草のむこう

しばらく、ユカとザカリーは2人で遊んでいた。

靴で滑るのって難しいの!とザカリーが言っても、まるでスケート靴を履いてるかのように器用に滑る。

ユカもとっても、楽しそうだった。


「それで、お兄さんの困ってることってなあに?お兄さん、この街の人じゃないでしょ!だから困ってる?もしかしてギルド探してる?」


疲れ果てたユカを土手に寝転がせて、ザカリーは地面の氷に手をついて、それを噴水へと戻している。


「いや、まあそうなんだが。……、なにか魔法陣を見たことはないか?最近現れた、やつで」

「知ってるよ!森の、少し行ったところに、最近できたの。魔物たちがよってたかってる」


見つかるのはっや。こんなトントン拍子。こりゃあもうひと悶着あるんじゃないんですか。


「そうか、案内は」

「してあげる!お兄さん、優しそうだから!」


ザカリーは、リュカに抱きついた。まるで、父親がいない子供のようで。…実際にいないんだけど。

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