的にしているようだ、獲物である彼女らを中心に3匹で取り囲むようにしながら、ジリジリと距離を詰めようとして、様子をうかがっている。
あのままでは後ろの奴らは役には立たないだろうと判断したエルヤ―は先頭のエルフに指示を出す。
「強化魔法だ! 武器の強化もよこせ! <
(ふふ、どこまで善戦できるか見ものだな、レベル的には23、デスナイトの攻撃力よりちょっぴり下程度にしておいたんだが…エルヤ―は遠距離攻撃タイプみたいだし、クチバシに攻撃されない限り平気だろう。)
と高見の見物を決めこむようにエルヤ―の戦いを観戦している。
後ろの2人のエルフにも伝えているが、これらはヴェールが召喚した動物たちだ、意思の疎通は感覚で指示できるので、時々ちょっかいをかけさせて、それをうまくしのいだり、防御したり…
さも「3匹の対処に精一杯です」という姿勢を崩さずに観戦させてもらうつもりでいる。
もちろんそれは先頭のエルフにも情報は共有されている、狼と同様にあのコカトリスも
<第2位階 自然の
(11~24LVまでのモンスターを呼び出せる効果)
コカトリスの方は<第2位階 魔獣召喚>で呼び出した。
エルヤ―に石像になられても困るし、一応クチバシ以外での攻撃を指示してるけど、フェイントでクチバシを使って頭突き、などで戦うのは許可している。
「おい、あいつの注意を引くんだ!<空斬>を使う隙を作れ!<炎の
そう指示を出し、自分は近づかず、魔法の着弾と同時に<空斬>を放つ!
(よっわぁ…! なにあれ?もうちょっと威力あるかと思ってたのに、コカトリスの毛皮に阻まれてんじゃん! <炎の
<炎の
ヴェールは意識を飛ばし、コカトリスに指示を出す(コッケー!(コカトリスの名前)
<炎の
と、指示を出すと、コカトリスはエルヤ―の方に標的を定め、一直線に駆けて行った。
その間に先頭で「鉱山のカナリヤ」役のように扱われていたエルフと合流する。
念のために3匹のムーンウルフがジリジリと誘導させるような動きを見せつつ「追い詰められたら、そのエルフの場所だった」的な場面も、展開していたのだが、エルヤ―はそれどころではなかったようだ。
遠距離攻撃タイプでありながらも、立派な刀を持っていても、コカトリスの表皮すらなかなか傷つけることができず、<能力向上><能力超向上>を重ねて発動させ、ようやく表皮に刃を届かせ、傷を作れるようになっていた。
そこまできてなんとか遠距離の攻撃がジワジワとダメージを蓄積させている中、コカトリスはクチバシ攻撃を見せ技に、頭突きや、翼のひっぱたきでの吹き飛ばし等で、色々と頑張ってはいたが、ロングレンジの攻撃手段を持っていないため、<縮地改>で距離を取られ、チクチクとライフを削られていた。
(仕方ないなぁ~…こっちもだんだん飽きてきたし、もぉいいか)
(おぉ~い、コッケー!もうクチバシでの石化攻撃、出してもいいぞぉ~?)
と意識で伝えると「待ってました!」とばかりに天にクチバシを向け、大きな鳴き声を響き渡らせ…エルヤーにクチバシ攻撃を繰り出す。
対して、エルヤ―はずっとその瞬間を待っていたのか、大きく跳躍すると突き出されたクチバシに向けて大上段から剣を振り下ろす!
その瞬間を見計らい、クチバシにエルヤ―の刀が当たった瞬間、強制的に召喚モンスターを「召還」(元居た世界に還す)。
(還すから、最期に大きな雄たけびをあげろ~?)と支持を出すと、はたから見たら、断末魔を上げて、消え去ったようにも見えたのではないか?ってくらいには体裁は整えた。
それと同時にこちらのムーンウルフ3体も同様に召還させる。
(同時に3体が斬り伏せられたような動きをしてもらった後に…だ。コカトリス同様、倒したように見せるためという理由がある。)
「やれやれ、そんな狼ごときにてこずっていたんですか? まったく世話の焼ける、こっちは1対1での勝利ですよ?」
…とやけに自信満々に戦果を誇っている。
(やれやれはこっちのセリフだよ!あんなのにてこずってるの見てるこっちの方が呆れるのを通り越して、戦わせる気も無くしたって!)
