第43話 

どうにか無事に(若干1名が再起不能になった模様)パーティーも終わった。

父さんは頑張った、よく頑張ったよ……!

まさかあの量を全て食べるなんて……、終盤はもう母さんに口に詰め込まれていたような気がするけども、きっと気のせいだ。僕は父さんの自力だったとまだ信じていたい……。あの勇姿を汚したくないんだ……。


今僕は満腹になったお腹を休めつつ、千堂さんと神谷先輩と一緒に僕の部屋にいる。片付けの手伝いをしようとしていた二人を母さんがいいからいいからと僕の部屋へと連れてきた。

…………連れてきた。

だ、大丈夫、見られちゃダメそうな本は全部隠したから!

【 ※本のタイトル 

『頑張って羊と話そう!〜羊とだって会話はできる〜』

『明日から鳥の気持ちを理解できる本』

『今からでも遅くない!妖精の正しい探し方』 】


「こ、ここが十宮くんの部屋なんですね〜」


「へぇ〜、そうか、こういう……」


部屋に入ってからキョロキョロと部屋の中を見渡す二人。

なんだか二人ともソワソワしてるみたいだ。

僕までつられてソワソワしてしまう。


「あの、別に気を使わなくてもいいから。楽にしてていいからね?」


「はい。分かりました……」


「そうさせてもらうよ」


良かった、少しはこれでリラックスしてもらえそうだ。

さぁ、ここから腕を奮っておもてなしをするぞ……!


「え、え〜と、ここはなんでしょうか〜〜?」


「ふむ、なんだか眠くなってきたみたいだ。少し横にならせてもらうよ?……おや、ここは……?」



……あの、ベッドの下をそんなに見ないでもらえませんかね?

何もないよ?

何もないけど、本当に何もないけど…………、一応、ね?



「何もなかったね……」


「何もなかったですね……」


何を!?

一体何を探してたの!?

まさか例の本たちを………?

さすがにそれは………と少し怒ろうとすると、神谷先輩が何かを期待した目をしていた。

そんなにあの本達を楽しみにしてくれていたのか…………、うん、やっぱり怒るのはやめようかな。

そう決めた途端に神谷先輩が明らかにガッカリしていた。

あれ?なんで?……もしかして……………?



けれどちょうどその時、部屋のドアを開いて母さんが現れた。



「あらあら、とても仲がいいのね。よかったら、二人とも泊まっていったら?」


「「「えぇ!?」」」


突然の言葉にその場にいた皆が驚く。


「母さん、さ、さすがにそれは……」


お泊りセット(蓮也にとっては用途が旅行用に限られるもの)も無いだろうし……。それに女の子二人がお泊まりってなんだかダメな気がする……。


それを見かねた父さん(生きてた)が廊下からヌッと出てきて、母さんを止めようとする。


「お母さん……もうその辺で……」


「お泊まりよー!」


普段あまり飲まないお酒を飲んでしまっているのか顔が赤く、完全に酔っているのが分かる。

どうやら息子が初めて友達を連れてきたこともあってか、すっかりテンションが上がってしまっているらしい。

父さんの呼びかけも無視してそのまま強引に事を進めようとしたけど……


「夏織。………やめなさい」


「ひゃっ!」


名前を呼ばれた母さんはビックリして変な声を上げた。

わぁ……父さんが母さんを名前で呼んでるの久し振りに聞いた……。

でも、それでどうにか母さんの暴走も止まったみたいだ。



すっかり大人しくなった母さんは、父さんに連れられて部屋を出ていった。

そして千堂さんと神谷先輩は、


「ひゃー……」


「ほぅ……」


なぜか興奮気味に二人が出ていった後を見ている。


「「これが、夫婦……」」


その表情は、いつかの未来に想いを馳せていた。


あと神谷先輩はなんだか母さんを羨ましそうに見ていた。

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