第5話 決戦! 巨大戦だよ、さっそちゃん!

 「う、嘘だろ~~~~~っ!」

 その日、平石家がある街は大パニックになった。

 街中、いや下手をすれば日本中からネズミが平石家を狙って

攻めてきた。

 さっそちゃん達は朝から必死の応戦をしていた。

 「くっそ~、キリがねえぜ!」

 ボクシーのパンチに切れが無くなってきた。

 「まったくですわ」

 ヤワラも迫りくるネズミをちぎっては投げを繰り返すが数が多すぎる。

 「街二、ネズミ七でござるっ!」

 サクラも頑張ってネズミ達を切るが、敵の物量は圧倒的だった。

 「反物質爆弾、切れましたわ!」

 フローラの爆弾も使い切る。

 「こっちも弾切れ~っ! め~で~! め~で~!」

 アンも弾が切れる。

 「二人とも、補給だよ!」

 章太郎も弾薬運びや白兵戦部隊への配食とおお忙しだった。

 「くっ! 反物質弾の製造が追いつかない!」

 まりあも、ネコイラズコーポレーションのラボでさっそちゃん達の使う武器の弾を必死に製造していた。

 この異常事態に街の住人達は閉じこもり、保健所や役所、民間の駆除業者や自衛隊も出動しているが彼らも手いっぱいで平石家へ助けには来れない状態だった。

 後に、日本の歴史的大鼠害として記録されるさっそちゃん達の戦いは劣勢からのスタートだった。


 何とか昼間で平石家への侵入を防いださっそちゃん達、異変に気付いたのは章太郎だった。

 「あれ、ネズミ達の動きが止まった?」

 それまでの大攻勢が嘘のように、ネズミ達の動きが止まったのだ。

 「皆、今のうちにご飯と弾薬の補充~!」

 アンの叫びに残りの面々が「「らじゃ~!」」と応じて大急ぎで食事や武器弾薬の補充に向かう。

 さっそちゃん達が戦士の休息を取っていた時に第二の異変が起きる。

 「大変よ! ネズミ達が一か所に集まって巨大化しているわ!」

 まりあが平石家のリビングへ駆け込んでくる。

 「「な、なんだって~っ!」」

 まりあの言葉に全員が叫んだ。

 「どうすればいいんですか、まりあさん!」

 「あの宇宙船を使う時よ章太郎君♪ みんなで行きましょう!」

 まりあの言葉を信じた章太郎はやけっぱちになり、さっそちゃん達を運んで

まりあに続いてクルミの木の宇宙船へと駆け出した。


 宇宙船の森の中、まりあが操作すると森が消えて操縦席らしき物が次々と浮かび上がり急激に内部がSFチックな機械的な部屋へと変わる。

 「章太郎君は真ん中の艦長席へ座って! さっそちゃん達は自分の髪の色の場所へ着席っ!」

 「「らじゃ~!」」

 章太郎もまりあもさそちゃん達も席に着くと、皆をシートベルトが拘束すると同時に振動が襲う!

 

 クルミの木が空へと上昇する、それを追う様に平石家の家屋とネコイラズコーポレーションの社屋も飛んできてクルミの木とぶつかる。

 いかなる魔法なのか? クルミの木の宇宙船と家屋と社屋が一つになり超巨大な

美少女メイド型ロボットが誕生した!

 「な、何だよこれ」

 その様子を艦長席のモニターで見ていた章太郎は、頭が真っ白になった。

 「宇宙船の調査をしていてこの巨大ロボット作成機能に気づいて準備していたのが間に合ったわ♪」

 このトンチキな現象はまりあのしわざだった。

 「「すっご~い♪」」

 さっそちゃん達はこの展開を楽しんでいた。

 「さあ、このぐれーとさっそちゃんで決着よ!」

 「「らじゃ~!」」

 頭が真っ白になった章太郎を置いてけぼりに、ぐれーとさっそちゃんと巨大ネズミの対決が始まった。

 「亜空間フィールド展開!」

 アンがスイッチを押すと、ぐれーとさっそちゃんと巨大ネズミが特殊な空間へと転移した被害を出さないための配慮である。

 「行くぜ、ぐれーとパンチ!」

 ボクシーがレバーをガチャガチャ操作するとぐれーとさっそちゃんの拳が光り

 巨大ネズミにラッシュを叩き込む!

 ジュジュ~! と痛みに呻く巨大ネズミが反撃とばかりに体当たりを仕掛ける。

 「私の出番ですわね、巴投げ~♪」

 今度はヤワラがレバー操作で、突っ込んできた相手を巴投げで投げ飛ばす。

 「倒れても容赦はしませんわ♪」

 フローラがスイッチを押すとぐれーとさっそちゃんがスカートをたくし上げて

爆弾の群れを放り投げる!

 ド派手な爆発に傷つくも、巨大ネズミは取り込んだネズミを使い体を再生させる。

 「最後は拙者でござる、めいどぶれーど逆手斬りっ!」

 虚空から巨大なモップを取り出したぐれーとさっそちゃん、モップの柄を逆手に握り抜刀する。

 反物質エネルギーの白刃が一閃し、巨大ネズミを一刀両断して光へと変えた。

 「やったわね、皆♪」

 まりあがさっそちゃん達を褒める。

 「「勝利のぶい♪」」

 さっそちゃん達が勝利宣言をすると同時に、亜空間が通常の空間へと戻る。

 田舎の町の中に巨大なヴィクトリアンメイド型のロボットが、モップに仕込んだ刀を抜いて残心を取っている姿が衆目にさらされることになった。

 「あらあらこれは大変ね、ちょっとバースト星まで逃げちゃいましょう♪」

 まりあがさっそちゃん達に指示をすると、ぐれーとさっそちゃんは宇宙へと飛び去って行った。

 

 

 

 

 


 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る