…と思いつつも、ここは計画通りに進めなければ、この戦闘の意味は全くの無駄になってしまう…
(本当はこんなこと…したくないんだけどな、これからの展開を想像すると気持ち悪くて吐きそう…)
(そうは言ってもこれはエルフちゃんたちのため! がんばれオレ!)と自分を奮い立たせ、芝居を開始する。
「助かりましたぁ~…エルヤーさん、コカトリスを倒せるなんて、やっぱりすごい強い人だったんですねぇ~❤」
と言って、そのクソ野郎のムネに飛び込んで行ってやる。
エルヤーは当然のこと、と言いつつもまんざらでもない様子でヴェールの肩を掴み、少しだけ体を離したあと、ドヤ顔を展開させてきた。
「これくらい、当然でしょう、私に敵うモンスターなんか、ここいらでは出てきませんよ」…と自慢げだ。
(外皮すら、切り裂けずにジワジワ、チマチマとダメージ与える程度だったのに?)
と内心で思いながら…
「ハイ! 見てました、思わず見とれちゃいそうになりましたよ、私エルヤーさまのこと見直しちゃいました。」
「分かればいいんですよ、まぁでもあなたも3匹に囲まれて、傷も追わないとは大したもの…と言ってあげましょう」
(ホント、どこまでも偉そうだな、オイ!)
と思いながらも、ここからが本題だ。とクライマックスへの開始を告げる言葉を発する。
「ところで、あのモンスター、変だったと思いませんか?」
☆☆☆
帝都までの道を、道案内してくれるという話で、クソ男とエルフ3人に同行することになったヴェールは、エルヤーと共に街道を外れた林の中に来ていた。
なぜ街道を外れたかと言うと、モンスターの様子が変だとエルヤーを誘導したためだ。
「どこがどう変だったと言うんです?」
「わかりませんか?エルヤーさま程の聡明で経験豊富な英雄さまが…意外です。」 …とわざとらしく持ち上げ…
「普通のモンスターなら、最期は倒れて、そのまま命を失ったら身体だけが残りますよね?」
「まぁ、それが当たり前でしょ? 何を言ってるんです?」 と不思議そうだ
「こいつ何言ってるんだ?」って顔でヴェールを見ている。
(めんどくせぇな~、ここまで言ったら気づけよ!)
「あぁ、すみません、説明不足でしたね、つまりあのコカトリスも、あの狼も、倒した瞬間に消えてしまいました。つまりはあれは召喚されたものなのでは?」
と、ここまで言っても「?…それがどうしたんです?」としか反応が返ってこなかった。
内心で盛大なため息を漏らしながらも、子供に言い聞かせるようにかみ砕いて説明をする。
「つまりは、誰かが、エルヤーさまの命を狙ったのではないか?ということです。」
「召喚した犯人はまだ近くに居るかもしれません。 ここで逃がしたら、またこれからも同じことを油断してる瞬間に仕掛けてくるかも…夜、無防備なときとか…」
と、ここまで言えば、重大さに思い至ったのだろう。
「上等ですね、そんな奴は私が返り討ちにしてあげましょう」
(かかった! それにしてもひっかかるのにずいぶんかかったな、こっちが疲れたよ…)
・
・
・
という事情があって、うまく言いくるめておびき寄せ、この林に居るのである。
「それにしても、本当にこんな林の中にいるのですか?」と私の後ろについてくるエルヤー。
(やだな~、なんかやたら、背後から変な視線を感じるんだけど…まぁ、あと少しのガマンだから! 踏ん張るんだオレ!)
