駆除して! さっそちゃん!

ムネミツ

第1話 僕はネズミに悩んでる

 西暦二〇三X年、僕達の世界に革命が起きようとしていた。

 「ネズミ駆除、どうしよう?」

 僕こと、平石章太郎ひらいし・あきたろうは家に出るネズミに悩まされていた。

 掃除をしようが、罠を仕掛けたり追い払おうが奴らは僕の家に現れる。

 電話線や壁をかじられるとかされたりと結構迷惑な被害を被っていた。

 猫でも飼って勝手に駆除してもらいたいが、僕は猫アレルギーで猫が飼えなかった。

 ペットショップの猫は、鼠を狩って食べるという習性や能力が激しく低下しているだけでなく猫に鼠を食べさせると動物虐待だと叩かれる世知辛いご時世だった。


 野良猫も、保健所が駆除を頑張り過ぎてめっきり減った。

 「猫に鼠の駆除を任せていた時代が懐かしい、生まれてすらいないけど」

 猫が頼れない以上、人間の業者を当てにするしかないが業者を呼んだと近所の住民に噂されたり僕自身が他人に自分の家に入られるのは好きではなかった。


 色々あって、東京から田舎に越してきて祖父母が住んでいた木造平屋の日本家屋を受け継いだ僕。

 高校生で一国一城の主の暮らしを、邪魔されたくはなかった。

 「ネットで何か良い物売っていないかな?」

 総菜屋のバイトも終わった夜、自室のパソコンで検索する。

 ゲームを遊びたい欲求に駆られたが、我慢してネズミ駆除で検索をすると

ロボットでネズミ退治と言うワードが気になりクリック。

 

 飛んだ先は、ネコイラズコーポレーションと言う会社のサイトだった。

 「え~と、掃除機のメーカーから独立して立ち上げた会社か」

 会社概要や実績などを見る、ロボット掃除機やパンを焼く型の様な害獣駆除ロボットの画像に興味を覚えた。

 社長がおっとりした顔の、胸の大きい綺麗なお姉さんだったのもポイントだ。

 

 商品の画面をスクロールして見ていると、黑いシルエットで覆われた人型の画像と新商品モニター募集という所が気になりクリック。

 すると、それまでこの会社が開発してきたメカっぽいのとは正反対のアニメに出てくるようなメイドさんのフィギュアと思しき画像が表示された。

 「ええ~~っ! 今まで作ってきた物とベクトル違い過ぎだろっ!」

 これが、僕がさっそちゃんを知った経緯だった。

 「しかも、この外見でネズミ駆除ロボットって嘘だろ?」

 ネズミと戦うメイドさんと言う絵面が思い浮かぶ、何というかシュールだった。

 「ロボットバトルで遊んでる友達に、知ってるかどうか話を振ってみるか?」

 はっきり言って怪しさが漂うアイテムだったが、手軽に安くネズミ駆除ができるならと思い僕はこの会社のモニター募集に応募する事にした。

 「まあ、どうせ当たらないだろうけどなくじ運とか悪いし」

 僕はくじ運などが悪いので、この時は当たりはしないだろうと高を括っていた。

 この後、思いもよらない出来事が待ち受けているとも知らずに。

 


 

 

 

 


 

 

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