「召喚されただろうモンスターは一見逆方向から来たように見えますが、同時に仕掛けたということは、移動の速い狼モンスターを先に召喚させ、遠回りに走らせて、背後から…」という流れなんだと思います。
「ほぉ、それで?」と返すエルヤー
(お前も少しは考えろよ、その頭には豆腐しか入ってないのか?)
と思うも、平静を装う。
「つまりはあの中で移動速度が遅いコカトリスは最後に召喚され、コカトリスの襲撃に合わせて、オオカミモンスターと挟み撃ちにしたんだと思います。」
「だからコカトリスが来た方向の、この林に来た。 そういうことですか?」
「ハイ! さすがエルヤーさま! 最後まで言わない内に理解されるなんて、実力だけじゃなく、頭もよろしいのですね!」と今のうちに持ち上げるだけ持ち上げといてやる。
「あなたの話が分かりやすかったからですよ、自慢するほどのことでもありません」 といいつつも鼻が天を向かんばかりのドヤ顔をしていた。
しばらく林の中を散策し、探索のまねごとをしながら、エルフの3人は林の入口で、怪しい者が近づかないように警戒役を…という進言をエルヤーにして今は「見張り役」という出番待ちをしてもらっている。
つまりは今、エルヤーとヴェールは2人きりなのである。
「ところでエルヤーさま?」と声をかけると、「見つけましたか?」と瞬時に反応するエルヤー。
「私、さっきの戦いを見て、ず~っと想っていたんです、エルヤーさまってステキだなと…」
「は? いきなりどうしたんですか?」とどこかこっちの反応の変化にうろたえているようだ。
「実は…、こうして2人きりになりたかったのも、実は…勝手な私の想像で…召喚主なんて居ないかもしれないんです。」
「私をだましたと…そういうことでしょうか?」と不快感を露わにしている。
「すみません、エルヤーさまの「おなさけ」が欲しくなってしまって…このような行動に出てしまいました。」
そう言って、エルヤーにすがり、ムネを押し付けるようにして抱きつきに行った。
(ぅゎ~…もう少し、もう少しのガマン、ガマン、ガマンだぞ、オレ!)
「やめてもらえますか、こんな林の中で…」と振りほどこうとするエルヤー。
「こんな林の中だからこそです、ここから出たら、もぉ、二人きりにはなれないと思って…」と顔を伏せ、見るからに恥ずかしそうにしている。
(下に顔を伏せたその表情は、下から見ると思いっきり吐きそうな表情なのだが…)
「そんなに私が欲しいのですか?」と少し乗り気になってきたエルヤーに対し
「ハイ、エルヤーさまの全てが…欲しくて…、あの…私のこと変な女の子だなんて思わないでくださいね?」
「えぇ、そんなことは思いませんよ? それよりあなたの素顔を見せさてくれませんか? あなたの全てを知りたいんです。」
(きやがったな? そう来るのは予想してたけど、【擬態】してる体とは言え、恥ずかしいな~こりゃ)
「あの…私、あんまりスタイルとかよくなくって、自信ないんです」と一応言い訳をしておく。
(ゴメン、ハーフエルフのお姉さんゴメン!貴女の身体が貧相だなんて全く思ってませんから!!)と内心で盛大に謝罪していた…
(それにしても仕方ないとはいえ、これからすることは自分でも気持ち悪いけど……ごめん、名も知らぬハーフエルフのお姉ちゃん、これから私はあなたを汚してしまいます!)
思い切り内心で土下座の謝罪をしながら…装備を外していく、武器を下ろし、ヨロイを外し…しかし顔はフードをかぶったままだ。
「どうしました? 私は『あなたの全てが知りたい』そう言ったはずですが?」
「あの、顔までを見られるのは恥ずかしくって…じゃ~、下も、外しますから…」と下半身の防具も外し、ほっそりとしたスタイルが露わになる。
「まぁいいでしょう、それより、さっき私の「おなさけ」が欲しいと言ってましたが?」
「ハイ…エルヤーさまが、欲しくて…欲しくて…たまらないんです。」という言葉にゾクゾクするエルヤー。
「いいでしょう、私のズボンを下ろさせてあげましょう、好きになさい」
「えぇ~~? 嬉しい、いいんですか? それでは、失礼します。」
と言って、戸惑うこともなく、するりと中身を外に引き出すヴェール。
(まぁ、もともと男だからな、出し方くらいは慣れたもんさ)
「さぁ、いいですよ? 私のソレを好きにしなさい。」という感じで、もぉ完全にそっちモードのエルヤー。
「あの…その前に…私の…わがままを聞いたもらってもいいですか?」
「……、なんです?聞くだけなら聞いてあげましょう?」とちょっと興が削がれた様子。
「あの…エルヤーさまの…その…アレ…を、『呑んじゃったり』しても…いいですか?」といよいよ核心に迫る。
(この女、第一印象では奥手な感じでしたが、意外と好き者だったようですね)
エルヤーの目が獣欲に染まり、ヴェールは内心で背筋におぞ気を走らせていた。
「えぇ、好きにしなさい、なんならノドの奥にまででも、飲み干してしまってもいいんですよ?」と勘違い全開のエルヤー!
「うれしい! そう言ってくださるのをお待ち申し上げておりました。」
と、喜色満面のヴェールのフードをエルヤーはいきなりつかみ…「素顔くらいはせめて見せてください?」といきなり引きはがす。
「………あなたは…エルフ?? イヤ、違いますね、ハーフエルフでしたか…」
そう見て取ると、瞬時に今までの顔が打って変わったように嗜虐的な笑みに変わり…
「そうと分かれば遠慮はしませんよ?」
と言うと目の前の女が信じられないことを言い始めた。
「私がハーフエルフ?なにを言ってるの?私は、あなたが買ったドレイじゃ~ないですかぁ」
そう言い終わるか終わらないかの内に、いつのまにかハーフエルフの耳が、途中で切られたような耳に変わり…髪が濃いブラウンのショートヘアに変わる。
「お、お、お前は…なんだ! なんなんだぁぁぁ!!!」となかば混乱状態に陥っている。
「私? 私はあなたが「おい」とか「お前」とか言ってた大事な大事な使い捨てのドレイですよ?」
と言う言葉と共に、今度は金髪の方の…自分の所有物であるドレイに変化する。
「お前は、なんだ、魔法はかじってる程度じゃ~無かったのか?それとも何かの生まれついての異能/タレントか何かか?」
「言ったじゃないですか?私は…あなたの全てが欲しいと…そして、ノドの奥まで入れて、飲み干してもいいとも言ってくれましたよね?」
そう言い終わった目の前の女からは、残虐な笑みが見えていて、さっきまでの表情はウソであったかのようだ。
何かの危険を察知したのか、すっかりしおれた男の象徴をズボンにしまい込み、剣を構える。
「エルヤーさん、女性にそんなもの向けるものじゃ~ないですよ? ほぉら、あなたの大切な消耗品のオモチャですよぉ」
というと、今度は薄い青の髪…3人目のエルフの姿になり、両手をエルヤーの方に伸ばし、何ごとかを呟いた。
「おまえぇぇぇぇ!!」そんな絶叫と共に剣を振りかぶるエルヤー。
自分の剣を振り下ろそうとしたその瞬間に、腕に激痛が走る。
「ぎゃぁぁぁぁ~~~…痛い、いってぇ、なんだこれぇ~?」
状況がのみ込めず、握った剣を取り落としてしまった。
自分の腕を見るとまるで拳よりも二回りは大きい丸いものが、自分の腕にくっついている…いや、これはかじりついているんだ。
「あぁぁぁぁ…やめてぇ、やめてくれぇぇ~…!!」と叫ぶも、どこまでも目の前の女は冷酷は笑みを浮かべ、こう返す。
「あなたは今まで、同じことを言って助けを、慈悲を願い出ていたエルフの子に…助けを差し伸べたことはありますか?」
「うるせぇぇ!! お前なんかに~! ハーフエルフのお前なんかに指図される
と最後の悪あがきを言葉にする。
「ハーフエルフ? そうですか、私がハーフエルフに見えましたか…」
「そうだろうがぁ~! さっきの耳で、そうじゃないとは言わせないぞぉ!!」と叫ぶエルヤーに最後の宣告が下される。
「私をいつからハーフエルフだと勘違いしていた?」
と、静かにそう言うと、スキルである【擬態 Ⅳ】を解除、さらには<
その光景に呆然としていると、今度は足に丸いボール、いや、口いっぱいに牙を生やした物体が、かじりついている。
「あぁぁぁぁぁ…、もぉやめてくれぇぇぇ、イヤだぁぁ、死にたくない~~!!」
と叫びながら、手足をひとしきりかじられ、手向かうことも、逃げることもできないエルヤーを放置して、何ごとか、ヴェールが独り言をつぶやいている…いや、なにかの魔法か??
と思ったいたら、3人のエルフが目の前にやってきた。
「ちょうどいい! おまえら! 治癒だ、治癒魔法をよこせぇぇ、すぐだ、早くしろぉ~~!!」と最後の虚勢を振り絞り命令するも、目の前のエルフたちは身動きもせずに…無表情にエルヤーを見つめている。
そして、今にも命尽きそうな虫けらでも見るかのように冷たい表情を3人が3人とも浮かべると、ヴェールが、自分の持っていた剣を3人のエルフの前に差し出した。
その意味に気づいたとき、エルヤーは力なく、こう口にするしかなかった。
「お、お前らぁ~…ど、どういう…」…そこから先は言葉にされることなく、3人分の殺意がこもった1本の剣が、エルヤーのノドに突き刺さっていた。
☆☆☆
「さぁ~って、と♪ 気分よくうまくいったし、後は私が始末しておくから、誰にも見れらないように、外を見てて?」
と言ってエルフたちを解放させ、モノ言わぬエルヤーから自分の剣を引き抜くと…、片腕1本でエルヤーを軽々と持ち上げ…頭頂部に集めた口の上にエルヤーの身体を置き…
ピラニアのようにせわしなく動く牙で、肉体がグチャグチャと口内で噛み砕いている中、静かに『消化』とつぶやき、エルヤーの武技やらなにやらを全て記憶した。
…きっと武技以外は使い道はないだろう…などと、疲れたため息を1つ漏らし、林の外に出ると、エルフたち3人が何もかもから解放されたようなすっきりした表情で待っていた。
その表情はどこまでも爽やかであり、全てから解放され、これからの未来に希望を持った者の顔であった。
良かったら…私と、パーティを組んでもらえない?と頼んだら「とんでもない、私たちのことは如何様にもお使いください。」と怖いくらい真剣な目で言われてしまった。
「パーティなどと言わず、ヴェールさまの身の回りのお世話でもなんでもさせてもらいます。」
「なので、私達をどうか見捨てないでくださいませ!」とすがりつかれてしまった。
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ベルリバーさんのアバターのデータ、及びスキルなど(全部捏造ですのでご容赦を)
種族名:アビスズプレデター(深淵の捕食者)
種族スキル等
所持スキル(戦士系のスキルは未記載)
【捕食者の歓迎】(パッシブ)
・周囲(半径100m以内)の「待ち伏せ」をしている存在を感知する。
(待ち伏せしてる存在がワナを仕掛けていた場合、そのワナの場所もわかるが、種類、解除方法はわからない)
【誘引の色香】
・広範囲(半径200m)に渡り、対象の一番望む香りを展開させ、自分の元に誘い込み、おびき寄せる。
【捕食】
・本編にて説明あり(手抜きにてご容赦!)
【弱者の悲鳴】
・自分の周囲一帯の効果範囲にいる全てを対象にして発動。抵抗に失敗した者のヘイトを上げる
抵抗に失敗した者は「あとは追い詰めるだけ」という思考一色になり、このスキル発動者に一斉に攻撃してくるようになる(細かい戦い方はせず、直接的に近接戦闘状態になる)
【擬態】・効果はⅠ~Ⅴまで段階的にあるが、【擬態 Ⅴ】はベルリバーは未収得である。
〔ⅠとⅡは、接触することで自分以外の相手も同様の効果に巻き込むことができる(異世界のみ)〕
Ⅰ:体色変化、背景に溶け込む
(全身が背景と同じ色に溶け込んでしまうため、目視では見つかりにくいが、体温や匂いはごまかせない)
Ⅱ:上位版、上の効果+匂いや体温も誤魔化す(犬や狼のような嗅覚、蛇のような温度センサーも騙せる)
Ⅲ:体組織、身体構造など全てを〝実体として変化したい〟擬態対象の見た目そのままになる(自然の動植物のみ)
Ⅳ:記憶している見知った人間に化ける。(声や、記憶、話し方のクセなどは反映されない) ※よく思い出せない印象の相手に擬態した場合、そっくりとは程遠い。
Ⅴ:Ⅳの上位版、完璧になりきり、自分の記憶、意識も持ち合わせ、情報として、対象の全てを熟知している。
現在、擬態で姿を変えられるのは…。
【擬態Ⅲ】
・魚(大きさは等身大) ・トブ大森林の木 ・ムーンウルフ ・コカトリス
・とある林の木 など…
※ Ⅲで【擬態】する場合、樹木など自分より大きい場合は問題ないが、ネコや魚など小さい場合は自分が体を丸めてうずくまって状態より小さいサイズにはなれない。
【擬態Ⅳ】スキルでなりすませる人物
・ヘッケラン ・アルシェ ・???(ロバーデイク) ・???(イミーナ)
・エルヤー(消化済み) ・ディーネとエルフの女性二人
______________________________________
※捕食者という種族特性上、獲物を逃がさないために、麻痺毒、神経毒、視力暗転の
状態変化や遅効毒などなど…、体内で作り出し、相手に効果を及ぼすことが天然で
(パッシブ効果で)相手に与えることが出来る。
そのため、自分自身は毒無効の特徴を種族特性で持っており、毒無効アイテムなど
を装備する必要はない。
アインズの「ネガティブタッチ」同様、任意で効力をカットしておくことも可能である。
【牙の急襲】(スウゥープオブファング)
・体に無数にある口をボール状の自動追尾状態にして相手に飛ばし、牙を突き立てる、先制発動型の噛みつきスキル
(ユグドラシルでは、どんな敵(レイドボスやワールドエネミー等)にも有効で、総ライフの20%を削れるスキル…だったのだが…)
<1戦闘でスキル使用は1度だけ、複数回の発動はできない>
<異世界仕様>《 口1つにつきマジックアロー1本と同じダメージ 》※任意で口の数が調整可能 ※ダメージは最大で使用者の魔力に応じた分にまで調整できる。
・射出すると追尾して噛み付き、噛み付いてる口のライフをゼロにしないと一定の継続ダメージ。
(腕部から射出なら相手の腕に、足部の口が射出なら足を狙う、腕なら攻、防にデバフ、足ならスローor足止めなどの効果付き)
【巨鮫の大顎】(メガロドン)
・【捕食】と違い、純粋に攻撃用のスキル、防具をかみ砕くことで相手の防御にデバフ効果を与え重複される。
体中の口が一つに集まって、巨大な顎となり成人1人くらい楽勝で丸呑みできるくらいの大アゴとなる。
範囲攻撃ではなく単体攻撃、非実体の敵には効果なし。斬撃+刺突属性攻撃
<異世界仕様>
・内容は同じだがこの異世界の存在で、このスキルでの噛み付きに耐えられる者が居ないので、デバフ自体がどこまでで、ダメージ量がどのくらいかの実験もうまくいっていないようだ。
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